35.お勉強会と生暖かい視線
このクラスには、正統派美少女の白川優香さん、ギャル枠の岸川紗友里さん、そして元気印の西野美佳さんという、いわゆる「SS級美少女」が目立っている。
平川ゆかりさんは、Aランク上位(すみません。私の勝手なランク付けです…。)。あまり目立つタイプではないけれど、クラスで一番「可愛い女の子」という言葉がしっくりくるタイプ。
私のランキングでは、クラスでも学年でも4位。要するに、めちゃくちゃ可愛い事には違いない。。
男子側も、サッカー部で美佳さんの彼氏の久野君、剣道の達人・佐伯君、マッチョ系の渡瀬君に、アイドル顔の浅野君と、無駄にレベルが高い。
……まあ、瑛祐くんもいるからね。瑛祐くんだって、格好良いもんね。
もうすぐ夏休みというところで、ようやくクラスの半分くらいの名前を覚えた。
話し好きで明るいゆかりさんが、いつも色々教えてくれるのが大きい。話をししていても楽しく、そりゃモテるわ、と納得していたら、案の定、学年ナンバーワン(何が?)との呼び声高い佐伯君をゲットしていたらしい。
そんなわけで、放課後のファミレスに来ました。
普通、男女四人で来たら男同士、女同士で向かい合って座るものだと思っていた。けれど、あまりにも自然にゆかりさんと佐伯君が隣り合って座るものだから、私と瑛祐くんも必然的に並んで座ることになってしまった。
テーブルを挟んだ〜ちょっと遠い距離〜なんて歌詞が浮かぶが、今の状況は「隣どおし、あなたとあたしさくらんぼ」かな…。
(……。古いのは仕方ないよ。中身はおじさんなんだからね。)
「そっか、そっか。」
問題を解いていると、瑛祐くんが何かを掴んだように頷いた。
「ん?」
「瑛里さ、公式は完璧に覚えてるよね?」
「うん。丸暗記だけは得意!」
「でも、その公式をどう『使うか』が分からない、と。」
「そうなんだよね。それが最大の問題で……」
「丸暗記が得意なら、問題を見てから公式を考えるんじゃなくて、問題の『傾向』から逆引きで公式を当てはめるようにすればいいんじゃないかな」
「……ちょっと難しいかも」
「例えばこの問題。この文言が入ってる時は、これを使う。」
彼の説明を聞いているうちに、霧が晴れるように解けてきた。
「じゃあ、これなら……もしかして、この公式?」
「そうそう! 瑛里、いけそう?」
イケそう……じゃなくて…。
「やっぱ凄いよ、瑛祐くん。教えるの上手いね。」
「そんなことないって。ちゃんと公式を覚えてた瑛里が偉いんだよ。」
褒められちゃった。嬉し。
ふと、四つの瞳から生温かい視線を感じて顔を上げた。
「お、やっとこっち見た!」
「福原さんも藤井も、完全に二人の世界だったね。」
佐伯君とゆかりさんが、ニヤニヤしながらこっちを見ている。
「名前で呼び合って、ぴったりくっついて……。心配いらなかったね、ゆかり。」
「本当。でも亮君が言った通り、この二人、なかなか手強いからまだどうなるか……。」
気づけばゼロ距離で、ペンを持つ手が触れ合わんばかりの距離だった。
秒速で距離を取り、取り繕う。顔が熱い。隣の瑛祐くんも茹でダコみたいに真っ赤だ。
「ど、どうなるかって、今まで通りだもん……!」
「そ、そうだよ! 瑛……福原とは、まだそんな……っ」
目の前の二人は口角を上げ、どう見ても面白がっている。
「な? 手強いって言ったろ」
「うーん。もう一押しかなぁ」
「何言ってるの?。さ、勉強、勉強。解けるようになってきたんだから。」
「あ、そうだった。藤井、今の分かりやすかったから俺にも教えてくれ」
「おう。佐伯はまず公式を覚えろ!」
「私は?」
「……平川は、ある程度できるだろ。成績悪くないよな?」
「あはは。じゃあ亮君、私と一緒に公式覚えよっか。」
「できた! 瑛祐くん、解けたよ!」
しばらくして、難問を自力で解いた私が報告すると、瑛祐くんが優しく笑った。
「おぉ、さすがだな。瑛里は素直で教え甲斐があるよ」
そう言って、彼は私の頭をポンポンと叩いた。
今の時代、これはセクハラ事案になるやつだろうか。
……。
でも、なんかフワッとしてて、めちゃくちゃ嬉しい。
向かいの二人の目が、さらに生温かくなっていったのは……言うまでもない。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
今日3話目です。
瑛里ちゃんは、瑛祐君と会える月曜日が楽しみだったりするのですが、やっぱ日曜日の夜はしんどいですね。
少しでも、楽しくなればと、もう1話投稿しますね。
よろしく!




