表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/40

19.春巻きは特製


「おはよう。……はい、これ。」

「ありがと。あ、じゃあ待ち合わせ場所あっちだから……。」

「うん。じゃあねって……私もあっちだわ。ははっ。」

一緒に歩く、思わず笑顔になってしまう。


駅の待ち合わせ場所。家族しかいなかった私の連絡先には、いつの間にかクラスの美少女たちの名前が並んでいる。なんだか嬉しいような、気恥ずかしいような。


「あ、瑛里ー! こっちこっち!」

西野美佳さんが元気に手を振っている。

「あ、西野さん。おはよう」

「あー、もう、美佳って呼んでよ!」

……いや、いくらなんでも女子高生を名前で呼び捨てにするなんて、おじさんにはハードルが高いんだよ。

「あ、じゃあ……美佳……さん」

「さんもいらないって。まぁ、そのうちだね!」


隣には、久野くん率いる男子Aグループ。

「お、藤井も来たか。これで全員か」

「たけちゃん、こっちも揃ったよ。じゃあ行こうか!」


……え、ちょっと待って。

「「「…………」」」

全員、同じことを思ったはずだ。


「え、だって皆で行ったほうが楽しいじゃん?」

美佳さんが可愛らしく首を傾げる。そうなると、誰も反対できない。

結局、男女Aグループ混合の十人という、とんでもない大移動が始まってしまった。


男子Aグループは、サッカー部の久野くんを筆頭に、

・背が高くて男前なヤツ

・アイドル顔の可愛いヤツ

・強そうなゴツいヤツ

……そして、私のふじ…、じゃなくて、藤井くんの五人。

電車の中は、さながら合コン会場だな。


「福原さん、普段何してるの?」

背の高いイケメンに話しかけられたけれど、上手い返答ができるならボッチにはなっていない。会話が続かず、適当に相槌を打つ。


ふと見ると、平田ゆかりさんと藤井くんが親しげに話していた。

「藤井くんって、よく見るとカッコいいかもね!」

「いや、そんなことないと思う……。」

……なんだろう。藤井くん、心なしか満更でもなさそうな顔をしていないか?

藤井くんに彼女ができても、それはそれでいいはずなのに。


(……モヤっとする)


目的地は、由緒ある大きな神社。レポートのためにメモを取り、あとは昼食を食べて帰るだけ。休憩所で、十人並んでお弁当を広げる。


私と藤井くんの間に、ゆかりさんが座った。

「福原さん、元気ないけど大丈夫?」

「……大丈夫。」

ゆかりさんは気配りができる良い子だ。けれど、私のお弁当を見た瞬間、彼女の表情がハッとしたものに変わった。何かあったのかな?


「春巻、美味しそうだね。……これ、手作り?」

春巻好きだったのかな?

「うん。」

「瑛里が作ったの?」

「……うん。今日は、私が作った。」


ゆかりさんは何かを察したように、小声で囁いてきた。

「あ、なんだー。言ってよ。……でも、内緒にしてるなら、黙っておくね!」


?……なんのことだろう。


「藤井くん、席変わってくれる?」

「あ、ああ。いいけど」

ゆかりさんに促され、隣に藤井くんが座った。

「……よ。お弁当、美味いな」

不器用に、けれど真っ直ぐにそう言ってくれる。

(……。……。ああ、晴れた)

さっきまでのモヤモヤが、彼のその一言だけで消えていく。


校外学習のタスクが終了し、誰かが言い出した。

「この後、カラオケ行っちゃう?」

「お、いいね!」


盛り上がる一行。けれど、私にとってこのメンバーでのカラオケはハードルが高すぎる。それに、プラモの「白いポチ」を消す方法も早く教わりたい。


藤井くんが行くなら、大人しく一人で帰るしかないか……。

「あ、私は……」

「俺……」

私と藤井くんの声が被った。


「あ、瑛里は用事があるんだよね?」

ゆかりさんが助け舟を出してくれた。あれ良い人?

「うん、ごめんね。」

「藤井くんもだよね。用事あるって言ってたし」

……。

……え?


藤井くん、ゆかりさんに「用事がある」なんて言ってたんだ。

もしかして、ゆかりさんとどこかに行くとか……?


(モヤっ…。再発…。)


けれど、帰り道の電車に乗ったのは、私と藤井くんの二人だけだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ