14.コイツ動くぞ。
次の日も早起きしてお弁当を作り、お昼は二人で食べて、放課後はアトリエでプラモ作り。
……なんだか、楽しい。これがずっと日常になればいいのにな、なんて思ったりして。
初日にボディを作り、二日目で頭ができて。
そして今日、ついに両腕が完成した。
昔のプラモなら関節は動かなかったけれど、今回作っている感じ、これは間違いなく「動く」と思う。
「よし、できた……!」
四つのユニットが組み上がった。ボディ、頭、そして両腕。
「おぉ〜、できたね」
藤井くんも乗ってきてくれた。上級者の彼からすれば何でもないことだろうけど、私にとっては小さな、けれど確かな感動だ。
「説明書だと、ここで一旦、組むんだよね?」
「うん。……そこの穴に、丸いところを入れるだけだよ」
藤井くんが優しく教えてくれる。
今のプラモは接着剤もいらず、はめ込むだけ。親切設計なんだ。…はめる。ナニをってのはもう良い。
「……できた。上半身、完成!」
「おぉ〜」パチパチ、と藤井くんが拍手してくれる。
「これって、動かせるの?」
「うん。関節はある程度曲げられるよ!」
バンザイさせてみたり、ガッツポーズをさせてみたり。……動く。
「おぉ、すごっ……! お、動く、コイツ動くぞ!」
テンションが上がってつい、前世で聞き慣れたあの名セリフが口をついて出た。
ポカンとする藤井くん。
「……これ、主人公のセリフなんだけど。藤井くん、プラモ作るなら原作も見たほうがいいよ!」
あ、しまった。つい前世の勢いで。今世の私はまだ見ていないのだけど。
「見てはいるんだけど……確かにそうだね。アニメを見ても造形ばかり見ちゃうから、セリフはあんまり覚えてないんだ」
久しぶりと言うか、この姿でも、あのアニメを見てみたい。
「今度、一緒に見てあげるよ!」
つい恩着せがましく言ってしまった私に、藤井くんが少しだけ真面目な顔をした。
「じゃあさ。明日か明後日……えっと、新作の映画、見に行く? 一人で行こうと思ってたんだけど」
「新作? どうしようかな〜」
おじさんはね、正史の作品しか認めんのだよ……なんて脳内おじさんが呟くけれど。
この時は、全然考えてなかった。一緒に行くって意味を。
「『バーズアクス』って言って、このシア専ザフも出るみたいなんだけど。」
「えっ、なにそれ、面白そう。行く、行く!」
食い気味に返事をしてしまった。
今日は金曜日。土曜日は雑誌のバイトがある。
「明日はバイトだから、明後日なら」
「わかった。じゃあ、明後日」
帰り道、自転車を押して送ってくれる藤井くんが、スマホを操作しながら弾んだ声を上げた。やっぱり器用だよコイツ。
「明後日、昼二時過ぎの回、予約とれたよ。」
「あ、じゃあお昼どっかで食べる?」
「そうだな。昼前に集合で。……あ、でも、お弁当じゃなくていいからね。」
「え?」
「いつもお弁当作ってもらってるお礼に、おごらせてよ。親からも、お礼しなさいって、お金もらったしな。」
「そっか、それも楽しみ。じゃあ、明後日だね!」
「うん。またな。」
別れて、電車に乗る。
ガタンゴトンと揺れる窓に、自分の姿が映っていた。
いや、最近の電車は揺れが少ないな。窓に映る自分の姿がよく見える。
スカートはいた制服姿。髪も後ろで括るポニーテール。前世と比べると小さい顔。つり革は手を伸ばして持っている。
どこからどう見ても、現役の少し小柄な女子高生だ。
……雑誌で読者モデル出来ているくらいだから、客観的に見ても、そこそこ可愛いんだろう。
明後日は、藤井くんとお出かけ。
ん?窓に映る少女が、あの目立たないけどよく見れば格好良い男の子とお出かけ?
……。
…………あれ?
今の私が、男の子とランチして映画を観る。
プラモに集中している時は忘れていたけれど、今の姿を考えたらこれって。
えっと。
これって……デート、ですか?
わからん。
誰か、正解を教えてくれ。
今日は日曜日ですし、朝少し早めに投稿してみます。
夜も、1話予定しています。
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執筆ガンバリます!




