1.福原瑛里15才。
福原瑛理15才。私の名前と年齢…。
本当は、名前は忘れたけど、男だったんだ。
病気で入院していた記憶もある。気がついたら、赤ちゃんになっていて、しばらく成長してから女の子になっていた事がわかった。
小さい頃から、女の子らしく振る舞えなくて、それでも近頃は多様性の時代、何とかなったよ。
中学の制服でズボンにしても良いってことになってたんだけど…。親の顔見るとね。今迄、育ててくれた恩もあるので、皆と同じスカートにした。
とか色々あって、少しは女のコらしくなったのかな。
中学では、何人かに告白されたりもしたけど、やっぱ男のコと付き合うわけないよな。
気軽にとかお試しで付き合ったらなんて言う人もいるけど、付き合ったら、ねぇ、手ぇ繋いだり、その、き、キスしたり、その先も…。やっぱするよね。
まだ、そこまで女のコになる覚悟は無いよ。
異性を良いなとか思ったりも無いから、恋もしてないし。
気がついたら、高校生。
そう、女子高生なんですよ。
瑛理は、中学生の時に数人に告白されるくらいには、カワイイ(らしい)。
もっとも、中身が男のせいで距離感をミスり、同性感覚で男子と接して揉めた苦い記憶もある。
「今度こそ、心機一転。ボロが出ないように静かに過ごそう」
そう決めて選んだ電車通学の高校。知り合いの少ない環境で「おしとやかな女子高生」を演じようと頑張った結果……。
気づけば、部活にも入らず、授業が終われば即帰宅。
友達はおろか、話し相手もいない。
完璧だ。完璧にボッチになった。
一人、中庭でお弁当を広げる。
「……。まぁ、いい。前世から、一人飯には慣れてるし」
独り言を呟いていた。
そんなある日
「瑛里っー。今日、洸也の誕生日だから、早く帰ってきてね。」
朝食食べてると母親に言われた。洸也は小学5年生の弟。生意気盛りだけど、5つも年が離れてると可愛いんだよ。
「はーい、わかった。」
「って、アンタいっつも帰るの早いから問題ないか。たまには遊んで来たらいいのに…。」
くっ。って、ボッチなんだから余計なお世話だよ。
でも、この時はそんな事言われてたんだなって、後で思うようになる。
…。まぁ、それは先の話だから置いておいて。
「ねーちゃん。誕プレくれよー。」
洸也が起きてきた。
「洸也。まずは、おはようだよ。」
これでも、お姉ちゃんをちゃんとやってる。挨拶大事と注意する。
「う、おはようございます。」
「うん。おはよう。ご飯食べちゃいな。」
味噌汁とご飯をよそってあげよう。
化粧とかしないので、他の女のコより朝、時間あるのよね。
「瑛里ぃ。アンタ、髪くらいはちゃんとするのよ!」
お母さんには、言われるけど、
「まぁ、瑛里はそれで良いんじゃないか。」
優しいお父さんが言ってくれる。
親父なんて、怒るだけの存在かと思ってたけど、このお父さんは、優しくて良い。
「パパ。」
って甘く囁くだけで何でも買ってくれる気がするよ。
って、やらないけどね。
「ねーちゃん。ありがと。いただきまーす。」
洸也が元気に食べる。
誕プレねー。
「なんか買ってきてあげるよ。」
洸也に言うと
「あ、じゃあ、Dモンカードが良いな。」
目が輝いてる。
「それ、お父さんからも貰うんじゃないの」
「お父さんは、ゲームソフトくれるって。カードだったら、ねーちゃんの小遣いでも大丈夫だからなー。」
お父さんには、高価なゲームをねだったんだね。
私のお財布事情も考えてくれて、貰える物を貰おうと。ちゃっかりしてるわ。でもまぁ、可愛いヤツだな。
こんな感じの4人家族。どこにでもいる家族なんだけどね。
特別なのは、私が学校でボッチな事…。
じゃ無くて、私が俺だってことだな。




