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作者: 柴犬



 最近井戸端会議で噂が有った。

 とある人物の。

 近所の偏屈な老人事だ。

 最近見かけてない老人の事だ。


「オクニノタメニ」


 それが口癖の老人だ。

 とても長生きで年齢は分からないが戦時中に生まれだと聞いた事が有る。

 そのせいか顔には不自然な切り傷と大きな火傷の跡があるらしい。

 有名な軍人の家系で生まれ物心つく頃には英才教育を受けていたとか。

 その中には拷問とか生きた標的を相手に銃の訓練をしたとか。


 終戦末期。

 敵国に捕虜として捕まり激しい尋問を受けたとか。

 尋問を受けた結果、心身ともにボロボロになったとか。

 

 何故今更この老人の事が噂が有るかと言うと簡単な話だ。

 最近野良猫が撲殺される事件が多発してるせいだ。

 

 警官が見回りをしているにも関わらず被害は止まらないらしい。

 そして最近では飼い犬までもが被害にあってるだとか。

 

 その犯人と思しき人物が老人だったという訳だ。

 唯の噂だが。

 まあ~~老人は終戦末期に731部隊に所属してたとか言われてるらしいから仕方ないか。

 731部隊。

 満州占領時に人体実験行っていたという曰く有りの部隊だ。


 毒ガス。

 人体改造。

 薬物投与。

 不死身神兵計画。

 細菌兵器。


 数多くの非人道的な人体実験を行った部隊の出身。

 それが老人が居た部隊らしいという噂だ。

 噂は噂。

 唯の噂だ。

 だが火のない所に煙は立たぬ。

 疑われて当然だろう。


「まあ~~全部僕の嘘なんだけどね」

「ヴ~~ヴ~~」


 そう言いながら僕は拉致した子供を床に下す。

 手足の靭帯は既に切ってある。

 逃げられないように。

 出血は焼いたナイフで止血した。

 

「僕が流した噂を信じるなんて馬鹿だね~~人間は」

「うう~~ん」

「幾ら騒いでも良いよ此処は誰も居ないからね」

「ヴウウウウウウッ!」


 子供の指を一本へし折る。


「騒いだら指をへし折るけどね」


 悲鳴を上げるが誰も聞く者はいない。

 ここはとある山奥にある倉庫だ。

 僕が住む近所を騒がせてる犬猫の殺傷事件。

 その犯人は僕だ。

 ストレス解消に始めたんだけどね~~。

 いや~~良い意味でストレス解消になりました。

 とはいえ最近は物足りなくなり子供を誘拐して切り刻み始めました。

 そしたら物凄く嵌まりました。

 とはいえ流石に捕まるのは嫌なので安全策を取りました。

 近所の老人に一連の事件の加害者だという噂を流しました。

 老人が野良猫や野犬を殺しているという噂を。

 僕の狙い上手く行き老人が容疑者になりました。

 いやあ~~。

 こんなに上手くいくとは思いませんでした。


 因みに事件を起こした犯人だと思われてる老人は既に僕が殺してる。

 数日前に。

 近所の人も居ない人間の事をよくもまあ悪く言えたものだ。


「オクニノタメニ」


 最後までそれしか言えない老人を撲殺したのは記憶に新しい。


 さてお楽しみの時間だ。

 僕の嗤いに子供は顔を青ざめる。


『オクニノタメニ』

「あん?」

『ヴウウウ~~』

『アガ~~』


 その言葉が聞こえた瞬間首に何か冷たいものが押し付けられる。

 強引に引きはがそうとする。

 手だ。

 複数の手。

 老人と子供の手。

 ミイラの様に干からびた手。

 血液が腐りどす黒くなった血管。

 土気色の皮膚。

 死人の手と言ってもいい。

 そのまま強い力で首や手足を締めれる。

 ギリギリと。

 

『オクニノタメニ』

『ヴウウ~~』

『アガ~~』


 その言葉を最後に意識が途絶えた。



 三日後。

 

 警察が山奥の倉庫に踏み込んだ時に生存していたのは衰弱した少年のみだった。

 誘拐した犯人と思しきと青年は苦悶の表情を浮かべ死亡していた。

 死亡原因は絞殺による自殺。

 自分の手で首を絞め死亡していた。

 

 近くには動物の亡骸を埋める穴が掘って有るのみだった。

 

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― 新着の感想 ―
[一言] うおお(;゜Д゜) 青年も恐ろしいがお爺さんらもねぇ。 因果応報でスカッとするけどこれはこれでなんて恐ろしい(;゜Д゜)
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