第七話
全二十五回連載の七回目です。
私は子どもの頃、吃音だったためいじめにあっていました。その頃、そんなような漫画もはやっていました。中学まで中心になって私を餌食にしていたのは少数の女子のグループです。時に男子の一部も加わりました。失敗作とかひどいあだ名をつけられ、ささいなことで罵られ、小突かれ、蹴られ、パシリにされていましたが、それでも私はいつでも引きつった笑みを浮かべ、グループとは仲が良いかのようにふるまっていました。クラスには私よりずっと悲惨な子もいましたので、そこに落ちまいと必死だったのです。担任を除く全員が私のきわどい状況を理解していました。でもしかたありません。いじめはこの国の文化です。
クラスの食物連鎖の最底辺に転落しないための安全装置が勉強だったのです。成績を上位にキープしてさえいれば、全員のターゲットになるような最悪の事態は避けられます。私はとにかく猛勉強して、地域のトップ校を目指しました。頭の悪い天敵どもとはおさらばできますし、進学校ならばいじめのような幼稚なことをする人はいないと聞いていたからです。
私にとっての勉強とは、その時についた習慣に過ぎません。志望校に入ると黒歴史を振り払うかのように、積極的に周囲に声をかけ、クラスの委員長や部活の部長に立候補し、がむしゃらにキャラ変に努めました。無理に無理を重ねたいっぱいいっぱいの毎日でしたが、初めて親友と呼べる子にも巡り会えました。勉強をすることによる利得とでもいったようなものを学べたように思います。
本作とも密接な(?)関連のある作品「カオルとカオリ」をセルフ出版(ペーパーバック、電子書籍)しています。こちらの舞台は北海道で、ティーンエイジャーである3人の少年少女が織りなす四つの物語から成る連作形式の青春小説です。第一部の「林檎の味」は小説家になろうでも公開しています。
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