勝負を終えて
神子は席を立ち、口を開いた。
「終わったな、私の勝ちだ。だが、ポーカーは運の要素が大きい。この短期決戦ならどちらが勝ってもおかしくはなかった」
さとりも席を立ち、それに答えた。
「いえ、それでも負けは負けですよ」
(ただ、久しぶりに勝負を楽しめたのは事実ですけどね)
負けたさとりであったがどこか満足している様子であった。そんなさとりを見て、神子は言葉を続ける。
「君は心が読めるが故、今までの勝負は何の
苦もなく勝ってきたのだろう。だが、心を読むだけでは勝てないような面白い勝負はたくさんある。さとりも心を読む以外で勝つ快感を味わってみたらどうだ?」
「まあ、それも良いのかもね」
(心を読むことは絶対にやめないけど)
穏やかな表情で答える反面、そう思うさとりであった。
神子は扉の前に立つと、さとりの方へと振り返り、手を挙げ声をかけた。
「それじゃあ、また機会があったら何かしようではないか」
そう別れを告げながら神子は思った。自分とさとりが組めば誰にも負けることはないだろうと。
「ええ、またいつでもお待ちしてますよ」
さとりはにこやかな表情でそう答えた。そして、神子の心を読んで少し考えた。
(一緒に組んだらですか。でも、私と神子が組んだらそれこそ面白くなくなるんじゃないかしら)
そんなさとりを見て、神子はそれもそうかと思いながら扉を開けた。
「では、また会おう」
そう言って、神子は部屋を出た。
こうして、神子とさとりのポーカー対決は神子の勝利に終わった。




