第一話 プロローグ
この作品は、「もしも」的な要素が強い作品です。
歴史であった事実を、作者の独自解釈で加工してあります。
故に、歴史的事実とは異なる出来事や、脚色されていたり、改変されている事柄が多々あります。
そう言う事を踏まえて、お楽しみに為って下さいませ。
尚、思想や宗教色が強い描写もある為、その様なものが苦手な方はご遠慮して下さいませ。
それでは、お楽しみ下さい。
先ずは、プロローグからです。
小説 神々の黄昏
第一話 プロローグ
我は、初めが無く終わりが無い者。
我は、全てを創りし者。
我の故に全ては存在し、又存在を許される。
全ての存在は、我の為にあり。
しかし、我は其れを、強制はせず、存在の意志に任せる事にした。
故に、我は傍観者と為る。
そう、眺める者と為るのだ。
永久にたゆたいし時の流れの中で、いや、その時ですら我が作りだした物に過ぎないのだがな。
先ずは見ていくとしよう。
我の「像」に作り上げた「人間」達を。
初め、
神は、「天」と「地」を創られた。
神は、「光」あれと言われた。すると、「其の様に」為った。
神は、「水」の間に、「空」を創られた。
神は、「地」の上の水を分けて「地」と「海」を創られた。
神は、「地」の上に「草木」を生え出させた。其の種類に従って。
神は、「天」の光を見える「光体」として示され、大きな方があるときは「昼」と、其れが、無いときにも小さな方があり昼でない方を「夜」と呼ばれた。
神は、水に住む生き物を、また、空に住む飛ぶ生き物を、其の種類に従って創られた。
神は、「地」に住む、家畜と野獣、又、動くあらゆる生き物を、其の種類に従って創られた。
神は、自分に似た様に、そう、神の像に「人間」を創られた。
最初、創り上げた「それら」は、非常に「良かった」。
(聖書。創世記の書、より、要約する形で抜粋。)
そう、初めは其れで良かった。しかし、「神」の「像」である人は、自分で決定できる能力を持つが故に、用い方を誤れば諸刃の剣と為りかねなかった。其れでも、我は、人を創り出した。己の意思で「神」を敬う者を創り出したかった故に。しかし、其処を利用する者が、我が創り出した者から現れたのだ。我ではなく、「自ら」を崇拝して貰おうと、そうさせないとしても、「神」に「自分の意思で」反逆させようとして。
其れは、自ら「悪魔」に為った。「人」の心に、猜疑を植え、自尊心を高ぶらせ、「神」に従うよりも、愚かにも、自分で決定した方が有益に為ると「嘘」を言って。
自ら決定出来る「人」は、愚かにも、其の決定を下してしまう。其れにより、彼等は、自分達では如何しようも出来ない事柄迄、決定をしなければ為らない事に為り、自らを苦悶の日々へ追いやる事に為って行く。
「人」の誤った決定は「罪」を生み出した。其の、結果は「死」である。しかし、彼らは其れを受け入れられなかった。故に、我から離れ、己に都合の良い「神々」を作り出し、無駄にも、其れに屈め始めるのであった。
悲しき定めの人々よ。「虚無」に服さざるを得ない「人間」よ。
我は暫し「傍観」しよう。「助け手」は差し伸べる。しかし、御前達が気づくかどうか……。自ら、我から離れ出た故に。
さあ、如何振舞うかを見てみようか。
此れは、我が書き留める、徒然なる物語の一端に過ぎない。
愚かなる人間達。早く、我の事を気付ける様に。
そう、「終わり」が来る前に。
短いですが、此れがプロローグと為ります。
次回から主人公である、李が登場致します。
彼女が如何立ち回り、関与していくか。
其の辺りを楽しんで頂ければ幸いです。
其れでは又。
「終わり」が来る前に、「神」に気付く事が出来ます様に。