私のエッセイ~第五弾:映画「サスペリアPART2」に関する小噺(こばなし)
こんばんは!いかがお過ごしでしょうか・・・?
今宵は、1975年に製作されたイタリア映画「サスペリアPART2」にまつわる小噺です。
去年作ったエッセイなんですが、私のPCのフォルダに眠らせておくのもアレかなぁ・・・と思ったので、今回ここで紹介させていただきますね。
これは、「ホラー映画」というよりは「ミステリー映画」ですね。まだご覧になっていない方のために、「あらすじ」などのネタばれは、一切記しません。
この映画・・・マジで面白いですよ。
私、小学生のときにTVで日本語吹き替え版を観たんですが、今でもそのときのドキドキ感が忘れられません。
たしか、日曜の昼下がりでしたかね・・・外はポカポカ陽気でいい天気。部屋の中まで明るかったにもかかわらず、70年代の洋画特有の荒い画質の薄暗い場面に引き込まれ、視聴中ずっと背筋が寒かったのを覚えています。
今宵お話しようと思うのは、この映画そのものの筋ではなく、この中のワンシーンに関する、私の「発見」のエピソードなんです。
まぁ・・・お読み下されば分かるかと思いますが、実は「発見」なんてたいそうなものでもないんですけどネ。
では、以下に記していきますが、「ですます調」ではなんとなくシックリこないので、あえて硬めの文体の「である調」で書いてみました。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「サスペリアPART2」という映画をご存知だろうか。
原題が「PROFONDO ROSSO(紅い深淵)」というイタリア映画で、私が幼い頃、日本でも大ヒットした。
この映画、内容の出来のよさもさることながら、その「キャッチコピー」も秀逸であった。
『約束です!決して、ひとりでは見ないでください・・・』
非常にインパクトのある、一度見たら忘れられないフレーズである。
のちに、80年代になってVHSの普及版が販売されたが、出演者のオリジナル音声は、英語だった。
この中で、往年のイタリア人の女優クララ・カラマイとイギリス人のハンサムな俳優デヴィッド・ヘミングスが会話するシーンがある。
販売されている「普及版」の中では、二人とも英語で話している「ように見えた」。
しかし、クララの口の動きに何となく違和感を覚えたのだ。何度見返しても、セリフと口の動きがズレているように感じられた。
そのときの私には、画面の中で何が起きているのかは、皆目分からなかった。
ただ、なんとなく気持ちの悪い「敗北感」だけが、何年も私の中に残り続けた。
あとで「イタリア語完全版」という、イタリア語音声による吹き替え直しバージョンが出てきて、ここでようやく長年の謎が解けた。
今度は、全編イタリア語音声。すると、例のシーンでのクララの口の動き・・・見事にイタリア語とシンクロしているではないか!
つまり、デヴィッドが英語で話しかけ、それに対しクララはイタリア語で返していた、ということが判明したのだ!
このことをもっと掘り下げて考えてみると・・・オリジナル音声である英語の「普及版」では、英語が話せないクララのために、そのセリフの部分だけ、こっそりと別の声優の女性が英語で吹き替えていた、ということになる。
ただ、私が気づかなかっただけで、劇中のクララは、このワンシーンのみならず、すべての場面において、他の出演者が全員英語で話す中、実際にはひとりだけイタリア語で話していたのである。迫力ある彼女の演技に圧倒され、そこまで気が回らなかった・・・そんな「マヌケな」オチなのである。
だから、一番大きな「発見」とは、結局この私の「マヌケぶり」ということであった(苦笑)。
そういえば、ピアニストのことをデヴィッドは「Pianist」という英語で話し、それに対し、クララの口の動きは「Pianista」。
・・・見事にイタリア語である。
なお、今度はデヴィッドのセリフと口の動きがズレていた。そりゃそうだ。英語の口の動きに、今度はイタリア語の音声をかぶせたんだから。