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【本編書籍化】ゲーム世界転生〈ダン活〉EX番外編~ハンナちゃんストーリー~  作者: ニシキギ・カエデ
第三章 夏休みの思い出と生産職クラス対抗戦!

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#097 夏祭り最終準備! 衣装を揃えて音頭も取ります!




 とっても楽しかった〈食ダン〉合宿を終え、それからも慌ただしくも夏祭りの準備の日々が続きました。

 ゼフィルス君は何やら多くの夏休みイベントを考えて来ていたようで、それもとっても楽しかったです。


〈食ダン〉だけでは無く、日帰りで〈海ダン〉にも行きました。

 皆さんの水着姿が凄かったです。

 場所もですね、プライベートビーチのような入り江がとっても美しくって、ギルドメンバーで貸し切り状態だったので伸び伸び遊ぶことができたんです。

 見つけてきたのは予想通りゼフィルス君です。よくあんな場所をダンジョンの中に見つけましたよね。すごいです。


 ただ、すごかったのはそれだけでは終わりませんでした。

 その夜、ゼフィルス君主催の〈モンスターハント〉もとい〈肝試し大会〉が行なわれたのは色々と波乱を呼びました。

 まさか幽霊船(ゴーストシップ)なんて、おとぎ話に出てくるような船に乗り込んで宝探しをするとは思いませんでしたよ。


 もちろんゴースト系やスケルトン系のモンスターも登場してみんなで悲鳴を上げながらボコボコにしました。私の〈令猫の魔道書〉も火を噴きましたよ(文字通り)『フレアバースト』です!


 そんな面白可笑しいギルドの遊びも終わり、とうとう夏休みも終わりが見えてきました。


 出店も大体準備が終わり、後は少し人手が欲しいと思っていた今日この頃。

〈海ダン〉を終えた翌日にギルドメンバーに改めて伝えたところ、2人ほど手が挙ったのです。


「ルルも出店やってみたいのです。売り子さんです!」


「はう! ルルの売り子、絶対買いに行きます! ではありませんね。ルル、待ってください。ルルの身長では出店は危険じゃないですか?」


「む、むう。でもやってみたいのです」


「わかりました。それなら私もやりましょう。私がルルを全力でサポートします」


「ふわぁ、ありがとうシェリアお姉ちゃん!」


「ふふふ、ルルがやりたい事をサポートするのもお姉ちゃんの務めですよ」


 ルルちゃんとシェリアさんですね。

 シェリアさんは相変わらずルルちゃん大好きの様子です。むしろいつの間にかお姉さんポジションに収まっています?


 ルルちゃんは当然のようにお料理はした事が無かったので、料理を手渡す係りと売り子さんを頼みました。

 どうやらルルちゃんは2度の合宿で、みんなで美味しいご飯を食べる楽しさに感動し、またみんなでイベントしてみたいと思っての立候補のようです。

 ルルちゃんはギルドのマスコット的存在です。これで大ヒット間違い無しですね!


 シェリアさんは意外となんでも出来るので手が足りない場所のサポートを頼みました。

 また、ルルちゃんに近い場所で作業がしたいと要望が来たので売り子さんも頼みました。売り子さんは何人いても良いですからね。


 後は料理のストックを作るだけです。

空間収納倉庫(アイテムボックス)〉の中は料理がそのまま保存されるので、作り置きが可能です。たくさん作っておくことにしましょう。余ったら御裾分(おすそわ)けすればいいですからね。別のところで売ってもいいですし。


 そんな感じで忙しくも充実した夏休みは過ぎていき、とうとう夏祭りの当日がやってきました。


 お祭り会場はなんと〈戦闘3号館〉という、ゼフィルス君たちの通う校舎です。

 私、ギルドメンバーの多くが通うこの〈戦闘3号館〉に来るの、初めてだったんです。

 お祭りのためすっかり姿は変わってしまっていますが、ちょっとドキドキしますね。

 みなさんはいつもここで勉強を。あ、ダメです、今は夏祭り一色なのでイメージが夏祭りの中勉強している感じになってしまいました。想像をデリートします。


 さて開催は10時ですが、私たちは7時にはすでに準備で店へと入っています。


 お店の場所はかなり良い位置をつかみ取りました。

 申請してくれたのはマリアさんですし、場所取りもマリアさんに全部任せていましたが、校門から直線、正面に立つ大きな(やぐら)へと進むメインストリートにありますので、ここを通るお客さんは多いと思います。


 出店は屋台風ですが、大きいです。

 10人は作業ができるちょっとしたお店ですね。


 出店の看板には大きく『エデン』と書かれています。

 これでここがどのギルドが出店しているのか分かるはずです。

 でも他の出店では〈トウモロコシ〉や〈リンゴ飴〉などメニューを看板にしているところが多い、というかそれが普通なのを見て少し愕然としたのは内緒です。


 メニュー看板は別に作って店の前に立てかけたり吊したりしてお客さんの目線に付く位置にいくつか配置していますが、今気がつきました、他の店では出す商品は1点のところが多いみたいです。

 しかし、〈エデン〉の出店はメニュー専用の看板があるくらいには種類が多いです。

 あれ? 私、頑張りすぎた?


 いえ、気のせいということにしておきましょう。

 他所は他所、うちはうち、です!


「お待たせや、マリー姉からの衣装、届いてるで」


「あ! ありがとうアルルちゃん!」


「ついに来たのです!?」


 そしてこれも忘れてはいけません。出店〈エデン〉の制服です!

 はっぴ姿みたいな青系を基調とした衣装で夏祭りという感じが伝わってくるデザインでした。そして可愛いエプロンです。はっぴにエプロン! なんだかこの組み合わせは可愛いです!

 みんなわーわーと騒ぎながら着ていきます。


「わー! みんな似合うね!」


「ハンナさんも良くお似合いですよ」


 皆さんとっても似合っていました。マリアさんも私を褒めてくれて、嬉しかったです。

 なんだかみんな同じ衣装に身を包むと連帯感が上がった気がします!


「あとマリー姉から伝言や。ギリギリになってすまなかったなぁ、って」


「ううん、ちゃんと当日には仕上げるって最初に言われていましたし、大丈夫ですよ」


 アルルちゃんからの伝言に私は首を振ります。

 この夏休み、マリー先輩のお店〈ワッペンシールステッカー〉はとても大忙しで、この夏祭りを見越した浴衣や甚平の発注が凄かったらしいです。

 なるべく早めに注文していたのですが、それでも完成は当日と言われていましたし、マリー先輩たちがどれだけ忙しかったのか分かりますね。


「料理も出し終わりましたし、後は時間が来るのを待つばかりですね」


 マリアさんの言うとおり、もうすぐ10時です。

 ドキドキしますね。

 そんな私のドキドキは、とあるアルルちゃんの一言で別のドキドキへと変化してしまいます。


「ではハンナはん、音頭を頼みますわぁ」


「へ?」


 そして私は、なぜか店の挨拶の音頭を取ることになっていました。


「えっと、私ですか?」


「もちろんや、ハンナはんが言い出さなかったらうちらは出店に参加していたかわからへんしな」


「はい。アルルさんの言うとおりですよ。この出店のリーダーはハンナさんです。出店書にもそう書いて提出しましたし」


「い、いつの間に……」


 書類関係を全てマリアさんにお任せしていたのが裏目に出ました。私こういうの苦手なのに!

 ですが、確かに私が言い始めたことです。マリアさんの言うとおり、が、頑張らないとです。


「えっと、そうだゼフィルス君を思い出して、あんな感じにやれば多分大丈夫」


 私が思い出したのは、ギルドではやたらと多い打ち上げでいつも乾杯の音頭を取っているゼフィルス君の姿でした。

 あんな感じにやれば大丈夫のハズです……。


「えっと、みなさん! こ、これから2日間は夏祭りです! が、頑張りましょう! 出店の大成功を祈って、乾ぱ――じゃなくって! 精一杯やりとげましょう!」


「「「「「「はーい、がんばろうー」」」」」」


 ふう、なんとかやり遂げました。途中で乾杯しそうになってしまいましたがなんとか誤魔化しきったと思います。


 私が内心汗を拭っていると、皆さんまだ私を見つめたままだと言うことに気がつきました。


 あ、私がリーダーだから指示を出さなくちゃいけないのです。


「みんな配置に付いてください。夏祭りが始まりますよ!」


「「「「「「おー」」」」」」


 私の指示の数分後、校内アナウンスと共に2日間の夏祭りが開催されました。





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
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