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【本編書籍化】ゲーム世界転生〈ダン活〉EX番外編~ハンナちゃんストーリー~  作者: ニシキギ・カエデ
第三章 夏休みの思い出と生産職クラス対抗戦!

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#089 私のお役目。〈生徒会〉で情報をゲットせよ!




 挨拶が終わると、なぜか私はそのままに、ムファサ隊長とチエ先輩は帰っていきました。

 あれ? なんだかムファサ隊長たちは自然に私を置いて帰っていきましたがこれが普通なの?


 そんなことを思っていると前に座るゼフィルス君が口を開きました。


「お疲れ様。これでハンナは名実共に〈生徒会〉に参加することになった。改めて〈生徒会〉の加入おめでとう。まずはお祝いの言葉を贈るな」


「えっと、えへへ。ありがとうね、ゼフィルス君。嬉しいかも」


 ゼフィルス君が祝ってくれるのとか、心配してくれるのとか、さっきのやり取りとか、なんだか急に嬉しくなって照れてしまいました。


「だが安心するのはまだ早いぞ。ハンナには〈生徒会〉と掛け持ちするに当たって、いくつかやってもらわなくちゃいけないことがあるからな」


「へ?」


 むしろこちらが本題、という風にゼフィルス君は言います。


「とはいえそんな大げさなものじゃないけどな。掛け持ちするならギルドの活動は中途半端にはしないこと、というのと〈生徒会〉が掴んだ情報なんかで流してもいいものは〈エデン〉にも知らせてくれること、なんかだ」


「前半は分かるけど後半のそれっていいの!?」


 前半は確かに大げさな話じゃないしそれは当然のことだと思うけれど、後半はさらっと言ったけど大げさな話だと思う。

 でも、ゼフィルス君を含めて動じている人は皆無でした。

 あれ? 私がおかしいのかな?


「いいのいいの。向こうも折込済みだろうから。それに秘密の内部情報を探れとかそういうのじゃなくて、市場で何が過剰気味だとか、今は何が品薄で売れ筋だとか、そういう話な」


「あ、なんだ~」


 それを聞いてちょっと安心しました。てっきりスパイ的な話かと思ってしまった私は悪くないはずです。ゼフィルス君は紛らわしいです。


「もちろんあくまで話してもいいことだけな。あのギルド、こんな悪いことしているみたいです。なんて報告は上げないでくれよ。そっちは〈秩序風紀委員会〉の方にまわしてくれ」


「えっと、はーい」


「とはいえ、そんなことが発覚したら大炎上だからそんな悪いことしているギルドなんていないと思うけどな」


 でもちょっとスパイみたいでドキドキしますね。

 詳しく聞いてみると、これはいたって普通のことなんだそうです。

 シエラさんが説明してくれました。


「学園三大ギルドへの加入は確かに立派なことなのだけど、私たちギルドからするとハンナを引き抜かれてあまりメリットが無い訳ね。だから、うちのギルドメンバーを〈生徒会〉と掛け持ちさせてもいいと思えるほどの見返りを、〈生徒会〉は用意しなくてはいけないの。この情報の引き抜きもその一貫ね。〈生徒会〉もわざと黙認していることなのよ」


 シエラさん、私より〈生徒会〉のことに詳しいのですが……。


 でも、そうなのですね。確かに私がこのまま〈生徒会〉にかかりきりになったら〈エデン〉はとっても困ると思います。

〈エデン〉はポーションの消費が半端ないですからね。市場に買いに走ったら、その金額もさることながら市場のポーションがすぐに枯渇して、例のパニックが再び到来してしまいかねません! いえします! するでしょう!(確信)


 とはいえそんな〈エデン〉の消費量も私なら片手間で作れるので〈生徒会〉と掛け持ちが出来るのですけど。

 これで〈エデン〉のポーションを作るだけで精一杯となったら、私だってさすがに〈生徒会〉のお誘いはお断りさせてもらったはずですから。


 でもそれとこれとは話が別で、私が〈生徒会〉に行く事自体損失を感じてしまうのは仕方がないんですって。

 確かに〈エデン〉での活動は少なくなりますからそれは当然です。


 そのため〈生徒会〉で得られる情報やその他もろもろくらいはギルドで役立てても良いということになっているみたいです。とはいえ、やり過ぎると〈生徒会〉を退会しなくてはならない自体になるようなのであくまでほどほどにです。


 そこにセレスタンさんが補足してくれました。


「以前、ハンナ様が作った魔石を、〈生徒会〉ではお高くお買い求めいただきましたからね。そのように高く売れそうな物、品薄な物などをお教えいただけるだけで十分〈エデン〉の利益に繋がります」


「あ、なるほど~」


 あの〈総商会〉の件ですね。

 あの頃から学園の皆さんからの私を見る目が変わったので忘れられるはずもありません。


 ちなみに、あの時の私の魔石は1億ミールを越えて売れ、その半分が〈エデン〉に入りました。私もたくさん儲けさせてもらったので嬉しかったです。

 あれの納品クエストは〈生徒会〉からの依頼でしたからね。ああいう依頼などが出たらセレスタンさんたちに教えればいいわけですね。


「それからハンナには〈生徒会〉のパイプ役も期待している」


「んへ? パイプ役?」


「そうだ。〈生徒会〉は先の〈キングアブソリュート〉と学園からの依頼を受け、上級ダンジョンの攻略に参加、協力しているだろう? まあ、それは三大ギルド全てではあるんだが、大事なのは三大ギルドの一つに依頼が出せる、その事実なんだ。どこのギルドでもできるわけじゃない。そしてもし何かあったとき、〈生徒会〉が力になってくれるかもしれないというのは大きな力になる」


「それが〈エデン〉の一番のメリットね。三大ギルドは学園の公式ギルド、その一つと太いパイプを持つというのは悪い事ではないわ」


 ゼフィルス君とシエラさんの話が大きすぎて、私はパンクしそうになりました。


「えっと?」


 私が目を回しているとそれを見て察したのかもしれません。

 ゼフィルス君が苦笑して言いました。


「まあ、ハンナはこれまで通り〈エデン〉と〈生徒会〉を掛け持ちし、自由に活動してOKということだ。もし何かあってもそれはセレスタンや俺の方で解決するから問題は無い。多分」


 最後の言葉が少し不安でしたが、私は頷くしかありませんでした。

 えっとゼフィルス君、信じてるからね?





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
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