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#009 〈爆指輪〉のテストをしようとしたら。




 今日の放課後はゼフィルス君に用事があって一緒できないので、ギルド〈エデン〉ではなくクラスの友達とダンジョンです。


「ハンナさん、〈『ゲスト』の腕輪〉を持たなくてもいいのかしら?」


「はい。アルストリアさん、今日はこの指輪の能力も確かめたいので」


「わ、私もみたいです! これ、中級素材が使われているのですよね?」


「はい。色々とたくさんの素材を使っていますけど、メインで使ったのはすべて中級産ですよ」


「す、すごいのですね。私も早く作ってみたいです!」


 今日は初級下位(ショッカー)にある〈静水の地下ダンジョン〉に来ています。

 ここでは主に〈釣り〉ができますが、他にも少しだけ採取や発掘もできますし、錬金には欠かせない、品質の高い水を手に入れることが出来るダンジョンでもあります。

 それにここのトカゲモンスターからドロップする胆石は調合に使えるので何個かはゲットしておきたいですね。


 ちなみに今日のメンバーですが、〈錬金術課〉から三名、私とアルストリアさん、シレイアさんが参加します。

 さらにもう何人か居ます。


「えっと、〈エデン〉のハンナさんですよね。ぼくのこと覚えていますか?」


「うん。モナ君ですよね? この前パーティでご一緒しました」


 モナ君。ゼフィルス君が紹介してきた〈採集課〉の一年生です。

 以前一緒のパーティにゲストとして付いてきましたので顔見知りです。

 女の子寄りの顔と体つきですが、男の子です。間違わないようにしないと。

 職業(ジョブ)は【ファーマー】、採取に強い職業(ジョブ)とのことです。


「あ、そうです。よかったぁ。あ、そうそう、ゼフィルスさんから頼まれていた僕のパーティメンバーを紹介させてください。【コリマー】のアンベルさん、【炭鉱夫】のソドガガさん、【フィッシャー】のタイチさん、【アイテム士】のサティナさんです」


「紹介に預かった【コリマー】のアンベルよ」


「【炭鉱夫】、ソドガガ」


「僕は【フィッシャー】タイチです。魚のことなら僕に任せてください」


「【アイテム士】のサティナです。よろしくお願いします」


 モナ君が後ろにいる仲間を紹介してくれます。

 えっと【コリマー】のアンベルさんと【アイテム士】のサティナさんは女性ですね。同じ一年生みたいです。

 アンベルさんは身長が高く、長い金髪のポニーテールの人で私が憧れるお姉さん系。

 サティナさんはカルアちゃんみたいな雰囲気を感じます。感情の起伏に乏しそうな感じの表情と言えば良いのでしょうか。あと黄色のカチューシャで短い髪を整えています。


 確かゼフィルス君に聞いた覚えがあります、【コリマー】は斧士系の職業(ジョブ)ですが、伐採系の採集スキルを伸ばすことも出来る、戦闘職と採集職が混ざった職業(ジョブ)だとのことです。【コリマー】が一番伐採系に伸ばせるので、「採集課で良いのが居たらゲストに欲しい」と言っていました。


 サティナさんの【アイテム士】は聞いたことが無かったのですが、どうも消費アイテムの能力を上げる専門的な職業(ジョブ)みたいです。ご本人からそう教えて貰いました。

【投擲士】系の高位職とのことで、このパーティの戦力の要とのことです。


 ソドガガさんとタイチさんは男子で、こちらも同じ一年生でした。

【炭鉱夫】は発掘系にたくさんの恩恵が得られ、【フィッシャー】は文字通り釣り系に恩恵があるらしいです。


 彼ら、彼女たちとはこのダンジョンの入口門のある〈初ダン〉で偶然会いまして、同行することになりました。


「パーティ名は〈採集無双〉といいます。よろしくお願いします」


「こちらこそ、〈採集課〉の方々がいると心強いです。よろしくお願いします」


 そして最後のメンバーですが、


「みなさーん初めましての人も多いと思うけど、私は〈生徒会〉メンバーの2年生、ミリアスだよ。職業(ジョブ)は【高位料理人】。よろしくね?」


 ミーア先輩です。

 どうしてこの集まりに参加しているのか分かりません。

 私たちが素材採取に行こうとしたとき、偶然校舎で会いまして、話したら一緒に行きたいとのことでこうなりました。


〈採集無双〉のパーティさんはミーア先輩の自己紹介を聞いて「へっ?」てなっていましたが、私も説明できないのでモナ君こっち見ないで。私はそっと視線を逸らします。


 ちなみにミーア先輩の【高位料理人】は【調理師】系の高位職とのことです。凄いよね~。

〈生徒会〉の方に付いてきてもらえるなんて心強いよね。

 そういうことです。


 さて、今日はこの9人でダンジョンで採集をメインに活動します。

〈『ゲスト』の腕輪〉は、今日は使う人は居ないようです。

 初級下位(ショッカー)ですからね。ここのトカゲモンスターは鈍いので接近に気がつければ生産職でも逃げることができますから。


 私たち〈錬金術課〉のパーティメンバーも紹介して、ミーア先輩にはこちらのパーティに加わってもらい、いざ出発です。




「採取ポイント、発見!」


「釣りポイント発見だ!」


 ダンジョンを歩き出して数十分、少しずつ生きている採集ポイントを発見することができるようになってきました。


 この生きているポイントの発見が結構難しく、浅い層の採集ポイントは根こそぎ刈られていることが多いです。

 その代わり、深いところはあまり〈採集課〉は向かいませんので生きているポイントが多いです。


 しかし、さすがは〈採集課〉の面々です。

 私では見つけられない、隠れた、もしくは反応が弱いポイントを次々と発見していきます。


 今日の目的は採集ですのでとても助かりますね。

 採集は専門課に任せましょう。私は、


「! モンスターが来てますわ!」


「私がやります!」


 アルストリアさんの警告に全員が今行なっている作業を中断して構えました。

 私もすぐに武器である〈マナライトの杖〉を構えます。

 来ているトカゲモンスターは1体ですね。

 これなら杖の能力である『ファイヤーボールLV5』で軽々と屠れます。


 しかし、今回はこの指輪の威力検証もしに来ているので魔法はやめておきましょう。


「〈爆指輪〉使います! 爆指輪(ばくゆびわ)――発射(ドン)!」


 周りに警告したあと、指輪に発動キーを告げると、赤色の宝石がキラリと輝き、そこからビー玉サイズの火の玉が飛んでいきました。


 狙いは以前の〈爆指輪〉(並)で散々試していたので狙い通りの位置に飛んでいきます、トカゲモンスターは動きが遅いので外しません。そして着弾。


 ドーンッ! という爆発音が地下に響きました。ですが、これほど近くに居るのに衝撃はほとんどありません。アイテムの効果でこの爆発は一定範囲以外には影響しないのです。


 爆発の煙が収まるとそこには〈胆石〉がドロップしておりモンスターは確認出来ません。


「倒しました!」


「す、すごい威力ですね」


 モナ君の言うとおり凄い威力でした。

 中級素材で作った攻撃アイテムでは初級下位(ショッカー)のモンスター程度、一撃みたいです。

 正直、ここでは〈爆指輪〉が強すぎて検証に不向きでした、と今思いましたが内緒にしておきます。えへへ。


 とりあえず、この〈爆指輪(ばくゆびわ)〉が大変強いのは分かりました。





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― 新着の感想 ―
[気になる点] えっ、胆石? トカゲの?
[良い点] 勇者サイドだと光の当たらないところが見えて良いですね。
[一言] モナ君のこと、気になってはいたのだがちゃんと動いてたのね。放置されてなくてよかったよかった。
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