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【本編書籍化】ゲーム世界転生〈ダン活〉EX番外編~ハンナちゃんストーリー~  作者: ニシキギ・カエデ
第二章 ピンチな〈生徒会〉への助力表明編

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#071 テストが始まりました!




 テスト当日。

 今週は一週間掛けて期末試験が行なわれます。

 月曜日から水曜日までの3日間はペーパーテスト。

 木曜日から金曜日までの2日間は実技でのテストですね。


 ペーパーテストの方は〈エデン〉のみんなとアルストリアさんの勉強会もあり、とても手応えを感じる結果となりました。


 特にゼフィルス君から教えて貰ったことが大きかったですね。

 なんでゼフィルス君は、〈戦闘課〉なのに〈錬金術課〉の勉強までしているのでしょう?

 聞いてみたら「俺に知らないことは無い!」と言われました。いつものアレです。


 それはともかくです。

 水曜日のテスト、7教科も終わり、やっと放課後に突入したところでシレイアさんが頭から煙を出して机に突っ伏していました。


「うにゅ~。やっと終わりました~」


「お疲れ様ですわシレイアさん。ハンナさんも」


「お疲れ様です。アルストリアさん、シレイアさん」


 アルストリアさんも集まってきたので互いに労います。

 シレイアさんが伸びていますが、気持ちは分からなくありません。私も、初めての期末テストは疲れました。


「シレイアさんはよく頑張りましたわね。手応えはどうだったのですの?」


「うにゅ、よく分かりません、でしたが、勉強を見てもらった成果はあったと思う、です」


「それなら一安心ですね」


 シレイアさんは〈錬金術課1年1組〉で私の次にレベルが高いこともあり、職業(ジョブ)に対して非常に貪欲です。勉強に対する集中力もすごいです。

 ですが自分の興味のある事に爆走する傾向があるためか、他がおろそかになりがちのようなのです。

 授業中も、他の錬金のことばっかり考えているみたいですしね。


 おかげで私たちが最初にシレイアさんの勉強を見始めた時は、その、通常授業の国語、数学、歴史のできなさ具合に驚いちゃいました。

 とはいえシレイアさんは一度集中すると、とことんまでやりこむ集中力の高さがあります。

 アルストリアさんが教えるとどんどん呑み込んでいき、まず間違いなく平均点は確保できる、くらいの勉強ができるようになりました。


「これからは通常の授業でもちゃんと勉強するんですのよ?」


「は、はいです。このたびは大変お世話になりました、です」


「これくらいは別に構いませんわよ。わたくしだって〈旅の道連れの錬金店〉ではまだまだ戦力になれていませんもの。人は持ちつ持たれつ。助け合いですわ」


 さすがアルストリアさんです。かっこいいです。

 私もいつか、こんなかっこいい言葉が似合う女性になりたいです。まずは身長プリーズ!


 でも、アルストリアさんは商品作りが私たちより少ないのは確かですが、積極的に売子したり、帳簿を付けてくださったりするなどして〈旅の道連れの錬金店〉を支えてくれています。戦力になれていないということはないと思うのですが、その点を言っても多分アルストリアさんは認めないですね。商売に対しての姿勢が厳しい方ですから。

 こういうところ私も見習わないと、ですね。


「次は明日、ですね」


「本番と言っても良いですわね。何がお題になるのでしょう」


「ですが、こ、この三人なら何が来ても大丈夫だと思うのです」


 生産職は腕が命です。

 そのため、ペーパーテストなんかより実技の方がよほど重要です。

 それは他の課でも言えることですが、生産職の腕の良さは生活にとても直結しています。重要度がまったく違うのです。


 例えば戦闘職では腕が悪くても、レベルは上がるので弱いモンスターを狩ったりすれば収入は得られます。

 採集職ならたとえ腕が悪くても食べるのに困りません、逆に言えば腕が良くても高評価、高収入を得られづらいという側面もあります。

 しかし生産職であれば腕が悪いと、買って貰えないので食べていけません。その代わり腕が良いと高評価、高収入が得られやすくなる、ハイリスク・ハイリターンの可能性を秘めています。


 そういうわけで、アルストリアさんが言うとおり、これからが本番です。


 私たちは今日も早めに帰宅し、何が来ても良いよう腕を磨いて、最近勉強会などで少し鈍ったかもしれない腕をメンテナンスしました。


 全然鈍っていませんでしたけどね。全ての工程をイメージ通りに進めることができました。


 それを確かめた後、今日は早めに寝ることにしました。


 そして翌朝、今日から実技テストが始まります。




「一年生〈錬金術課〉の皆さん。集まりましたね」


 期末試験4日目、教室でアイス先生が教壇に立って言います。


「これから錬金工房へと移動し、各自にお題を出します。そうして出されたお題に関して、手順、工程、素材の選択、そしてできあがりの品を全て見させていただき、点数を付けさせてもらいます。今日はアシスタントとして研究所の方々にもお越しいただいています、彼らにあなた方がこれまで勉強してきた成果を見せてあげてくださいね」


 アイス先生がそう言うと、教壇の左右に待機していた白衣の方々が一礼しました。10人くらいでしょうか? あの方々が評価をくださるみたいですね。


「では、肝心のお題ですね。一覧を用意してきました。この中から錬金術の基礎となる〈ポーション〉、〈中和剤〉、〈合成素材〉、〈触媒〉、〈鍛冶オイル〉、〈塗料〉、〈クラフトニス〉を作製し、その他にこの一覧の中から自分が得意とする商品を5つ作ってください。今回は商品としての仕上がりを期待しています」


 そう言ってアイス先生が広げた巻物は、とても長いものでした。

 瞬間、教室内がざわつきます。

 えっと、つまり、錬金術の基礎となる品7種類に加えて、5種類は自分の好きに作って良い、ということですね。

 巻物には点数の高い物、低い物と分けて書かれているようです。

 点数が高い物は当然ながら作製難易度が高い物です。


「期限は2日間。今あなた方ができる最高の品を見せてくださいね。また、今から明日の終わりに掛けて〈大図書館〉への出入りは禁止いたします。また、過度な情報収集が見られた場合には減点もありますので、なるべく自力での解決をおすすめします。また、この事について口外一切禁止していますので、喋ってはいけませんよ?」


 そう言ってアイス先生が締めると、いくつか質問が飛んだ後、錬金工房へ移動することとなりました。

 私がアルストリアさん、シレイアさんと目配せすると、二人はニコッと微笑みを返してくれました。私もにっこりします。


 これくらいなら、私たち三人には楽勝です。

 高得点を狙いますよ!





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[気になる点] あれ? ハンナ一家はびん…もとい、ちょっと貧しい感じだったよね? つまり、ハンナ父さん、腕が………。
[気になる点] 試験のお題にポーションや中和剤があるってことは作成ができない闇錬金術師は錬金術課ではないか個別に違う内容の試験でもしてるんだろうか? それともまさか毒物系のポーションでもオッケーでその…
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