#055 最後の〈生徒会〉メンバーの行方。
「ハンナお姉ちゃん! 今日はよろしくなのです!」
「はいルルちゃん。こちらこそよろしくお願いしますね」
私の前には私より小柄、というより幼い感じの同級生がいます。
私も身体は少し小さい方で、実年齢より2,3歳下に見られてしまうことが多いのですが、目の前にいるルルちゃんは年齢1桁と言われても納得しそうな幼さがあります。そしてとても可愛いです。
でも同級生なんですよ? しかも〈戦闘課〉のトップである1年1組に在籍しています。
人は見かけによらないを体現していますよね。
ちなみにルルちゃんは私と同じギルド〈エデン〉に所属していて、職業は【ロリータヒーロー】に就いています。
ゼフィルス君いわく、「ヒーロー最高!」とのことです。
どういう意味かはよく分からなかったのですが、ルルちゃんがとても強いのは分かっています。
そして今日はギルドメンバーであり仲の良いルルちゃんに、ダンジョンの護衛を頼んだのです。
昨日の依頼を受け、今日はダンジョンに行こうとしたのですが、他のギルドのメンバーの都合がつかず、ルルちゃんと2人旅になったのです。ルルちゃんの保護者ポジションにいるシェリアさんも用事があるらしく私に「ルルをよろしく頼みます」って言って何度も頭を下げていました。
保護者ポジションって言ってもシェリアさんも同級生のはずなんですけどね。
「ハンナお姉ちゃん、今日はどこまで行くのです?」
「…………」
ハンナお姉ちゃん。
なんでしょう。心のそこから何かがわき上がってきそうです。
ダメです。これに支配されたらシェリアさんみたいになってしまいます。
「ハンナお姉ちゃん、どうしたのです? 大丈夫なのですか?」
私がジーンときて葛藤していると、首を傾げたルルちゃんが心配そうに覗き込んできました。
だ、ダメです。飲まれてはいけないのです。
私は勤めて冷静に振る舞います。
「だ、大丈夫だよルルちゃん。えっと、どこまで行くかだったよね。今日は初級中位ダンジョンの〈小狼の浅森ダンジョン〉に行きたいのだけど。ルルちゃんと2人で大丈夫かな?」
「モチモチのロンなのです!」
モチモチ……。つい目がルルちゃんのほっぺに向かってしまいます。
さ、触ってみたい……。ハッ! だ、ダメです! 冷静になるのです私!
気軽に女の子のほっぺに触ってはいけません! でも後で触っても良いか聞いてみましょう。
えっと、そうでした。〈小狼の浅森ダンジョン〉に行くという話です。
〈小狼の浅森ダンジョン〉は初級中位ダンジョンの中では最も難易度が高いダンジョンです。
出てくるモンスターは〈ウルフ〉系で、複数表れ、連携をとって襲ってきます。被弾しやすく、ここで足止めをくらい進めなくなる学生は多いらしいです。
私もアイテムの腕には自信がありますが、〈ゴブリン〉ならともかく〈ウルフ〉はすばしっこくて強いので私1人ではここを攻略するのが少し難しいです。そのためルルちゃんに護衛を頼んだ形です。
ルルちゃんは挑発スキルも使えますし、攻撃も防御も優れています。回復は出来ないのでそれは私の役目ですね。お薬担当です。
そして今日の目的ですが。
「実は〈小狼の浅森ダンジョン〉で何日も泊り込んでいる方がいるのだけど、その人を探したいの」
「泊り込んでいるのです?」
ルルちゃんが首を傾げ、不思議そうに聞いてきます。
首を傾げるルルちゃんが可愛い。
正面に邪悪な者がいたとしても浄化されそうな尊さです。なぜかローダ先輩の姿が思い浮かんだのは内緒です。
「そうなの。なんだか『最高の作品を作るんだ』って言い残してダンジョン週間中にダンジョン内でお泊りしながら過ごしていたらしいのだけど、ダンジョン週間を過ぎても戻ってこないんだって」
「ほへぇ~」
最初聞いたときは私も今のルルちゃんと同じくほへった顔をしました。
ダンジョンから戻らないというのは大事件じゃないか、と思うかもしれませんが、その人はよくあることなんだそうです。
しかも、一度はお迎えに別の人が行ったらしいのですが、「帰らない帰らない私は作品が出来るまで帰らないー」と駄々を捏ねられ追い返されたとのこと。もうダンジョン週間は終わって学園が再開しているのですが……。
そして困ったことにこの人、〈生徒会〉のメンバーの1人らしいのです。
寮の部屋にも、所属しているギルドにもおらず、いつ帰ってくるかも分からないとなれば一度会いに行くしかありません。
そう私が説明するとルルちゃんは『ぽむっ』と擬音が付きそうな動作で自分の胸を叩きます。ちなみにぽむぽむしているのはルルちゃんの手のほうですね。
「分かったのです! その人探しルルに任せるのです!」
でもその動作は、すごく可愛いと思いました。




