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#004 緊張の新入生代表の挨拶。足が震えても頑張れ!




「もうすぐ新入生代表の挨拶の時間だよ!」


「あの、やっぱり私よりもふさわしい方がいるのではないかと、思いますが!?」


「今更何言ってんの! 呼ばれたら胸を張って行ってらっしゃい!」


「ふえ~」


 私は今窮地に立っています。

 ミリアス先輩ことミーア先輩にはあの後、〈錬金術課〉の校舎や他の課の校舎を案内してもらいました。

 私は恐縮しっぱなしでしたが、なんとか午前中が終わって食事を取ったことで落ち着いてきたのです。


 ですが、落ち着くのは早かったようです。

 まさか午後一番の行事が新入生代表の挨拶だったなんて! 言われていましたけど忘れていました! もしかしたら忘れたかったのかもしれません。


 本日5月2日は入学始業式とも言われ、初めて1年生のクラス分けがされる日です。

 私の専攻はもちろん〈錬金術課〉ですが、その人数は28人と少なかったです。1組しかありませんでした。

 って、それはまだいいですね。問題なのはその日、午前中にクラス分けが終わると午後一番に待っているのは新入生代表の挨拶だということです。


 この新入生代表の挨拶は〈戦闘課〉では課ごとの代表ということになっていますが、〈生産専攻〉の場合人数が〈戦闘課〉より全然少ないので〈専攻〉別に代表が決まります。


 つまり私は〈ダンジョン生産専攻〉に所属する全ての学生の代表、ということです。

 何で私なの!?(それはね1年生でLVトップだからさ)


 全生産専攻1年生が集まる校庭で、私の足がプルプルしているのはきっと気のせいではありません。

 壇上ではこの迷宮学園で最も偉い、髭がふっさふさな学園長先生がためになるお話をしてくださっていますが、私の耳には残りませんでした。


「続いて、新入生代表の挨拶」


「はい、いってらっしゃいハンナちゃん。覚悟決めるんだよ」


「は、はいー」


 ミーアさんに励まされ、壇上へ向かいますが、おかしいです。

 私、右手と右足が一緒に出ています。でも分かっているのに変えられません。

 だって学生全ての視線が私に向かっているって分かるんですもん。

 それにこっそりとした話し声が聞こえてきます。


「おい、あれが」


「ああ、〈麒麟児のハンナ〉だ。〈生産専攻〉に所属しながら〈戦闘課〉の誰にも負けない高レベルの所持者らしい」


「しかも【錬金術師】なのに頻繁にダンジョンへ潜っているとのことだぞ」


「あの見た目でモンスターを容赦なくボコするらしい」


「……生産職、だよな?」


「俺も叩かれたい」


「可愛く『えいっ』ってされたい」


「なんか変なの湧いた。しかし、本当にあのロリ姿で強いのか? 信じられんぞ」


「あの〈エデン〉で唯一の生産職にして初期メンバーの1人だ。あまり知られていないが勇者氏や王女様と肩を並べてダンジョンで活躍するらしいぞ」


「見ろ、あの胸に輝く証の数を。すでに初級は9つ全てクリア済みだ」


「す、すげえ。……ひとつ上の俺の兄貴、この前初級上位(ショッコー)に進めたんだって笑ってたのに。もう抜かされてる……」


 うう。聞こえてる。聞こえてるよ。

 正しいのもあるけど尾ひれが付いてるものも多いよ~。

 ほとんどゼフィルス君のおかげなのに。


 やっぱり証は部屋に置いてきたかったよ~。

 クラス替えがあるから、この日だけは一目で攻略階層が分かるようにしなくちゃいけなかったんだよ~。


 胸に輝く9つの証、誇らしいけど、ゼフィルス君たちとダンジョン攻略した証なんだけどー、今だけは外したい。


 そんなことを考えているといつの間にか壇上へ到着していた。

 なんとか躓かずに上に立てました。ここで転んでいたら、恥ずかしくて引きこもっていたでしょう。本当に良かったです。でも本番はここから。


 うう。見ています。注目の的です。

 もうここまで来たら覚悟を決めます。

 ゼフィルス君。私、頑張るよ!


 昨日アイス先生と考えた、代表の挨拶のセリフが書かれた紙を取り出して広げ、マイクに向かって声が裏返らないようにしっかりと声に出して言います。


「せ、〈生産専攻〉代表、〈錬金術課1年1組〉、ハンナです! 職業(ジョブ)は【錬金術師】、LVは昨日52になりました」


 私がレベルを告げると校庭がざわつきました。

 この国は実力主義。実力とは能力であり、能力とはレベルです。

 そのため代表はレベルを告げるのが礼儀だとアイス先生に教わりました。


 もちろんレベルだけでは推し量れないものもありますが、それはひとまず置いておき、ひとつの指標として、レベルが高いことはそれだけの能力が高いことを意味します。


 そして私のレベルは、この時はあまり自覚はありませんでしたが、ものすごく高かったそうです。


 同学年の〈生産専攻〉でトップは私のLV52、そして二位は……LV15だったそうです。

 後で知って震え声が出ました。

 私、どれだけ能力が高いと思われているの?


 二年生ですら半分くらいは私のレベルに届いていないとのことなので、このざわめきは必然でした。


 ですが、この時の私はいっぱいいっぱいでざわめきに気が付かず、そのまま代表の言葉を続けました。


「は、早いもので入学式から1ヶ月が経ちました。春の訪れと共に私たち1年生は16歳となり、将来に欠かせない職業(ジョブ)に発現するため、この1ヶ月先生方や先輩方にたくさん助けられ、また同級生と共に切磋琢磨し、この日を迎えられました」


 この1ヶ月、1年生は自分の職業(ジョブ)発現に心血を注ぎました。

 将来自分がなりたいことができるよう、頑張ったのです。


「暖かな指導とご鞭撻、そして学園全体の協力があってこそ、私たちは今日という日を迎えられたと思います。本当にありがとうございました」


 新入生代表として学園や先輩への感謝を告げます。

 そして今後の目標や抱負を語っていきました。


「わ、私は生産職です。自分が今所属しているギルドを全力でサポートすると共に、ギルドが目標へ一歩でも近づけるよう、この迷宮学園で精一杯努力を重ねていきたいです。ですが、先生方、先輩方、もし私たちが道を誤ったり、答えを間違えているときは、どうか力を貸してください。暖かいご指導よろしくお願いいたします。――新入生代表挨拶、終わります!」


 い、言い切りました。

 学園長先生が多忙ということでかなり簡素な形らしいですが、私はこれを作るのに半日という時間を使いました。

 最後はギブアップしてアイス先生に付き合ってもらいましたが……。


 アイス先生、ありがとうございます!


 一礼してミーア先輩のいる場所に戻るとなぜか頭を撫でられながら褒められました。


「ハンナちゃん良かったよ! 凄く頑張ったね、いい子いい子してあげる!」


「はい……。頑張りました……」


 小さい子扱いされているような気がするのは気のせいでしょうか?

 いえ、きっとからかわれてます。

 ですが今は大きな山を越え、緊張が抜けていたからでしょうか、とても安堵しました。

 でも、後でミーア先輩には言っておかなければいけません。

 私はレディだと。




挿絵(By みてみん)

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[一言] 俺もハンナちゃんをいいこいいこしたい
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