#198 ギルドで2泊3日の温泉ツアーに行きたいかー!
年始からだいぶ経って今日はもう1月10日です。
この10日間、とても濃かったです。
ゼフィルス君が〈キングアブソリュート〉、〈百鬼夜行〉、〈千剣フラカル〉、〈獣王ガルタイガ〉のトップクラスのギルドたちを連れて行なった合同攻略で、なんと未だ誰も攻略した事の無い未踏破ダンジョンを攻略してしまったからさあ大変です。
その後処理とかでゼフィルス君はしばらくギルドハウスに来てすらいませんでした。
学園が震撼するほどの大事ですからね。仕方ありません。でも心配はしていません。
ゼフィルス君ですから。しばらくぶりにギルドハウスにやって来たゼフィルス君はいつにも増してご機嫌でした。とても喜んでいます。何をしたのかな?
他には冬休みで一時的に帰省していたメンバーが帰ってきましたね。
久しぶりにギルドメンバー全員集合です。
冬休みは12日までですから、もう数日残っています。
そして今日、ゼフィルス君がみんなに告げたのです。
「さてみんな揃ってるな! 今日から泊まりがけで〈秘境ダン〉の温泉ツアーに行くぞー!! 準備は良いかーー!!」
「「「「おおー!!」」」」
そう旅行です。しかも温泉旅行です。
以前カンストしていたメンバーを〈上級転職〉させた理由でもあります。
これから行くのはエクストラダンジョンの1つ、〈秘境の温泉ダンジョン〉通称〈秘境ダン〉です! 聞けば最低でも中級上位級のモンスターが出てくるというとっても難易度の高いダンジョンだそうです。
でも準備は万端です!
「よし、ではしゅっぱーつ!」
今日はギルド全員参加でのダンジョン入ダンですよ!
〈秘境ダン〉は観光地ダンジョンです。1層がモンスターの出ない温泉街になっていて、学生の慰安旅行にもよく使われるそうです。
ギルドハウスから歩いて20分、ダンジョンに入ダンしました。
門を潜ると、そこはもう一面雪景色です。
「ふわ、寒ーい!」
「真っ白です!」
「雪ー冷たーいのです!」
温泉のたくさんある〈秘境ダン〉は、なんと雪だらけのダンジョンでもあるんですよ。
私も初めて来ましたけど、寒いー。
一応温かい服装で来たのですが、ダンジョンはとても寒かったです
「みんな無理はしないようにな。無理そうなら〈耐寒のコート〉を貸し出すからな」
「「「はーい」」」
『防寒』スキルの付いた〈耐寒のコート〉はここを通るときに非常に優秀らしく、レンタルで安く取り扱っていました。
ですが通の旅行者さんはむしろ「コートなど邪道、冷え切った体を温泉で温めたときに真の至福がある」と言って着ない人も多いんだって。
それで私もものは試しにそのまま来ましたが、これは無理です。しもやけになっちゃうよ。早速コートを着用しました。すると、先ほどの寒さが嘘のように消え去ります。
「ふう、生き返りました」
「まったくですわね」
「よ、予想を遥かに超える寒さだったのです」
私の呟きにアルストリアさんとシレイアさんも頷きます。
ものは試しで行ってはいけない寒さでしたね。
結局みなさん〈耐寒のコート〉を着るか、別の『耐寒』系スキルが付いた装備を着けていました。
温泉街には露天風呂も多そうですが、そこって本当に入って大丈夫なんでしょうか?
「これは、寒すぎて露天風呂には入れないんじゃありませんの?」
あ、私が思ったことをアルストリアさんも思ったみたいです。
ですがそれにシレイアさんが答えます。
「大丈夫みたいですよ。温泉に入ると『湯着』という寒さに強くなるパッシブスキルが付与されるみたいで、外での温泉を楽しめるみたいです」
「詳しいですねシレイアさん」
「は、はい! 実は温泉好きなんです」
そういえばシレイアさんってお風呂大好きでしたね。機会があれば〈秘境ダン〉にも来てみたかったみたいです。
「温泉、楽しみです」
こんなにウキウキしているシレイアさんはなかなかレアですね。
私もなんだかとても楽しみになってきました。
そこからしばらくダンジョン内を進むと、温泉街が見えてきます。
一面雪景色なのは変わりませんが、その中でライトアップされ照らされる旅館や道はとても煌びやかで賑やかでした。
「ここが、温泉街なんですのね」
「綺麗ですね」
とにかく光が眩しいです。ライトがそこら中で光っています。
これが温泉街という場所なんですね。
ゼフィルス君はその中から学生が主に泊る学生宿へと向かいました。
ここはギルド単位で泊ることを前提にされている宿らしく、この冬休みという繁忙期でも予約が取れたそうです。
ゼフィルス君曰く、この人数で他に宿を取るのは難しかったみたいです。
40人以上いますからね。
早速チェックインを済ませます。
「部屋は私とアルストリアさん、シレイアさん、マリアさん、メリーナ先輩ですね」
「同じ部屋ですね、よろしくお願いします」
「目一杯羽を伸ばしましょう。こんな良いところに来れることなんてそうそうないんだから。これは先輩としての経験談よ」
マリアさんとメリーナ先輩とは同室になりました。
メリーナ先輩からはとても気合いの入った言葉までありました。
どうやらメリーナ先輩もこの〈秘境ダン〉に来るのは初めてみたいなんです。エクストラダンジョンに入るだけでも結構な額がいるらしいですからね。
メリーナ先輩の言葉を肝に銘じ、まずは、というよりも早速温泉に入りに行きます。
ここには温泉に入りに来たんですからね。
学生宿の一階には、それはそれは巨大な、それこそ千人でも入れる巨大な温泉施設があるのです。
「一番乗りです!」
「あ、シレイアさんずるいです」
「わ、わ、シレイアさんタオルが落ちましたわよ」
シレイアさんがこんなに目を輝かせるなんて、よっぽど楽しみだったんですね。
今回一緒に来た35人の女子の中で、最初に温泉に踏み込んだのはシレイアさんでした。
アルストリアさんが慌ててタオルを持って追いかけていきましたよ。
そのままノエルさんやシャロンさんもどんどん入っていきます。私も続かないと!
「わぁ! ここ、すごい! これ全部温泉なの!」
そこには圧巻の光景がありました。
まず目に入ってきたのは大きな滝でした。
温泉に、滝、すごいです。
そして大きなお風呂があるのかと思いきや、たくさんのそれこそ何十種類もの温泉があって、効能やらなんやら、とても多岐に渡って展開していたのです。〈縁結びの温泉〉なるところもありました。要チェックです。
これは1回ではとても全て入りきれません。
今回の温泉旅行は2泊3日。その間にこの温泉を全て制覇できるでしょうか?




