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【本編書籍化】ゲーム世界転生〈ダン活〉EX番外編~ハンナちゃんストーリー~  作者: ニシキギ・カエデ
第四章 ハンナの大変化する日常編!

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#190 Aランク戦!〈エデン〉VS〈筋肉は最強だ〉




 Aランク戦が始まります。


 フィールドは〈ピラミッド〉というところで、中央に大きな山、丘? のようなものあって、東西南北と斜めの8箇所から進入できます。そしてその山を囲むように8つの拠点があって、その外側に10の拠点がある作りをしています。


〈エデン〉の拠点は中央のピラミッド山と呼ばれている大きな山の(ふもと)にあって北側に配置されていました。


 一見4つの拠点に囲まれているようにも見えるかなり難しい場所です。

 大丈夫でしょうか?


 そんな心配は、試合開始と共に吹き飛びました。


「ちょ、ラナ殿下!?」


「ラナ殿下やり過ぎや!?」


「は、はわ!?」


 開始のブザーと共に放たれたのはラナ殿下の十の宝剣でした。

 あれ、ギルドバトルのフィールドの減退効果を受けない超長距離攻撃なんですよね。

 このフィールドは広いですが、18もギルドが参加しているせいで拠点と拠点の間が、ちょっと狭いです。

 なんてことでしょう、ラナ殿下は拠点に居ながら相手の拠点を射程に捉えていたのです。


「わぁおー!」


 アルルちゃんがびっくりしたみたいな声を出しました。

 ラナ殿下が開幕と同時に宝剣を放つと、それに続くように〈エデン〉から半数近くのメンバーが飛び出したからです。


 狙いは〈弓聖手(きゅうせいしゅ)〉。なんとBランク非公式ランキングでは7位という強豪ギルドです。

 ですが。3分足らずで落ちました。


「や、やばいわ~」


「私も今とんでもないものを見た」


「わ、私もです」


 開始僅か3分もしないうちに〈弓聖手〉が退場しました。最下位です。


 普通はどこかの拠点が落ちれば歓声を上げる観客席がざわめきしか上げていません。

 とんでもないです。

 もうとんでもないことですよ。


 でもあれって私たちのギルドなんですよね……。


「さ、さすがは評価規格外やな。〈弓聖手〉はなんや、ご愁傷様やった」


「ああ。安らかに眠ってほしい」


「いえ、別に退場しただけですよ?」


 なんとも言えない雰囲気が漂う中、この〈弓聖手〉の退場を皮切りに他のギルドの戦いも激化していきました。


 実況席のユミキ先輩の解説ですと、〈エデン〉が暴走する前に早く試合を終わらせたい狙いらしいです。〈エデン〉に狙われたら終わりみたいな言い方でした。

 ……間違っていないんですよね。


 おかげでギルドバトルの展開はすっごく早かったです。


〈エデン〉はそのまま拠点の周りにある残りの3つのギルドもラナ殿下の宝剣で落とすのかと思いきや、どうも障害物が邪魔で宝剣の射線が取れないみたいで〈弓聖手〉の二の舞になるギルドは居ませんでした。

 余計〈弓聖手〉さんが哀れです。最初の配置って、重要ですよね。


 とはいえラナ殿下が狙えないだけでゼフィルス君たちはもちろん出撃していきました。

〈弓聖手〉とは反対側にいた〈中毒メシ満腹中〉との戦いは手に汗握りました。

 なんとジャイアントキリングを何度もしてきたギルドだというのです。

 ラナ殿下の援護無しで大丈夫なのか、ハラハラドキドキで見守りました。


 まったくの杞憂でした。

〈エデン〉はエリサさんとメルトさんの能力をフルに使って〈中毒メシ満腹中〉の能力を封じ、楽勝で拠点を落としていましたよ。


 えっと、うん。あれが〈エデン〉ですね。

 やっぱり〈真・コテちゃん〉の出番は無いかな。


 それからも次々ギルドが落ちていき、〈エデン〉は周囲のギルドにちょっかい出しながらなんかとても楽しんでいました。

 ゼフィルス君、すっごく楽しそう。


 そんなことを思っていたらなんと、来ちゃいました!?

〈エデン〉にとあるギルドが攻めてきたんです!

 そのギルドはBランク非公式ランキング第二位、〈筋肉は最強だ〉でした。

 つまり筋肉集団です。


 ギルドバトルではその筋肉を使い猛威を振るってトラウマを植え付けていくと聞きます。

 これまでもいくつかのギルドを落とし、点数も〈エデン〉と僅差で、まるで決着を付けようじゃないかとでも言うように迫ってきました。


 ここでゼフィルス君、良い笑顔で迎え撃ちます。

 これ絶対楽しんでますよね?


 ゼフィルス君が防衛を疎かにするギルドはギルドバトルでは生き残れない、みたいなことを言って過剰を超える何かというレベルで防衛力を整えていたのを私は知っています。


 自分でもよく分からないことを言っている自覚はありますが、ゼフィルス君はこういうことに手を抜きません。さっきの〈弓聖手〉を倒したのが過剰な攻撃であれば、これから見られるのは過剰な防衛力だと思います。


 すでに〈エデン〉ではシャロンさんの能力で拠点の周りに城壁が建てられ、これを突破しなくては拠点へダメージを与えられない鉄壁の要塞になっていますが、こんなのまだ序の口。

 勝負は一瞬でした。


 エリサさんの魔法で筋肉さんたちが眠ってしまったかと思うと、一瞬で攻めてきた約20人のうち半数以上が即死で退場してしまったのです。


「「「うわぁ」」」


「「「「うっそぉぉぉぉ!?!?」」」」


 そんな悲鳴にも似た声が周りからするくらいにはとんでもないことが起こりました。

 筋肉ってあまりに強すぎて倒せないって言われていましたが、ゼフィルス君にとってそんなの関係無いみたいです。


 そこから防衛モンスターの登場で、会場はさらに混沌と化しました。


「「「「なんじゃありゃああああああ!?!?」」」」


「「「「上級ダンジョン、最奥のボスだとおおおおおおお!?」」」」


 実況席の言葉にそれが何か知った会場が悲鳴を上げました。

 ゼフィルス君って、なぜかこういう時大当たりを引き当てて投入してくるんですよね。

 まだ上級ダンジョンを突破した人が少ないっていうのにその最奥ボスを出したらどうなるか?

 蹂躙です。他にも強力なモンスターが出てきて筋肉が一気に劣勢になりました。


 私の〈真・コテちゃん〉も防衛力の1つとして飛び出し、応戦。

 あの1年生最強筋肉と呼ばれたアランさんを相手に善戦しました。でも。


「お、おいあそこを見ろ!? アランとマッスルの偽者が戦ってる!?」


「筋肉同士の戦いか?」


「熱っ!?」


 観客席の人たちが言うように外側から見るとやっぱり筋肉さんにしか見えないんですよね。

 しかも〈真・コテちゃん〉、〈筋肉は最強だ〉のギルドマスターにそっくりだということまで判明してしまいました。

 これはそっと私の心に仕舞っておこうと思います。

 試合が終わったら見た目を改造します!


 幸いアルルちゃんたちはボスに気を取られて〈真・コテちゃん〉には気が付いていなかったのでセーフです。


 そんな感じで筋肉さんたちは〈エデン〉のメンバーを相手に全滅し、〈エデン〉は誰1人も欠けること無く勝利したのでした。

 ……やっぱり〈エデン〉のみんなって凄いですね。


 それから少しして〈エデン〉が〈表と裏の戦乱〉というギルドを落としたことで残り六ギルドになって試合が終了しました。

〈エデン〉は無事、Aランクギルドになったのでした。


 ――試合後。


「へ? 〈真・コテちゃん〉を売ってほしい?」


「なんか「素晴らしい筋肉なんだ」とか言ってランドル(マッスル)先輩が是非購入したいって言ってきてるんだ」


「…………」


 こうしてコテちゃんは、改造前の筋肉姿のまま〈筋肉は最強だ〉に売られていきました。





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[良い点] ( ゜∀゜)・∵ブハッ!! コテちゃんが筋肉に売られてる( ゜∀゜)・∵ブハッ!! [気になる点] オチが(っ'ヮ'c)<クッソワロタァァァァァァァアア [一言] 素敵な小説いつもありがと…
[一言] ドナドナドーナドナー? さようならコテちゃん。
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