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【本編書籍化】ゲーム世界転生〈ダン活〉EX番外編~ハンナちゃんストーリー~  作者: ニシキギ・カエデ
第四章 ハンナの大変化する日常編!

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#180 臨時〈エデン店〉準備、みんな集結!

日曜日なので本日3話投稿!

まだ読んでいない方は1回バック!




「ここが、臨時の〈エデン店〉、ですか?」


「はい。すでに商品は全て持ち込んであります。もちろん許可は取ってありますので御安心ください」


 そこはCランクギルドハウスが立ち並ぶ〈C通〉に隣接する立地の良いお店でした。

 あれ? ここって前は別のお店がなかったでしたっけ? ううーん、ダメです思い出せません。

 でも前のお店はどこに行ったのでしょう。

 私はセラミロさんを見ました。


「ここは〈学園出世大戦〉が終わるまでの期間借り受けました」


 するとそんな言葉が返ってきました。

 え? もしかしなくても前のお店少しの間立ち退きしてもらったの?

 そんなこと怖くて聞けません。

 あと私の考えていること、なんで分かったのでしょう?


「ハンナさんは顔に出やすいですから」


 ま、またです!?

 そ、そういえばゼフィルス君もセレスタンさんが心を読んでくるって言っていましたっけ。

 メイドや執事さんにはそう言う技能が搭載されているのかもしれません。ごくり。


「では、ハンナさんは中に。混乱を避けるため外には出ないでくださいね」


「は、はーい」


 実は私、今変装中なんです。フードを被ってめがねを掛けている姿です。

 なんでこんな姿になっているかと言うと、混乱防止のためだそうです。

 昨日は帰ってからずっとスラリポマラソンをしていたので知りませんでしたが、今学園では上級ポーションを求める学生たちがうようよ、ふらふら? 彷徨っているらしいので、そんなところに私がのこのこ出ていったらあっという間に取り囲まれて仕舞うかもしれないのだそうです。


 なので移動も人気の無い朝早くに、さらに顔を隠してここまで来ました。

〈学生手帳〉を見てみれば、アルストリアさんやシレイアさん、ミーア先輩から心配する声や状況説明が来ていた模様です。

 どうやら、昨日はスラリポマラソンをしすぎて気が付かなかったみたいです。そして連絡が付かないのでセラミロさんが来たのが真相のようでした。

 これは一旦忘れることにしましょう。


 中に入ると、驚いたことにCランクギルドの〈エデン店〉の時と大きく変わらない店がありました。


「夜の間に改装し、店内を整えてあります。使い勝手はCランクギルドハウスの〈エデン店〉の時と大きく変わらないでしょう」


 私は学園の本気を見ました。

 わーすごいなー(現実逃避)。


「ハンナさん。細かい商品のチェックはハンナさんにお願いします。なにか足りない物があれば言ってください。最上級錬金工房はそちらの部屋にあります。こちらの部屋には出来る限りの上級ポーションの素材を用意しておきました。足りなければ遠慮無く言ってください」


「は、はい……」


 私の現実逃避はそう長くは続きませんでした。

 セラミロさんがテキパキ仕度を調えていくんです。


「では売り子を呼んできます。急遽雇った子ですが、信頼できるところからの筋ですので御安心ください」


「は、はい。お、お任せます」


 私はそう言うことしか出来ません。

 セラミロさんがお店を出て行くと、やっと緊張していた体が和らぎました。


「えっと、オープンは売り子さんを呼んでからになるから。私はお店のチェックと商品のチェック。最終チェック……チェックばっかりですね!」


 本当になにからなにまで用意してあって、私がすることは確認だけでした。

 わ、素材がたっぷりあります! これ、学園が用意したのでしょうか?

 えっと足りなくなりそうな上級ポーションは……〈学園出世大戦〉で使うのですからやっぱり耐性ポーションはたくさん作っておかないといけませんよね。


「時間もありますし」


 錬金してしまいましょう。

 お店のことはセラミロさんにお任せすれば良いんです。

 私の役割は上級ポーションを作ることですから!


 手始めに〈オール耐性ポーション〉を量産しておきましょう。

 結構なお値段のする消耗品ですが、ギルドバトルで信用出来るのはこれだってゼフィルス君から教えてもらいましたしね。


「ふんふふ~ん――『上級錬金』~!」


 錬金していたらなんだか落ち着いてきました。

 ハミングしながら錬金しちゃいます。


 そうして300個くらい〈オール耐性ポーション〉を作った時でした。

 セラミロさんが帰って来ました。


「お待たせしましたハンナさん」


「いえ。錬金していましたので全然待ってないですよ」


「……〈オール耐性ポーション〉をこの短期間にこんなに。さすがでございますね」


「?」


「は、はんなしゃま~!」


 セラミロさんが私の作った〈オール耐性ポーション〉を見て一瞬固まっていると、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてシレイアさんが飛び込んで来ました。


「シレイアさん?」


「ハンナしゃまー。外が、外が大変なんですよー」


「え? え?」


「ついに始まってしまったのです。数少ない上級ポーションを巡っての争いが」


「そ、そんな!」


 間に合わなかったの!?


「冗談です。シレイアさんの下に上級ポーションを売ってほしいという願いがたくさん寄せられただけです」


「じょ、冗談?」


 どうやら今の深刻な話は冗談だったみたいです。

 シレイアさんもよく見ればいつものシレイアさんでした。


「もう、冗談が過ぎますわセラミロさん」


「ふふ、どうやら準備も滞りなく完了したので気が緩んでしまったみたいです」


「あ、アルストリアさん」


 続いて現れたのはアルストリアさんでした。


「ハロー、私も居るよハンナちゃん!」


「ミーア先輩まで!」


 その後ろにはミーア先輩もいました。


「でもいいんですか? 確かミーア先輩は〈学園出世大戦〉の出場者用に大量に料理を作らなくちゃいけないって言っていた気がしましたが」


「ああ、そっちは全然終わってないけど、今回の話は〈生徒会〉が解決しなくちゃいけない案件だからこっち優先に来たのよ。〈生徒会〉の次期生産隊長として、ここでスルーするわけにはいかないわ」


 あ、そういうことなんですね!

 ミーア先輩が付いてくれるのであれば心強いです!


「もちろんミーアさんだけではありませんよ」


「うむ。ここが臨時の〈エデン店〉か。今日はお邪魔させてもらうよ」


「これを夜のうちに整えたのじゃ? 相変わらず学園の本気は凄いのじゃ」


「ローダ先輩! フラーラ先輩も!」


「やあハンナ君。テスト期間は全く会っていなかったが元気にしていたかい? 今日は臨時〈エデン店〉を開いてくれて感謝するよ」


「いいえそんな」


「謙遜しなくてもいいのじゃ。〈学園出世大戦〉を前にして学生たちは気が昂ぶっているのじゃ。試合前、必要なものを揃えたいのに揃えられない辛さはよく分かるのじゃ。〈生徒会〉としてこれを放置するわけにはいかんのじゃ」


「ま、そういうことだね。僕たちもこの事態に早急な対応が求められていた。学園が本気で動くほどの案件なんだと言えばどれほど重要かが分かるかい?」


 ローダ先輩とフラーラ先輩にそう言われ、ようやくことの重大さが分かった気がしました。

 なんで私の上級ポーションがそんなことになっているのでしょうね!


「さて、話はここまでだ。もうすぐ他の〈生徒会〉メンバーが上級ポーションをここで販売することを学園に広める手筈になっている。忙しくなるだろう」


「列の整理から暴動の鎮圧まで様々なことに対処しなくてはならんのじゃ。故に、いくつかの戦闘ギルドにも護衛として依頼を出しているのじゃ。全力で当たるのじゃ」


「「「は、はい!」」」


「あの、俺はなにをすれば?」


「おう弟よく来たのじゃ! 弟は私がしっかり使ってやるのじゃ! こっちくるのじゃ!」


「な、なんだか怖いんだが!?」


 あ、サトル君も来たみたいです。


「到着したわ!」


「ハンナ様、お待たせしました」


「マリアさんにメリーナ先輩まで!」


 豪華なメンバーが揃ってきました!

 セラミロさんが声を掛けたメンバーはこれで全員みたいです。

 準備が終わり次第、開店です。


 私はそれまでの間、出来る限り上級ポーションを作り続けたのでした。





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
『「生産に力を入れないギルドが悪い!」と言ってしまってもよかったのでは?』はその通りだが、学園側もポーション等の品薄騒ぎは2回目だからなあ。前回あれだけ騒ぎになったのに全然対策できてないし、お互い様か…
[気になる点] よく考えてみると、エデンも参加する学園出世大戦なのに、そこに所属する錬金術師をこういう場へ引っ張り出すというのは如何なものだろう? こういう時に困るのは生産を蔑ろにしてたギルドのせいな…
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