#177 Bランクギルドハウスにお引っ越し。
土曜日なので本日3話投稿!
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テストが終われば冬休みです。
長期休暇になると帰省する方も結構多いのですが、私は村が遠いので、往復するだけで休みが終わってしまうため、年末年始は学園で過ごすことにしました。
「アルストリアさんとシレイアさんは、冬休みに帰省はするのですか?」
「いえ、私は残りますわ。なんだか残った方が良い気がしますの」
「私も残ります。ハンナ様が残るなら残ります!」
「いえ、シレイアさんはもっと考えるべきだと思いますよ!?」
という訳で、アルストリアさんとシレイアさんもこっちに残ることになりました。
そんな理由でいいのでしょうか? とも思いますがアルストリアさんにはアルストリアさんの考えがあるのでしょう。
シレイアさんのあれは多分冗談だと思います。冗談だよね?
「ハンナさんは冬休みに帰省いたしますの?」
「いえ、私も残ります」
「ではみんな一緒なのですね! 嬉しいです! 良かったです! 一緒に歳を載せましょう!」
シレイアさんが年末年始のことを想い喜びはしゃぎました。
年末年始は特別に消灯時間が延びて、学生同士で日を跨ぐ時間まで一緒に過ごしても良いことになっています。
パジャマパーティみたいで楽しそうですよね。
それから私たちは年末年始にどう過ごすのかを考えながら、〈エデン〉のギルドハウスへと向かいました。
「ここが、〈エデン〉の新しいギルドハウスなんですね」
「さすがはBランクギルド、大きいです」
アルストリアさんとシレイアさんが圧倒されていました。
実は今日、〈エデン〉はBランクギルドハウスへ引っ越しをしたのです。
以前まで使っていたCランクギルドハウスはしっかり片付けて荷物を纏め、〈空間収納鞄〉に入れて引っ越してきました。
Cランクギルドハウス、色々思い出がたくさんあって、とても寂しくなりました。
本来ランクが昇格したり、ランク戦でランクが入れ替わったりすると1週間以内に引っ越しを済ませてギルドハウスを交換しなくてはいけない決まりですが、今までテスト期間だったので延長され、テストが終わった翌日にこうして引っ越し作業をしています。
Bランク戦で戦った〈カッターオブパイレーツ〉の方々の姿は見えません。
すでに荷物を全て別の場所に預け、ギルドハウスもリフォーム済みでした。
さすがは上位ギルドです。手際がいいですね。見た目はあんな不良みたいだったのにと驚いたのは秘密です。
「引っ越しの荷物は全部持って来ましたけれど、錬金部屋がありませんし、どうしましょうハンナさん?」
アルストリアさんが私に尋ねてきます。
リフォームされたばかりのギルドハウスは文字通りなにもありませんでした。
ここからギルドハウスを改装し、自分たち好みのギルドにしていくのが学園流です。
私たちも〈エデン店〉や〈錬金工房〉など、欲しい施設や設備はたくさんありますからね。
Cランクギルドハウスで使っていた工房はそのままの状態で学園に預けてありますので、後は引き取って部屋を少し改装するだけ、なのですが、ここで問題が起こります。
Aランク戦が近いので、ギルドを改装するのが勿体ないんです。
だってすぐまたAランクギルドハウスへ引っ越しするかもしれないんですもん。
「そ、そうですわよね」
「引っ越してからまたすぐに引っ越し! 〈エデン〉はとんでもないギルドなのです……」
普通はそんなにギルドランクがポンポン上がるものではないのでアルストリアもシレイアさんもおののいていました。
とりあえず引っ越したばかりで疲れているのでその日は解散し、翌日ゼフィルス君に聞いてみると言って帰りました。
そして翌日、ゼフィルス君に聞いてみると。
「荷解きとかどうしよう? 工房もお店も、改装している暇なんか無いよね?」
「だな。Aランク〈拠点落とし〉は第二アリーナで3日後の火曜日開催されることが決まったからな。それに勝てば昨日引っ越したばかりなのにまた引越しだ。改装には最低でも2日掛かるから、今から改装を始めても出来る頃には引っ越さなくちゃいけなくなっている可能性が高い」
ゼフィルス君に聞いたらそんな答えが返ってきました。
気が付けば〈学園出世大戦〉Aランク戦まで残り3日です。
ギルドハウスを改装するには、日数が掛かります。依頼して一瞬で完了するなんて都合の良いことはありません。
そして改装には大体2日掛かります。
上手く行けば3日後にはまた引っ越しをするのですからもったいなさ過ぎます。
そんな訳で、〈エデン店〉も〈錬金工房〉もAランク戦が終わるまでお預けとなったのです。
「うう~ん。しばらくはアイテム作るのもお休みかな?」
一応、寮の部屋に置いてある簡易版の〈上級錬金セット〉を使えば錬金自体はできますし、販売ならマートという手もあります。
「だな。しばらく働き詰めだったからこの機会に体を休めるのもいいんじゃないか?」
ですが、ゼフィルス君からこんな提案をいただきました。
ゼフィルス君は働き過ぎな私の身体を心配しているみたいです。
そんなことを言われたら私も前向きに考えちゃうよ。
結局私はゼフィルス君の提案を採用して、ちょっとだけお休みをもらうことにしたのでした。
それがあんなことになるなんて、この時は思いもしなかったです。
 




