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【本編書籍化】ゲーム世界転生〈ダン活〉EX番外編~ハンナちゃんストーリー~  作者: ニシキギ・カエデ
第四章 ハンナの大変化する日常編!

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#175 テスト結果発表! ハンナは限界を突破する。




「さ、さすがはハンナ氏。まさかこの短時間で用意したレシピが軒並み作られるだなんて、想像を軽く超えてくるね」


「え、ええ?」


 なんだかさっきまで顎が外れたように見ていたラミィ研究員さんが今度は額の汗を拭うようにしておののいていました。

 そんな大層なことではないですよ? 量産が得意な方ならこれくらいは出来ます。


「ごくり。では次は性能を確かめる。君、〈解るクン〉を用意するのだ」


「はっ! ここに!」


「よーしよしよし。君はメモに集中したまえ。私が読み上げることを一字一句逃すことなく起こすんだよ」


「「はっ!」」


 なんだか研究員さんが軍隊さんになってしまいました。

 えっと、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ?


「『解析』! こ、高品質だ。こ、これもか? これもなのか? というか全部高品質なのか!? あ、あんな短時間で!? 初めて作った作品が、全部高品質!? まさかそんな……いったいどうなってるんだー!?」


「こほん。ラミィエラスさん、まだ他の学生のテストが終わっておりません。静かになさい」


「は、はい……」


 わ、すごいです。

 アイス先生の言葉で興奮と困惑と驚愕がまぜこぜになったようなラミィ研究員さんが大人しくなりました。


 あ、ちなみにまだ半分くらいの人がテストを受けています。


「は、半数もまだ終わっていない学生がいるのに、これを全て高品質で仕上げる。さすがは学園一の【錬金術師】。学園始まっての逸材と言われているハンナ様だ。これはみなが様付けしたくなるのも分かる」


 ん?

 アイス先生に注意されたからでしょう、ラミィ研究員さんが小さな声で呟いていました。

 内容は聞き取れなかったのですが、なんだかゾクッと来たような? 多分気のせいですよね。


 その後もラミィ研究員さんが〈解るクン〉で詳しく解析する度に研究員さんはメモを走らせ、ラミィ研究員さんは目を丸くして呼吸も荒くしていました。

 でも静かです。興奮していても静かに研究員さんたちとやり取りして次々と解析していきました。


 そして、それが終わったのはテスト終了のチャイムが鳴る5分前のことでした。


「ぜぇ、ぜぇ。ここまで私を楽しませてくれた人は初めてかもしれないよ」


「そ、そうですか? お役に立てて良かったです?」


 どう返せばいいのかよく分からなかったので、とりあえず良い方向で返事をしておきました。

 ラミィ研究員さんがニヤリと怪しい笑みを浮かべていましたが、多分、褒めてくれたんだと思います。


 そして放課後。


「よ、ようやく終わりました~」


「お疲れ様ですわ」


「お疲れ様です」


 またまた机に突っ伏すシレイアさん。

 シレイアさんなら実技は上手くいったと思いますが、それとは別に精神的に疲れたようです。

 シレイアさんは緊張しぃな性格ですからね。


「アルストリアさんはどうでしたか?」


「まずまずですわ。自分の今の実力を遺憾なく出し切れたかと思います」


 さすがはアルストリアさんです。

 私たちとは言うことが違います。

 憧れてしまいます。


「ハンナさんのは見ていましたわ。また腕を上げられましたわね。クラス対抗戦の時と比べると、格段に腕が上がっていましたわ」


「えへへ~。クラス対抗戦の時と比べたらそりゃ上がってますよ。あの時はまだ上級職になって日が浅かったですからね」


 もう3ヶ月も前の話ですからね。

 私も成長しているんです。

 今回のテストは私もかなり手応えを感じました。

 きっと良い点数を取れていると思います。


 何点取れているでしょうか?

 そう、私は思いを馳せたのでした。



 そしてテスト結果発表当日がやってきました。


〈ダンジョン生産専攻〉では高得点の上位100人が掲示板に張り出されます。


 今回も掲示板の周りには人で溢れていました。


「き、来た。ハンナ様だ!」


「で、伝説を作りし方がやってきたぞ!」


「はぁ~、ハンナ様、いつ見ても素敵ですわ~」


「さすがはハンナ様だ。人には出来ないことを平気でこなす。そこに痺れる~もっと痺れさせて~」


「さ、お前たち道を空けるんだ。ハンナ様のお通りだぞ」


「おう。そうだな」


「ありがたやありがたや~」


 な、なんだか最初のテストの時よりカオスになっていませんかこれ?


「あ、アルストリアさん?」


「しっ、気にしないで前だけ見るのですわ」


「は、はい!」


 さすがはアルストリアさん。頼りになります。

 私は視線を張り出された掲示板へ向け、他は見ないことにしました。

 人が私を見てどんどん道を空けている気がしましたが、きっと気のせいです。


 ふう、深呼吸しましょう。

 そうしていると、ふと最初の期末テストの時を思い出しました。あの時は下から見てなかなか見つからなくて、そして1位のところに私の名前があったんですよね。

 そしてアルストリアさんが2位でした。


 当時アルストリアさんは実技が振るわなかったのに2位だったんです。

 今ではきっと実技の点も上がって、座学で追い抜かれた私の方が2位になっていると思います。

 でも実技で満点を取っていればアルストリアさんを抜かし、また1位になれるかもしれません。


 実技の点数は最高で200点です。

 前回は……あれ? 前回って確か私満点でしたよね? これ以上点数は上がらない?

 あれ!? 私今回も結構頑張ったのに!?

 新事実に気が付いてしまいました。

 これ、また実技で満点をとってもアルストリアさんに勝てないやつです。


 アルストリアさんならきっと満点に近い点数を出してくるはずで、そうなると座学勝負になります。

 これ、考えてみれば私は2位確定なのではないでしょうか?

 うっ、でもいいです。アルストリアさんが1位なら私も嬉しいです。

 後でお祝いしなくちゃですね!


 そんな考えに至っていると、掲示板の前に到着しました。


「まあ!」


「ふえ!?」


 アルストリアさんとシレイアさんの驚愕の声が聞こえてきました。

 あ、私も見ないと。

 10位くらいから視線を上げて行くと、まずシレイアさんの名前がありました。


 3位で、実技はなんと198点です!

 凄いです!

 そしてその上にはなんとアルストリアさんの名前が、その点数は驚異の座学698点、実技200点! ほぼ満点でした。す、すごい! こんな点数見たことありません!


 あれ? でも2位? アルストリアさんが2位ですか!? この点数で!?

 え、じゃあ1位は?

 私の視線はさらに上へと向かいました。

 そこに書かれていた点数は。

 第1位・ハンナ 座学・点数649点。





 実技・点数―――300(・・・)点。



 実技って200点満点じゃなかったの!?





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[一言] うん、加算したらこうなるよね。
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