#169 ゼフィルス君がとても大変なことを軽く言います
日曜日なので本日3話投稿!
まだ読んでいない方は1回バック!
Bランク戦の準備はやることがいっぱいです。
開始まで1ヶ月近くあるとゼフィルス君は言っていましたが、途中2週間テスト期間に突入するためダンジョンに行けなくなります。
そうなると素材の供給もストップしてしまうということなので、今のうちに素材の入手予想数と使い道を計算して計画的に動かなくてはいけません。
あ、もちろん私もテスト勉強があるので錬金に集中できないという理由もあります。
そうやって計算してみると、ダンジョンに行って素材を入手する期間ってあと2週間も残っていなかったことが発覚したのです。
本当に計画的に動かないとまずいです。
ゼフィルス君もそう考えたのかもしれません、現在急ピッチで上級職を増やしています。
先日シェリアさん、シャロンさん、レグラムさん、オリヒメさん、アイギスさん、が〈上級転職〉しました。
これで〈エデン〉のメンバーは全員が上級職になったことになります。
これはとんでもないことですよ!?
ですが、〈上級転職〉した方々はたった2週間しかないのにBランク戦で活躍出来るくらいまでLVを上げなくてはいけないので大変みたいです。
でもこれでギルドランクが上がる確率がさらに増えましたね。
さらにゼフィルス君は上級生産職も増やしました。
例の〈青空と女神〉のソフィ先輩という方に、〈彫金ノ技工士〉のガント先輩、他にも〈キングアブソリュート〉と組んで〈青空と女神〉の上級生産職を2名〈上級転職〉させたと聞きました。
すっごいですね。このまま上級生産職が増え続ければ、私の重荷が軽くなる時が来る気がします!
実際、今まで私たち生産組が忙しそうなので頼みづらかった、小物類の生産を外注することができて助かっているという話を聞きました。
そんなことになっていたんですね。
これは期待出来るかもしれませんよ!
それは置いといて、ゼフィルス君はまた妙なものを持って帰ってきました。
「ねえ、ゼフィルス君。これなぁに?」
「ん? 〈聖竜の卵〉だ」
……そんななんでもない普通のことみたいに言わないでくれるかな?
「えっと、なんでここに〈竜の卵〉(?)があるの?」
「竜は竜でも〈聖竜の卵〉な。ほら、ハンナにこの間〈鎮火の秘薬〉を作ってもらっただろ? あれで火山行ってきたんだ」
「だから軽いよゼフィルス君!?」
そういえば数日前にゼフィルス君から必要だからって言われてアイテムを作った記憶がありました。
ええ、また私、知らないうちに大変な物を作らされていたの?
「〈鎮火の秘薬〉は溶岩で進めないところで使うと溶岩が冷えて固まり、通れるようになる救済アイテムだ。これのおかげで隠し通路を発見出来てな。奥でボスが守っていたお宝を貰ってきたんだ」
「え、ええ?」
途中、よく理解が難しかったところはありましたが、みなさんが火山ダンジョンに行ったときに私の作ったアイテムが役立ったみたいです。
そして手に入れたのがこの〈聖竜の卵〉とのこと。
まだ〈上級孵卵器〉が完成していないので孵化はさせていないとのことだけど、これって竜の赤ちゃんが出てくるってことだよねゼフィルス君? そ、それって前代未聞な出来事なのでは?
「卵状態でもしっかりテイムは出来るからな。これでアイギスも【竜騎姫】に〈上級転職〉出来たし。後は生まれるのを待つばかりだ」
「そうなんだ……」
うん。もう気にしないことにしました。
その方が良いと思います。
「おっとそうだハンナ、ハンナにお知らせしておかなくちゃいけないことがあるんだが」
「え? う、うん」
「なぜ身構える?」
「だって、そう前置きしたゼフィルス君って絶対変なこと言い出すんだもん」
「なるほど。その考えは正解だ」
「正解なの!?」
ああ、どうやらゼフィルス君はまた大変なことを言い出すみたいです。
もうちょっと手加減してくれてもいいんだよ?
「俺たちがAランク戦に挑むには足りないものがある」
「?」
「と、そうだな。ハンナ、今の俺たちのギルドランクは?」
「えっと、Cランク?」
「そうだ〈エデン〉はまだCランクだ。Aランク戦に挑めるのはBランクギルドになる」
「うん。そうだね」
「そしてこの間防衛実績をクリアしたからいつでもBランクに挑むことが出来るようになった。この前〈上級転職〉したメンバーが十分レベルを上げたらBランク戦をしてもいいと思ってる。いや、思っていた」
「思っていた?」
「うむ。実は挑むBランクギルドが決まった」
「決まったの!?」
ごくり。
ど、どこになったのでしょう。
今のBランクギルドには18の戦闘ギルドがあります。その中で警戒すべきは上位の6ギルドと呼ばれているところです、ここが一番Aランクに近いのだとか。3分の1は強敵ですね。
他の3分の2のBランクギルドは比較的そう強くないギルドと思われているみたいです。
私も出場するBランクギルド、できればそれほど強くないところと当たりたいなぁ。
そう思っていたのですが。
「俺たち〈エデン〉が挑むことになったのは、Bランクギルド〈カッターオブパイレーツ〉。Bランク非公式ランキングでは第三位と言われているギルドだ」
ああ。
やっぱりそうですよね。分かっていましたよ私は。ゼフィルス君がこんなに前置きして語る言葉が普通のはずないもん。
こうして私は、Bランクギルドの中でも三番目に強いと言われるギルドとギルドバトルすることになってしまいました。




