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【本編書籍化】ゲーム世界転生〈ダン活〉EX番外編~ハンナちゃんストーリー~  作者: ニシキギ・カエデ
第四章 ハンナの大変化する日常編!

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#143 お話があります。ゼフィルス君そこに直りなさい

本日は土曜日ということで3話更新!




「ゼフィルス君にお話があります」


「どうしたんだハンナ?」


 どうしたんだ、ではありません。

 そこに直るのです。


 いつもの朝。

 ゼフィルス君の部屋に上がって朝食を取ってもらった後、真剣にそう切り出しました。


「あの〈転移水晶〉はなんなのかな?」


「なんなのかなって、ただの上級必須アイテムだが」


「まずただの上級必須ってなんなの!? ただの、じゃないよ! 全然ただの、じゃないよ!?」


 ダメです。冒頭からゼフィルス君との認識の違いが出ている気がします。

 上級必須? それって上級ダンジョンを進むには欠かせないアイテムって意味だよね!?

 なんでそんな大事な物を気軽に作ってって言っちゃうの!?


「もうゼフィルス君! ちゃんと説明してよ、私〈生徒会〉でこれ作ったのは私だよねって言われてビックリしちゃったんだから!」


「お、おう。悪かったよハンナ。てっきりレシピにも書かれてるし、ハンナも承知のことだと思ってたんだ」


 そ、それを言われると。確かにレシピを確認したところ、ちゃんと〈転移水晶〉の効果も書いてありました。〈転移水晶〉を『鑑定』『解析』するという手もありました。

 それをうっかりゼフィルス君の頼みだから~で確認しなかったのでした。

 でも、ちょっとは言ってくれてもいいと思います!


「言ってしまえば、今後は上級ダンジョンに潜るとき、必ず持っていくアイテムだ。需要は高いしみんな欲するアイテムになるだろう」


「そんな重要なアイテム、私には荷が重すぎるよ!?」


「いやでも、これ作れる人って今の所ハンナしかいないし」


 八方塞がりです。

 私は上級生産職になった自分が少し恨めしくなりました。


「まあ、安心しろって。それも一時的なことだから。学園長と交渉した結果な、これは公開レシピにすることが決まりそうなんだ」


「公開レシピ? それって初級ポーションとかの?」


 公開レシピとは国が公開している、レシピを持っていなくても作製していいアイテムのことです。初級の〈ポーション〉などを誰でも作製できるのは国が公開レシピにして許可しているからです。


「そうそう。レシピという現物が無くても誰でも作っていいアイテムだな。まあ、今はまだハンナしか作れないんだが」


「ダメじゃん!」


「いいや、今後ハンナたち以外の上級生産職が出てくればそっちに任せることができるぞ?」


「ゼフィルス君みたいな人がそういるとは思えないんだけど……」


 なんで上級生産職が私やマリー先輩、アルルちゃんしか居ないのか? 

 それはゼフィルス君が私に貴重な〈上級転職チケット〉をくれたからです。

〈上級転職チケット〉は普通ダンジョンに潜る戦闘職さんが使うべき物。ドロップさせたのも戦闘職さんなので、使う権利も基本戦闘職さんのものなんです。


 上級生産職が私たちしか居ないというのがそれを物語っていますよね。

 増える気がしないのだけど?


 そんな私の視線を浴びているはずなのにゼフィルス君は涼しい顔でした。

 そして安心させようという声色で言います。


「安心してくれハンナ。すでに手は打ってある。これからは上級職、上級ダンジョンの時代が来るんだ。そして上級ダンジョンではな、〈上級転職チケット〉は3倍落ちる」


「……え? どういうこと?」


 ゼフィルス君の話が飲み込めず聞き返してしまいましたが、その後の説明を聞いて私は悪くないと悟りました。


「今回〈転移水晶〉のレシピが見つかっただろう? 〈転移水晶〉を使えばダンジョンのどこにいても地上に転移できるようになる。これによって上級ダンジョンは今までのように危険なダンジョンでは無い、安全に帰還できるダンジョンになるわけだ」


 上級ダンジョンは危険な場所。それは授業でも習ったことがあります。


 広大なフィールドに加えて道が無く迷いやすい上にモンスターがとても強いのだそうです。そして、一度迷ったら遭難してしまうリスクが非常に高くなってしまいます。

 学園のダンジョンには〈救難報告〉という救助要請システムがありますが、それを担当している〈救護委員会〉も上級ダンジョンは入ってはいけない決まりになっています。

 二次遭難の危険があるからです。だから許可は基本降りません。


 ですが、ゼフィルス君の言うことが本当なら。

〈救護委員会〉でも上級ダンジョンに助けにいけますよね? 遭難しても転移で戻って来られます。

 確かに、上級ダンジョン以降に進めず、足踏みしていた理由が取っ払われると感じました。


「安全に潜れるようになれば上級ダンジョンで狩りが出来る。そしてな、面白いことに上級ダンジョンではエリアボスって言って必ず1層毎にボスがいるんだよ。倒せばもちろん〈金箱〉を落とす。その確率、なんと中級ダンジョンの3倍以上。〈上級転職チケット〉を落とす確率も、3倍だ。つまり、上級ダンジョンに進めば上級職はさらに、飛躍的に増えることになる。上級生産職だって増えるように時代は変わっていくだろう」


「…………ふえ?」


 やっぱりよく理解が出来ません。

 おかしいです。途中まで理解出来ていたはずなのに、途中から訳が分からなくなってしまいました。

〈金箱〉が落ちる確率、3倍以上? 〈上級転職チケット〉は3倍落ちる?

 何それすごい!


「ハンナも分かってくれたか。だから大丈夫だ。上級生産職が増えればその分ハンナの負担も減る。ハンナが〈転移水晶〉を作ってくれるのは今だけで十分だ」


「そう、なのかな?」


「もちろんだ。学園長に提案してな、早速〈転移水晶〉の実験もとい、エリアボスを狩って〈上級転職チケット〉をゲットしてくる専用の組織を作ろうと交渉したんだ。そしてその話は順調に進みつつある。〈上級転職チケット〉を取ってくる専用の組織が居れば、きっと上級生産職も近いうち増える」


「お願いゼフィルス君、あまりとんでもないこと言わないで? 私混乱しちゃうよ!?」


 やっぱりゼフィルス君はゼフィルス君です!

 またまたとんでもないことを言い始めています!

 私はそんな簡単に言いくるめられませんよ!?


 そう思っていたのですが、〈転移水晶〉を作れる人が本当に私しかおらず、契約金が大量に入ってきたので私の葛藤はその辺に流れていきました。

 今は〈転移水晶〉を素材があるだけ作り続けています。





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
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