#139 ゼフィルス君パワーアップですよ!
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ゼフィルス君がダンジョン攻略から帰ってきました。
その話を聞いて私とアルルちゃんはマリー先輩のギルド、〈ワッペンシールステッカー〉へと向かいました。
ゼフィルス君はいつもダンジョンから帰還したらマリー先輩の店に直行するのです。
案の定、〈ワッペンシールステッカー〉は盛り上がっていました。
「あ、ゼフィルス君、もう来てたんだ!」
「おう、ハンナ、アルル、早速だがこれを見てほしい……マリー先輩? 手を離して?」
「はっ!? 思わずレシピを掴んでしもうた。なんちゅう魔力や。きっとうちのせいやない」
私たちが見たのは装備シリーズのレシピ全集3枚をひけらかすゼフィルス君だったのです。
おかげでマリー先輩はレシピを掴んで離しません。いえ、途中で我に返って離しました。
続いて私たちにも見せてくれたレシピ全集。もうビックリです。
「え? わ、わわわ!? 何これ!? え、これも!? 全部!?」
「なんやこれ!? 上級レシピが三つも!? しかも能力基準値高っ!? なんやこれ!?」
どうやらこれでシエラさん、ラナ殿下、エステルさんの装備を作ってほしいとのことでした。
やっと1枚最高傑作を仕上げたと思ったらこれです。
本当に驚きました。
まったくもうゼフィルス君は。
今度は私たちがゼフィルス君を驚かしちゃう番です。
「はぁ、やっと兄さんの装備が仕上がったと思ったら、またとんでもないものが来たなぁ」
「ですね~」
「いや、ちょっと待とうかマリー先輩にハンナ、何が出来たって?」
ゼフィルス君が食いつきました。
マリー先輩、アルルちゃん、やっちゃいましょう!
「ふっふっふ。うちにハンナはん、そしてアルルの合作にして最高傑作や!」
「大変だったけどなんとか出来たんだよ~」
「マリー姉が買い集めてきてくれた上級素材を惜しげも無く使い切ったかんなぁ、正直性能がもんのすんごいことになっているで」
アルルちゃんが持っていた〈空間収納鞄〉から高級そうな紙の箱を取り出し作業台へと置きました。
そしてアルルちゃんがゆっくりと、紙の蓋を取っていきます。
ドキドキの一瞬です。見ればゼフィルス君は目がキラキラ輝いていました。
ゼフィルス君も期待を裏切らないリアクションです。
そこに入っていた物が、とうとう明らかになりました。
――〈勇銀装備シリーズ全集〉。
以前の〈天空の鎧〉にも似た、いえ敢えてマリー先輩が似せた、5点の装備品でした。
似てはいますがその雰囲気はまったく違います。とても強力な雰囲気を放っています。
「んで終いに、コレや!」
「おお! 〈勇銀の盾〉かっけぇー!!」
そして6点目の盾です。
これはさすがに紙の箱に入らなかったのでそのまま出しました。
作業台に綺麗に並べられた6点の装備にゼフィルス君のテンションは爆上がりです。
「す、すげぇ!!」
もう言葉すら上手く出せないほど感動するゼフィルス君に私たちは揃ってドヤァしました。
「ふっふっふ、兄さんに喜んでもらえてよかったわぁ」
「うん! 生産頑張った甲斐があるよ~」
「そこまで喜んでもらえると生産職冥利に尽きるわぁ」
今までの苦労が報われるようです。
ゼフィルス君、とっても気に入ってくれたようです。
「着替えてくるぜ!」
突然ゼフィルス君がそう言うと、装備を持って試着室へと向かって行きました。
私たちも見るのが楽しみなのでそれを見送ります。
そしてものの数分でゼフィルス君が出てきました。
「待たせたな。どうだ!」
「「「おおおーー!!!!」」」
決めポーズと共に現れたゼフィルス君に私たちの声が見事にハモりました。
「ゼフィルス君すごくかっこいいよ! うん! わー!」
「ええやん兄さん! バッチシきまっとるで!」
「自分で作っといてなんやが、これはかっこええわ~、これギルドの子より先に見てよかったんやろうか?」
アルルちゃんの言うとおりですね。ちょっと他の人に悪い気もしましたが、これは生産職のご褒美と思っておきましょう。
これが見たくて私たちは頑張ってきたんです。
あ、違います。ゼフィルス君たちに上級ダンジョンの攻略を頑張ってほしくて作ったのでした。
いえ、細かい事ですね。
あれ? そういえばゼフィルス君が新しい剣を装備しています?
「というかその剣どうしたの!? 新しい剣だよね!?」
「さすがハンナ、気が付いたか」
気づかないわけがありません。ゼフィルス君のことですから。
毎日朝ご飯を作って持って行っているのは伊達ではありません。些細な違いでも気が付く自信がありますよ。
聞けばさっきのレシピ全集と同時にドロップしたものの一つなのだそうです。
「かっこいいね!」
「だろ~」
うん。本当に良いよ! 凄く良い! 頑張った甲斐があったよ~。
そんなことを思っているとマリー先輩が〈幼若竜〉で『解析』した数値をゼフィルス君に教えてあげました。そしてゼフィルス君がまたおったまげます。
「いやあ、しかしこれはスゲえぜ。性能が、ビックリするほど高い! これは最高だ!」
「せやろ~。うちらも驚いたわ。下級職と上級職の生産品ってこんなにも違うのな。今まで生産職が上級職にならなかったのがアホらしいわ。まあ〈上級転職チケット〉自体生産職は普通手に入らんのやけど」
「はっはっは」
本当に、生産職が上級職ならここまでの性能になるんだねってくらいすごい数値なのです。
私たちも口元が緩みました。
これは確かに最高傑作です。
ですが、だからでしょうか。生産職の血がうずき始めました。
もっとこんな装備を作りたい、そんな気持ちが溢れたのです。
私たちの視線は次第に作業台に置かれた3枚のレシピ全集にシフトしました。
それを見て慌てたゼフィルス君が咳払いで私たちの意識を集めます。
「こ、こほん。素晴らしい装備をありがとうな3人とも。おかげで上級ダンジョンへ挑むその大きな一歩を踏み出した」
「うちらこそおかげさまや。上級装備の本当の作り方も分かったしなぁ。――なあハンナはん、アルル?」
「うん! 次も頑張るよ! シエラさんたちの装備も任せておいて」
「新しいことにチャレンジするんはほんま楽しいわぁ。次も任せときゼフィルス兄さん」
私たちが〈エデン〉を支えているという確かな実感がありました。
そして、こんな生産冥利に尽きることは他のギルドでは経験出来ないこともしっかり分かっています。これからも私たちは〈エデン〉のために、全力で良い装備を作り続けるでしょう。
ゼフィルス君はそんな私たちにレシピ全集を配りながら言いました。
「3人とも、次の装備も全力で頼むぜ!」
「「「おお~!」」」
任せてゼフィルス君。私たちがんばるからね!




