#126 生産特別賞受賞。私の日常、どこ行ったの!?
前書き失礼いたします。
お待たせいたしました!
小説第7巻発売記念!
ハンナちゃんストーリー、再開です!
本日は6話行きます!
是非是非、お楽しみください!
学園行事であるクラス対抗戦。
私は上級職に就いたために作製するものが全部最高評価になってしまい、クラス対抗戦では1位を取るどころか殿堂入りというよく分からないものになってしまいました。
私の作品はあのまま学園に買い取られ、QP交換所の横、ショーケースで囲われた中に展示されることになりました。
廊下を歩くとそのまま私の殿堂入り作品が見えるという粋な計らい、らしいです。
どうしてこうなったのでしょう?
そうしてなんだかんだあってバタバタしたクラス対抗戦がようやく終わり、待ちに待った日常が戻って…………来ませんでした。
クラス対抗戦が終わった次の日の土曜日には授賞式が待っていたからです。
私すでに表彰されたよ? 殿堂入りもしたよ?
でも、それとは別扱いらしいです。
表彰式はクラス、私たち〈錬金術課〉の場合はチームに贈られるものですが、授賞式は個人に贈られるものみたいです。
第一アリーナの会場に集められ、大観衆の下、学園長自らが受賞者を発表していくのですが、やっぱりといいますか、しっかり私の名前も入っていました。
そして、〈戦闘課〉の方でもゼフィルス君たちギルドメンバーの何人かが受賞したみたいです。
「ハンナもさすがだなぁ。当然のように受賞メンバーに選ばれているなんて。それに作品が殿堂入りしたんだって? 聞いたときは驚いたぞ」
ゼフィルス君も当然のようにここにいるよね!?
でも私はなんでここにいるのかな!?
そんな疑問で私はいっぱいでしたよ。
体の震えが止まらないんです。ド緊張です!
会場中の視線が私たちに注がれているんです。
見てくださいあの観客席の人の数を。たくさんいます!
「――生産特別賞。――〈錬金術課一年生〉ハンナ」
「ひゃ、ひゃい!!」
呼ばれてしまいました!
「ほれ呼ばれたぞハンナ、しゃきっとして行って来い、頑張ってな~」
ゼフィルス君はのんき過ぎます!
あう、でも行くしかありません。
ステージに上がると、大きな表彰状を持っている学園長の前に立ちます。
「表彰状、クラス対抗戦――個人の部、生産特別賞。――ハンナ殿。そなたは本校で34年ぶりとなる殿堂入りの快挙を成し遂げ、クラス対抗戦で非常に優秀な類い希なる成績を残した――」
学園長から表彰され褒められたハズなのに、ちっとも内容が頭に入ってきませんでした。
なのに観客席からの歓声と拍手の音は鮮明に聞こえてきました。
うう、辞退したい。もう遅いけど。
こうして私は生産特別賞という賞を受賞したのでした。
その後何をしたのか、覚えていませんでしたがゼフィルス君からは「しっかり出来てたぞ、胸を張っていい」と褒められたので多分大丈夫なはずです。
ちなみに特別賞とはトップレベル、普通ではない、特別なことを成した人物へ贈られる、非常に名誉な賞だと後で聞きました。
でも私、そんな特別なことしてないよ? ただの上級職です!
こ、これは早く同じ上級職を見つけなければいけません。
〈ダンジョン生産専攻〉で私だけ上級職なのは荷が勝ちすぎるよ!
翌日の日曜日はゆっくり休んで週明け、普通に学園に向かいました。でも私の日常は帰ってきませんでした!
先生方からはとても褒められ、クラスメイトからも今まで以上の尊敬の目で見られ、廊下を歩けばそこら中からキラキラした羨望の目を向けられました。
「うう、アルストリアさん~、シレイアさん~」
「はいはいハンナさん。よしよしですわ」
「お、お気持ち察しますハンナ様。よくあの視線に耐えられました。私には絶対無理です不可能です地獄で火山が噴火しても出来ません!」
アルストリアさんとシレイアさんがたくさん慰めてくれます。優しくてふわふわです。
もう私の心休まる空間はアルストリアさんの腕の中だけです。
冗談です。〈エデン〉や〈生徒会〉でも心休まりますけど、たまにはアルストリアさんの腕の中に身を沈めたくなるんです。
大きいお胸に顔を埋めると肩にズシッと乗っかってくるのが玉に瑕ですが、柔らかくて良い匂いがするのでアルストリアさんの腕の中は安らぐんです。
それにシレイアさんも注目されるのが苦手なせいか、私の気持ちをよく理解してくれています。ありがたいです。2人が友達で良かったです。
「うう、2人も早く上級職になってください~」
「そう言われましても、生産職で上級職になるのは難しいですわよ。〈上級転職チケット〉は基本ボスを倒した人が使う物。私たち生産職に回ってくることなんて皆無ですわ」
「です。だからこそ今まで生産上級職はいなかったのです」
「そうなんですよね……」
アルストリアさんとシレイアさんの言葉に深く息を吐きます。
〈上級転職チケット〉はドロップ率がまずとても低く、手に入ることはほとんどありません。
そして、私を見れば分かりますが、上級職になれば一気に注目されます。ロマンであり、上級職になるのは全ての人の夢です。
だからこそ非常に高い価値があります。それは国がその売買に規制を掛けるほどです。
誰もが欲しがっている〈上級転職チケット〉、それがボスを倒したわけでもない〈ダンジョン生産専攻〉に回ってくることはほぼありません。
ドロップしたら絶対にドロップした当人が使うからです。
今回私に回ってきたのはゼフィルス君がボス周回という、ボスの乱獲をして〈上級転職チケット〉をたくさんゲットしたが故ですね。つまりボーナスタイムだったのです。
アルストリアさんとシレイアさんが、いえ他の生産職の方でも、上級職になれることはこの先ないでしょう。
そう思っていたのですが、この先ゼフィルス君はまたとんでもないことをしでかすことを、私はまだ知らないのでした。
後書き失礼いたします!
小説〈ダン活〉第7巻、本日発売です!
よろしくお願いいたします!




