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【本編書籍化】ゲーム世界転生〈ダン活〉EX番外編~ハンナちゃんストーリー~  作者: ニシキギ・カエデ
第三章 夏休みの思い出と生産職クラス対抗戦!

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#116 〈調理課〉のコンテストって、大変です!




「〈調理課〉は人気の生産部門ですからね。クラス数は生産専攻で最も多い〈16組〉まであるそうですわよ。生産課で唯一トーナメントが組まれていまして、本日は四クラスの〈作品コンテスト〉ですわね」


 アルストリアさんの説明に感謝します。

 私たちが所属している〈ダンジョン生産専攻〉では様々な課がありますが、その中でも一番人気なのが〈調理課〉です。


 これには色々理由がありますが、料理はダンジョンだけではなく、生活に紐付いた部門なのが主な理由ですね。

 将来飲食店を開きたいと思っている人たちにも役にたつので、人気があります。


 入学した学生の6割弱は〈戦闘課〉に入り、1割強は〈調理課〉に入るほどと言えばその人気ぶりがわかるでしょうか?

 これだけで7割の学生が埋まっているほどなのです。


 また、職業(ジョブ)に発現しやすいというのも理由の一つですね。

 普通、他の生産職では何かしらの発現アイテムが必要になります。【錬金術師】なら〈『錬金』の腕輪〉がそうですね。【剣士】であれば剣です。ですが、【調理師】に発現アイテムは必要ありません。

 家で普通に料理を学ぶだけで発現する、とても緩い職業(ジョブ)群なのです。

 簡単に発現するわりに能力もすごく、とにかく美味しい料理が作れるようになります。

【調理課】が人気な理由です。


 そのためクラスが16組まで有り、〈生産専攻〉の中では唯一クラス対抗戦でトーナメントが組まれていたりします。

〈戦闘課〉のように今朝くじ引きで決まり、今までに3回の〈調理課2年生〉の〈作品コンテスト〉が行なわれたそうです。ミーア先輩の出場する今回の〈調理課2年生〉〈作品コンテスト〉は本日4戦目、ラストみたいです。


 ちなみに決勝戦は3日目に1年生の部と2年生の部をやるそうです。3年生は4日目に本戦、5日目に決勝戦とのことでした。

 スケールが〈錬金術課〉とは違いますね。こちらはクラス対抗戦すら出来ないですし。


 そして〈調理課2年生〉と言えば、私たちにとって大切な先輩であるこの方を忘れてはいけません。

〈生徒会〉会計のミーア先輩です。


「ミーア先輩が〈1組〉のリーダー、みたいですね」


「さ、さすがミーア先輩です!」


 シレイアさんの言葉に私は2回も頷きました。

 ミーア先輩は〈生徒会〉メンバーに選ばれるほど非常に優秀です。それこそ〈1組〉のリーダーになるほどの実力を持っています。


 学生が多く集まる課のトップです。すごいですよね。

 身近にもっとトップなゼフィルス君が頭を過ぎりましたが、ミーア先輩だってすごいんです!


「お待たせいたしましたー! 第四回〈調理課2年生〉の〈作品コンテスト〉を開催いたしまーす! 今回のクラスはなんと優勝候補の〈1組〉を初め、〈3組〉〈6組〉〈11組〉という強豪が揃っている激戦回だーー!!


「「「わーーーー!!」」」


 司会者の、ちょっと肌色が多めなような服を着たお姉さんが叫ぶと、会場が一斉に吠えました。

 みなさんノリがいいです。


「続いて審査員をご紹介します! えー〈調理課〉の審査員は非常に激務なためすでに54人が食べすぎで保健室に運ばれていきました! しかし、まだまだ負けません、負けてなるものかと審査員! これで食べられなければ何のための審査員なのかと自分を奮い立たせ、今ここに立っております! 震えている人も若干いるみたいですが」


 そうして登場したのは20人の審査員。

 すごいです。さっき見た〈裁縫課〉や〈錬金術課〉は5人だったのに!


「仕方ありませんわよ。何しろ四クラスですから、最低でも〈総評価ポイント〉で10作品、〈作品対決〉10作品、かける四クラスで80種類の料理が振るわれるのです。5人の審査員がローテーションで食べて審査するにも1人20食は食べなくてはいけない計算です。そして〈調理課〉は特殊で一度出した料理の再出品はNGですから、コンテストの内容で作り直しか別の作品を提出します。その度に審査員は食べることになりますわ。わたくしにはとても無理ですわね」


 それは私も無理です。1人前で十分お腹一杯になってしまいますよ。

 私は審査員の人たちを尊敬します。


「さて、最初の〈評価ポイント〉から行きますよ! 審査員は5人1組に分かれて各クラスの料理を食べて行きます! さあ、10食平らげろ耐久戦が始まります! 見てくださいこの審査員の戦地に赴きそうな表情を! さあ、最後まで耐えられる審査員は誰だーー!!」


「そ、そういうコンテストでしたっけ?」


 シレイアさんが司会者さんの言葉に思わず呟きましたが、その声は届きませんでした。


 審査員5人が席に着くと、その前に1種類の料理が運ばれてきます。1人1皿なので5皿ですね。かける10皿で、50皿。それが四クラス分です。ひえぇ。

 そうしてコンテスト開始の合図と共に審査員が食べ始めました。


「さあ! 審査員が食べる食べる! すごい勢いだー! これは満腹中枢がギブアップする前に食べきってしまおうという作戦なのかー!?」


 審査員さんの前に出された食べ物が見る見るなくなっていきます!?

 他の〈課〉では1品1品しっかり評価していたように見えたのに、ここでは評価を付けるよりもまず食べると言わんばかりの迫力です!?


「美味い! 9点! 次だ!」


「いや、良いですねぇ~、8点です。次を」


「美味いが前のと食べあわせが悪い! 4点!」


「神よ。10点」


「一口サイズ、大いに結構! しかし物足りん! 3点!」


 どんどん料理が運ばれては審査員の口に消えていきました。

 審査員のことを考えて一口サイズで出された料理も有りましたが、ありがたいと高得点を付ける審査員もいれば、舐めるなよ! と低い得点を付ける方もいて、量の面でも重要な戦いみたいです。


 また、観客席でも審査員が食べているのと同じ品がテーブルに並んでいて、点数を付ける係に選ばれた観客さんがテーブルの周りに張り付いていました。


「これ美味しそう! 絶対食べたいわ!」


「いや、もう見るだけでお腹いっぱい、うぷ」


「デザートすっごい!? 超すっごい! 食べる!」


「おおおおお待ちを!? 観客席の方は見るだけですよー!?」


「甘いのはちょっと……」


 大量の料理を前に50人×四クラス分で200人の方々が会場の料理を見て点をつけていました。

 観客席側は見たり香りを嗅いだりすることは出来ますが、食べることは出来ないので、美味しそうか否かで点をつけるみたいです。

 デザート系が人気みたいですが、男の子の中には甘いの苦手という人が少なからずいるみたいですね。


 そうして最初の〈総評価ポイント〉が決着しました。


「〈総評価ポイント〉終了! 集計の結果、〈1組〉が923点で暫定トップだー!」


「「「「おおおーーーー!!」」」」


「続いては〈作品対決〉が始まりますー! 審査員の方々は生きてるかー!?」


「まだまだ……」


「へ、このくらいで、くたばるかよ」


「威勢の良いセリフがどこまで聞けるのかー! では〈作品対決〉行って見ましょう! まずは1作品目――!」


 ざらっと出る四クラスの20皿。1種5皿の四クラス分です。

 審査員1人で4皿を食べてどの作品が優秀かを決めるのです。それぞれ1作品目の審査をする審査員5人の前に置かれました――瞬間。


「ぐはぁっ……」


「おおっと! ここで審査員が1名脱落したぁ!?」


 4皿を食べて審査しなければならないと見せ付けられた瞬間、審査員の1人が崩れ落ちてしまいました!?

 だ、大丈夫でしょうか!?


「くっ、情けないやつめ! ここは俺に任せろ」


「行けるのか罠外先輩!?」


「おうよ、目にもの見せてやるぜ」


 倒れた1人の代わりに控えていた審査員の1人が席に着きました。そこに置かれた1品目は、ボリュームたっぷり〈ステーキ〉〈焼き飯〉〈親子丼〉〈ラーメン〉でした。


「ぐはぁ!? く、男料理ばかりじゃねぇか!? お、俺はもうダメだ……」


「罠外先輩!? あんた出場したばかりだろう!?」


 交代したばかりの審査員が崩れ落ちていました!?

〈調理課〉のコンテストは凄まじいです!?


 そのままコンテストは続きます。審査員たちは先へ進むごとに行き絶え絶えになっていきました。


「こ……れ……は、良い……もので……ゲフッ……」


「ああ! また1人倒れた!?」


「メーデー! メーデー!」


「俺の筋肉が通りまーす!」


〈調理課〉のコンテストって、大変です!





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[一言] 罠外せんぱーいっ!? これでいいなら他にも審査員になりたい人は多そうだな。
[一言] 罠外先輩は審査員になれるね。 いや、魔法少女先輩かな?
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