#109 夏祭りのご褒美お届け物!上級レシピと素材群!
「ハンナさーん。お届け物でーす」
「はーい」
ゼフィルス君メモを回収した翌日の日曜日。
日課のスラリポマラソンをして汗を流しているとお届け物が届きました。
軽くスライムさんたちを全部屠って汗を軽く拭い、玄関に出ます。
ですが、私宛にお届け物? はて、誰からでしょう?
「学園長からお届け物ですよ」
「あ! ありがとうございます寮長さん!」
玄関にいたのはこの〈福女子寮〉の寮長を務めている3年生の方でした。
お礼を言って荷物を受け取ります。
学園長からと聞いてピンと来ました。
多分アレが届いたんですね!
私は早速マラソンの後片付けをしてから封を開けました。
「わ~、レシピがいっぱい! あ、こっちは素材かな!」
そう、中に入っていたのは大量のレシピ、そして素材でした。まずはレシピの方から開けます。
全て【錬金術師】が作製できるレシピで、軽く200枚はあります。そして小さな〈空間収納倉庫〉、その中には大量の素材が入っているようでした。
これは、実は夏祭りの報酬だったりします。
夏祭りは〈生徒会〉メンバーは強制参加、強制出品させられますが、その代わりお礼にご褒美が贈られるのです。
私が出品したのは〈エデン〉で埃を被っていた高品質の〈ハイポーション〉1万本だったのですけれど、学園長がとても褒めてくださったのでした。
えっと、私は夏祭りに自分のギルドで店を出すためにバタバタしていたので、元々作ってあった物で凌いでしまって恐縮だったのですが、どうも例の6月の頭にあった〈総商会〉の問題解決に導いた功労者にふさわしい作品だとか、内外に示せたとか、なんだか私にはよく分からなかったのですが、賛辞をいっぱいいただきました。
そしてその高品質〈ハイポーション〉も全て学園が買い取ることになりました。
在庫が捌けてQPがたくさん入って嬉しいことでいっぱいです。
ですが嬉しい事は続きます。例のご褒美の件ですね。
思った以上の高評価で、ハイポーションの売却のことも含め、私は特別に少し豪華にしても良いと言われました。
そこで私が頼んだのがこのレシピと素材です。元々のハイポーションの売却代は、半分はQPとしてギルドに入れますが、もう半分は私の取り分でした。それもご褒美に変換してもらった形になります。そのためすっごく豪華なのです。
生産職にとってレシピとは財産です。
レシピが無ければ生産品を作れませんし、売ることも出来ません。
ですからレシピは貴重品でとても大事なものです。
そのためゲット出来る機会は逃してはいけないのです。
そんな貴重品が欲しいと告げると、学園長は言いました。
「外からもたくさんの援助を得られたからの、少し待っていればそれなりの数が集まるはずじゃ」
よく分からなかったのですが、要は後で送るよ、ということだと解釈して1週間。
それがとうとう届いたのです。
「わ、わ! これ、モンスター生産のレシピ!? え? 何これすごい! あ、え!? これって錬金での武器の作り方レシピ!? すごい、中級品だけど! あれ、これって上級!? 上級のレシピがいくつか混ざってる!?」
見てびっくりしました。
なんとこのレシピ200枚のうち、10枚くらいは上級レシピだったのです。
へ? だって上級レシピってとんでもない価値で取引されてるって……。
いえ、細かい事は考えないようにしましょう!
「上級レシピがこんなに、ど、どどど、どれを、作ろうかな?」
自分の声に動揺が現れていますが敢えて無視して進めます。
私は昨日の戦果を確認しました。
〈魔石(大)〉が2000個も出来ていました。
昨日は夢中になってしまいました。
もうすぐクラス対抗戦が始まってコンテストに作品を選んで作って出品しなければなりません。
なのについ〈魔石(大)〉の量産をしてしまいました。反省。
しかし、今日になってこんな物が届いたのです。これは神様が私にこのレシピで作れと言っているということではないでしょうか?
一瞬、言っているのは神様ではなく髭が長いご老公の姿が過ぎりましたが、私は首を振って雑念を払いました。
「ゼフィルス君のレシピメモはとても有用ですが、先生の前じゃないと練習出来ないのがネックでした。ですが、この正式なレシピなら練習し放題です。早速作ってみましょうか!」
ゼフィルス君のメモには私の実力にあった品が書かれていましたが、これは正式なレシピでは無いので先生の前じゃないと作ってはいけません。〈魔石(大)〉の作り方は〈大図書館〉にレシピがあるので例外でしたが、他の物はそうはいきません。
やっぱり隠れて練習して、サプライズでどどーんと見せたいですよね。
私はレシピを見ながらどれを出品すれば良いか頭を悩ませます。
「確か、同じジャンルの類いを続けて披露すると評価が下がるのでしたね」
例えば同じポーション10本を出品したとしてその評価はだだ下がりです。ですが、品を変えて、〈ハイポーション〉次〈MPハイポーション〉と同じポーションのジャンルを続けて出しても評価はあまり上がらないと聞きます。
だからこそ得意なジャンルがなるべくバラバラなメンバーで挑む事が高得点を取るコツだと言われています。
「……武器、モンスター、ポーション、アイテム……」
アイテムだけでもたくさんの種類があります。
それをジャンル別に出しても良いと思いますが、ですがせっかく新しいレシピが手に入ったのです。さらに確認してみると、素材は上級素材もかなり混ざっているようでした。
これは、使えと言うことでしょうか!?
「出す品は10品、そして当日に作る品が1品。合計11品」
私は作製するレシピを抜き出して、早速練習する事にしました。




