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【本編書籍化】ゲーム世界転生〈ダン活〉EX番外編~ハンナちゃんストーリー~  作者: ニシキギ・カエデ
第三章 夏休みの思い出と生産職クラス対抗戦!

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#104 ネタばらし?アルストリアさんは少し天然です。




「そうですね。ハンナさんたちに組まれたら戦力が偏りすぎてしまうかしら」


 アイス先生のその一言が決め手でした。

 ふと見れば、クラスメイトたちの拝むような姿が至る所に、どうもどうか私たちが組まないでくれと、心の中で祈っているようでした。


「ハンナ様、どうか下々な私どもにもお慈悲とチャンスを……」


 中には声に出している人もいます。

 そんな姿を見れば私たちが組むことは憚られました。


 どうやらクラス対抗戦は、私、個人出場になりそうです。




「ではさっきのは演技だったのですか?」


「そうですわよ。別にハンナさんとシレイアさんと一緒にチームを組むのがいやだったわけではありませんわ。クラスメイトの前ではああいう態度を取らなければいけませんでしたの」


 えっと、ネタばらし?

 アルストリアさんが先ほどの教室での一件の詳細を話してくれます。


「クラスが一つしかないというのも考え物ですわね。〈戦闘課〉で言えば1組から127組までが混ざっているようなものですから、実力に差がありすぎるのですわ」


 アルストリアさんの言葉を咀嚼します。

 ゼフィルス君たちのいる〈戦闘課〉は一番クラス数が多く127クラスもあります。

 だからこそ、クラス同士の対抗戦が成立するわけですね。


 ですが〈錬金術課〉は1クラスしかありません。

 これは【錬金術士】が相当発現しにくいということですが、それはともかく。

 1クラスではクラス対抗戦にしようがありませんよね。


 そしてアルストリアさんの言葉通り、この〈錬金術課〉のクラスの成績は、かなり偏っていたりします。


「変にやっかみを持たれてもうっとうしいだけですから、適度にガス抜きをしてあげませんと、その案配はわたくしの方が得意ですから教室ではあんなやり取りをしましたの」


「もう、ビックリしましたよアルストリアさん。私、アルストリアさんに嫌われてしまったかと思いました」


「わ、私もです」


「も、もう、そんなことはありませんわ。わたくしだって、ハンナさんとシレイアさんと一緒にチームを組みたかったのですよ?」


 アルストリアさんが少し顔を赤くしてそっぽ向きました。

 ここは食堂。お昼の時間のお食事タイム中のことです。

 アルストリアさんが可愛くなりました。


「それを聞いて安心しましたよ」


「で、でも、そうなら先に言ってくれても良かったのに」


「先に知ってしまうと、あなたたちは演技なんてできませんでしょう?」


「ひゃん」


 シレイアさんが撃沈しました。

 私もうぐっときました。


 最近のアルストリアさんは私たちに遠慮が無くなってきましたよ。距離がまた近づいたということで良いことだと思うことにします。

 確かに、クラスメイトの感情を誘導するなんて私にはとても出来ません。

 全てはアルストリアさんにおまかせします。


「さて、わたくしたちはコンテストまでライバルですわね。一緒にチームを組むのも良いですが、たまにはライバルとして切磋琢磨するのも良いものですわよ」


「確かにそうかもしれません。一緒に何かをする機会なんてこの先いっぱいありますしね」


 何事も経験です。

 ゼフィルス君だって、クラス対抗戦では他のギルドのメンバーと対決するって話をしていましたし、私もやってみないと、ですね。


「というわけで、しばらくパーティの活動はお休みですわね。わたくしは良い作品を仕上げるため、工房でコンテストに出す作品を作製する予定ですわ」


「そうですね。私たち1年生のコンテストは2日目とはいえ、時間はあまりないですから」


「は、はい。頑張らないと、です」


 クラス対抗戦は1週間掛けて行なわれます。

〈戦闘課〉なんて127クラスまでありますから1日じゃ絶対終わらないですからね。

〈錬金術課〉は1日で終わってしまうのが少し悲しいところです。


 そして〈錬金術課〉の〈作品コンテスト〉ですが、クラス対抗戦の2日目、火曜日に行なわれることになりました。

 ちなみに1日目は〈錬金術課2年生〉、4日目に3年生の〈作品コンテスト〉が行なわれるみたいです。


 ちなみに1年生が1日目じゃないのは学園の配慮だそうです。1年生は初心者ですから、まずは先輩の〈作品コンテスト〉を見学してどういうものか感覚を掴ませるのが目的みたいです。

 頑張らないと。


 また、3年生が4日目なのは、この日に企業の人たちが集まるからだそうです。最終日の5日目じゃないのは、5日目は一番注目の的、〈戦闘課〉の決勝戦があるからだそうです。

 私も見に行かないとですね。ゼフィルス君たちは〈戦闘課〉で最も優秀なクラス、〈1組〉ですから当然優勝候補です。決勝戦は絶対残っていることでしょう。


「2人ともいい試合にしましょうね」


「は、はい!」


「もちろんです! 全力を尽くします!」


 クラス対抗戦では2人はライバルです。敵同士になります。

 私は気合いを入れ直しました。


「それではクラス対抗戦でお会いしましょう。楽しみにしていますわ」


「えっと、アルストリアさん?」


 話が終わるとそう言ってアルストリアさんはかっこよく去っていきました。

 今日は金曜日、夏休み明けの最初なので選択授業はありません。クラス対抗戦の準備でそれどころでは無いですからね。今日が終われば土日を挟み、クラス対抗戦が始まるので教室で顔を合わせることはありません。次会うときはクラス対抗戦当日のことでしょう。

 ――でも、


 数十分後、〈錬金術課〉の教室にはプルプル羞恥で震えるアルストリアさんが座っておられました。

 今日は、午後もロングホームルームがあるんです。クラス対抗戦が来週からですから。

 アルストリアさんは少し抜けているというか、天然なところがありますよね。

 そこが可愛らしいです。





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[良い点] クール美女の天然やらかしからの羞恥プレイ、いいよね。
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