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【本編書籍化】ゲーム世界転生〈ダン活〉EX番外編~ハンナちゃんストーリー~  作者: ニシキギ・カエデ
第三章 夏休みの思い出と生産職クラス対抗戦!

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#103 対抗戦準備!今回トップスリーは別パーティー?




 あれは夏休みが終わってすぐのことです。

 ゼフィルス君がギルドメンバーを集めたギルド部屋で宣言したのでした。


「今日、俺たち〈上級転職チケット〉回収チームが無事3枚の〈上級転職チケット〉を手に入れた。これで〈エデン〉が所有する〈上級転職チケット〉は6枚。よって6人のLVカンスト者から上級職に〈上級転職(ランクアップ)〉して貰うこととする。また、今後はこのようにたくさんの〈上級転職チケット〉が手に入る予定だ。たとえ今日選ばれなかったとしても時期が来れば上級職に〈上級転職(ランクアップ)〉することができるので待っていて欲しい。順番に引き上げて行く予定だ」


 それを席に座ってただすごいなぁと聞いていた私。

 だってこの時は、それが自分に関係することだって思わなかったんですもん。


 資源はダンジョンから出る。

 ですから〈上級転職(ランクアップ)〉をするのはダンジョンで戦闘したり、資源を採取したり活動する〈ダンジョン攻略専攻〉の方、それが当たり前の考え方でした。

 だって〈上級転職チケット〉って高価で、そもそもが戦闘職の方が採ってきてくれたものです。だから戦闘職の方に還元するのが当然だと思っていた私は悪くないと思います。

 私は〈ダンジョン生産専攻〉なので、誰が上級職になるのだろうと、純粋な興味しかなかったんです。ええ、まさか自分が選ばれるなんて夢にも思っていませんでした。


 そんな私にゼフィルス君は言ったんです。


「さて、みんな気になっている最後の1枚の使い道だが、これは『ハンナ』に使おうと思う」


「…………ふえ?」


 私の口から、とても間の抜けた声が漏れたのが妙に記憶に残りました。




 それからあれよあれよとあっという間に私は、いえ、他の5枚のチケットに選ばれた6人のメンバーは〈測定室〉へと向かい上級職へと〈上級転職(ランクアップ)〉してしまったのでした。

 しかもただ上級職になっただけではありません。

 より難易度の高いと言われている上級職の高位職に私はなってしまったんです。

 私、中位職の中だったのに。


 ええ、全てはゼフィルス君の指示に従った結果です。いったい何が起こったのか、未だにちょっとわかっていなかったりします。


 それはともかく私は上級職の【アルケミーマイスター】に〈上級転職(ランクアップ)〉し、新しい錬金方法をゼフィルス君から教わりました。

 それが素材同士の合成です。

魔釜(まか)』というスキルなのですが、これを発動すると素材に相性のいい素材を溶け込ませ、品質を上昇させるという能力を使えるようになったんです。


 これがどういうことかというと、例えば通常MPを100回復してくれる〈MPハイポーション〉、これの〈土台(ベース)〉となる〈上魔力草〉の品質を上昇させたとします。


 品質を上げるには一定数以上の品質や上位素材を使うことがルールみたいです、あと相性もあるので全部の素材は使えないのだとゼフィルス君は言っていました。

〈上魔力草〉は中級下位(チュカ)級なので、中級中位(チュウチュウ)で取れる〈恵みの葉〉という素材を混ぜてみます。


 そして品質の上がった〈上魔力草〉を使って〈MPハイポーション〉を作ると、高品質で回復量が300に上がった〈MPハイポーション〉が出来るって寸法です。

 何これ数値が倍です!? すごく強いんですけど!?

 これもっと作りたい!


 ですが残念ながら素材には品質の限界値が決まっているのでこれ以上回復量を延ばすことは出来ないそうです。

 そして回復量300にするには〈恵みの葉〉が5枚必要でした。これで〈上魔力草〉が最高品質になります。

 ちょっと割に合わないですね。


「まあ、それの真価は消耗品じゃないからな」


「え?」


「それはな、装備を作る時に一番使うんだよ。切り札だ」


 ゼフィルス君が切り札と言い切るほどのスキルに手が震えました。

 そう、このスキルは、上級装備を作るのが本来の能力なんだそうです。




 私はこの数日間、夢中で物を作っていました。

 物を作ればレベルも上がります。

 ゼフィルス君ったら中級上位ダンジョンに進出して、そのお土産を大量に持って帰ってきましたので私もたくさん作ってしまいました。

 おかげでまたギルドで一番レベルが高くなってしまったのは内緒です。


 そんなことを考えつつ、私はクラス対抗戦でどんな作品を出そうか悩んでいました。


「みなさんには最大で5人のチームを作ってもらいます。〈作品コンテスト〉で出す品は10品。5人のチームなら各2品ずつ出して競い合う形ですね。もちろん個人参加も可ですよ、その時は1人で10品を出す必要があります」


〈錬金術課1年1組〉担任のアイス先生の説明に耳を傾けます。

〈作品コンテスト〉に今回出す品は1チーム10品だそうです。

 チームは最大5人までで、各人必ず1品はコンテストに出さなければいけません。

 チームの人数は自由で、個人で10品出すのも有りという中々豪快な取り決めです。


 個人で出場とチームでの出場ではチームの方がメリットが有ります。

 チームでの1番のメリットはやはり効率ですね。〈作品コンテスト〉ではコンテストの最中に作品を作る場面がありますが、チームでやれば役割分担が出来て効率的に進めることも出来ます。

 作品を作るタイムもコンテストのポイントに含まれているためですね。


 さらに言えば同じ人の作品を連続で出すのは減点対象になりやすいというのもあります。

 これは作品のコンテストではありますが、作り手の審査でもあります。例えば得意分野、同じ物ばかりを出して評価がされるでしょうか?

〈ポーション〉作りが得意で、高品質の〈ポーション〉を10品で出場したとして、最初の1品目は高得点が付くでしょうが、その後はずるずると評価が辛くなっていくらしいです。

 当然ですね。ちなみにこれはミーア先輩情報です。あの後しっかり聞きましたよ。


 つまりは審査員、評価者の満足度もコンテストのポイントに重要な点というわけです。

 そのため、出す作品は被らないようにするのが最善で、得意分野が違う人たちが組んだほうが点数は良くなると評判らしいです。


 それでも個人出場はダメというわけではなく、ちゃんと得意分野並みの作品を10種類提出すれば良いだけの話ですね。

 でも、それが厳しいのでみなさんチームを組みたがるわけです。


「ではこれよりチームを組んでください。クラス対抗戦が急に決まったことでみなさんにはご不便をおかけしてすみませんね」


 現在金曜日。

 もうクラス対抗戦は来週月曜日からなので目の前です。

 これもクラス対抗戦が急遽やると決まり、夏休み明けに通知が来たからですね。

 とはいえすでに大体の内容は通知されているので、チームわけは滞りなく終わりまし――いえ、終わりませんでした。


「わたくしたちが組めばクラスの人たちが誰も勝てませんわ。だからこそ、私たち3人は誰とも組まず、個人で参戦すべきだと思いますの」


 それは、そんなアルストリアさんの言葉から始まりました。


 確かに私たちは〈錬金術課〉のトップスリーですが、そこまでする必要はあるでしょうか?


「あ、あのアルストリアさん、そこまでする必要は、あるのでしょうか? わ、私、自信が」


 シレイアさんも同意見のようです。


「甘いですわ。私たちはハンナさんと関わりその実力を大きく伸ばしました。それは〈生徒会〉に正式に加入するような高い実力です」


 アルストリアさんの言葉に私も頷き尤もかもしれないと思いました。


「確かに、〈生徒会〉メンバーが3人で組めば、誰も勝てないかもしれません」


「しれないではなく、勝てないのですわ。〈生徒会〉とはそういう人の集まりなのですよ」


「ひゃ、ひゃい!」


 アルストリアさんがいつになく真剣です。この夏休み中、私たちは〈生徒会〉に正式に加入しました。

〈生徒会〉に選ばれる行為がどれほど重要なことなのかと私たちに説いていきました。


「えっと、つまり纏めると、アルストリアさんは私たちと組めないということでしょうか?」


「むしろ競い合うことで己の実力の成長に繋がるのではと考えていますの」


 さ、さすがはアルストリアさん、自分に厳しいです。


 どうやら私も、個人で出場するのが良いかもしれません。





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― 新着の感想 ―
[気になる点] >通常MPを100回復してくれる〈MPハイポーション〉 >〈MPハイポーション〉を作ると、高品質で回復量が300に上がった〈MPハイポーション〉が出来る >何これ数値が倍です!?  …
[一言] アルストリアさん、ハードル上げすぎだろ…
[一言] ハンナの伝説ということは、 うっかり書類の提出場所を間違えてチーム戦に個人で出場したということだろうか?
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