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【本編書籍化】ゲーム世界転生〈ダン活〉EX番外編~ハンナちゃんストーリー~  作者: ニシキギ・カエデ
第三章 夏休みの思い出と生産職クラス対抗戦!

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#100 夏祭り体験。ハンナの射的はアウト? セーフ?




「わあ~、ここはこうなっているんですね。暗いのに明るくて、変な感じです」


「夜と昼間では雰囲気がまったく違うね。夜の暗闇に提灯が良く映えるよ」


提灯(ちょうちん)のこの明るさがポイントやな。なんや、これだけで祭りの雰囲気を思わせられるわ」


 私、カイリさん、アルルちゃんがそれぞれ夏祭り会場の光景を見てそう感想を言いました。

 あれ? 何か違いますね?

 私たち3人はハッとしてお互いを見つめて苦笑しました。


 今のは夏祭りっぽくない感想でしたね。


「生産職の性やな」


「私も、つい環境を見るクセが身についていて、いやお恥ずかしいなぁ」


 アルルちゃんとカイリさんが照れていました。

 今まで仕事で忙しかったせいか、未だに仕事の感覚から抜け出せていなかったみたいです。


「じゃあ、夏祭りを楽しもうか」


「せやな。休みも少ししか無いしな」


「楽しい時間なんてあっと言う間に過ぎちゃいますからね。あ、私はあのクレープを」


「い、いきなりクレープなのか……」


「ハンナはんは女子やな」


「え? え? カイリさん、アルルちゃんも、どうしましたか?」


「いいや、夕食時のこの時間、私たちは割とがっつりめなメニューに目を光らせていてね」


「せやのにハンナはんが選んだ最初の品はクレープやん? なんか女子力としての敗北感がな」


「え、ええー。もう何言ってるんですか。そんなことでショックを受けないでくださいよ」


 どうやら今までの忙しさとお腹のペコペコさでがっつり食べたいと2人は思っていたみたいです。

 考えてみればそれは当然かもしれません。私もクレープを選んでしまったことがなんだか恥ずかしくなってきてしまいました。


「ですが甘い物には逆らえません」


 疲れた身体には糖分。

 これは女子にとって普遍の摂理です。女子は糖分さえあれば回復出来るのです。


 ということで早速クレープを買いました。

 私が買うと、カイリさんとアルルちゃんもクレープを購入します。

 私は苺と生クリームがたくさん入ったやつです。


「ん~、甘いです美味しいです。疲れた身体に染み渡ります」


「確かに、疲れは吹き飛ぶわ~」


「割とお腹にも溜まるねクレープって」


 まずは仕事の疲れを飛ばし、これからが夏祭りの本番ですね。


「ではこれから食べるなり、遊ぶなり、行ってみましょう!」


「「おお~」」


 クレープはあくまで遊ぶための燃料。食べ物はまた別です。

 私たちは新たな娯楽を求めて夏祭り会場を散策しました。


 時には食べ物を片手に散策し、時には射的や輪投げなどをやらせていただきました。


「ドーン!」


「お、おおう!? 客寄せ用のフラーラ作限定〈ゴピップス〉ぬいぐるみが~! あんた本当に生産職か!?」


「もちろん、錬金術師です!」


「絶対本職はガンナーだろ!?」


 射的では、前にフィリス先生から受け取った〈ゴピップスぬいぐるみ〉、アレのポーズ違いがありましたのでゲットしました。

 射的の看板には「【ガンナー】様【弓士】様【アイテム士】様お断り」と書いてありましたが私は【錬金術師】なのでセーフですね。


「いやあ、ハンナはんすごいなぁ」


「このぬいぐるみ、凄く可愛いよ~。あれ? カイリさんは?」


「あっちでダーツしとるわ。今んとこ3回チャレンジして全敗して、まだチャレンジしとる」


「そろそろ連れ戻して次に行きましょうか」


 負けず嫌いをしていてはすぐに時間が無くなってしまいます。

 私たちはカイリさんを引っぺがして次に行きました。


 そろそろ時間も厳しいので、最後はあのシェリアさんが蕩けたというフォークダンスにきました。


 ちょっとした広場に2階建てくらいの小さな(やぐら)が立っていて、その周りで学生たちが思い思いにダンスしています。

 少しフォークダンスとは違うみたいですね。


「んじゃ順番におどろうか、ハンナさん、どうかな?」


「いいですよカイリさん。――アルルちゃん、少しぬいぐるみ預かってて」


「了解~、いってら~」


 自由参加のようなので、私たちもフォークダンスに参加です。

 カイリさんは背が高いスポーツ少女で髪が短く、ボーイッシュなので男の子役ですね。

 私が音楽に合わせて歩いたり、時にクルリと回ってダンスを楽しみました。


 次にアルルちゃんとカイリさん、最後に私とアルルちゃんでダンスします。

 しかし、最後はちょっと一悶着、どっちが後ろについての男役をやるかで意見が対立してしまいました。

 男役とはつまり、どっちの身長が高いのかという意味です。


「うちやろ?」


「私じゃないですか?」


 私とアルルちゃんの身長は同じくらい。

 元々身長が低い種族であるドワーフのアルルちゃんと同じ身長という事実に。改めて打ちのめされそうでしたがなんとか耐えきりました。


 結局は2人で代わりばんこに男役をやればいいということに落ち着き、改めて楽しみました。


 それにしてもシェリアさんはルルちゃんとどうやって踊ったのでしょう?

 身長の低いルルちゃんに合わせて屈みながら、顔をゆるゆるにしてダンスするシェリアさんを想像して少し笑ってしまったのは秘密です。


 少し駆け足になってはしまいましたがこれにて休憩時間は終了。


 私たちはその後出店に戻りました。


 フラーラ作の〈ゴピップスぬいぐるみ〉を抱いての帰還で、ルルちゃんが目を輝かせて抱きついてきたので、一緒にぬいぐるみを抱きしめました。とても良きかなです。

 その後はシェリアさんを始め、自分にも抱きしめさせてという人が多かったので結局ローテーションで全員ギュってしました。思い出です。


 そのまま最後の終わりの時間まで頑張り、初日は無事終了したのです。


 サチさん、エミさん、ユウカさんの3人はそのまま継続し、明日も来てくれることになったのは僥倖でした。

 夏祭りの終了のアナウンスと共に、私は明日の人員スケジュールを練るのでした。


 そんな忙しかった夏祭りも2日目。

 初日ほど爆売れすることも無く、初日の夜と同じくらいの注文数だったのでさほど忙しくなく出店を回す事が出来ました。


 それに、やっぱりサチさん、エミさん、ユウカさんの応援が大きかったですね。

 3人が入ってくれたおかげで、みんなも休みが増えて夏祭りを体験出来る機会が増えました。

 私も夜は夜、昼は昼の顔がある夏祭りをとても楽しみました。

〈生徒会〉のブースに遊びに行って、展示されている作品自体が非売品となっていることに驚いたりしました。私の出品したハイポーション1万個は、なぜか壁のように積み上げてアートになっていましたね。


 逆に〈生徒会〉メンバーが来て私たちの出店の料理を頼んでくれたりもしました。

 後で美味しいの言葉をもらって、とても嬉しかったです。良い思い出になりそうです。


【ハードワーカー】のサトル君は私のフォローや〈生徒会〉のフォローなど、裏方で活躍したと聞いています。

 あまり見かけませんでしたが、ギルド部屋でマリアさんの書類仕事をほとんどこなしてというのだからすごいですね。


 そんな感じで慌ただしくもやりがいのあった夏祭りの出店は8月31日を持って終了したのでした。





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
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[気になる点] 夏祭り初日の夕方はゼフィルス君と二人で出店を見て回っていたはずでは
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