8話~面倒ごと
「「「ええぇぇーーー!?もう終わりなんですか!?」」」
街中で3人を見つけ丁度よかったから飯を4人で食べに行くことにした。食事も終わった所で、3人にカルナから頼まれてたある程度戦えるとこまで面倒見てやってくれって依頼が終わったことを伝えると3人ハモって驚かれた。そんなに以外なのかね?
「もう大体戦えるんだから俺はいらんだろう。これからは自分たちで依頼を決めて考えてやっていくんだ。」
「そんな急に言われても・・・」
「冒険者ってのは元々そんなものだろう?俺と行動していたこの時間がおかしかったと思え」
3人は不満たらたらだったが、俺がもう3人と行動をするつもりがないとわかったのか諦めたようで。
「わかったわ、これからは3人で頑張っていくわよ」
「そうね!頑張りましょう」
「すぐにランクも追いつきますからね!」
「まぁ頑張れ、無茶をして死なないようにするんだぞ」
これでこいつらへの報告も終わった。
(そろそろ近いうちにこの国から消えるとしよう)
店の前でこの3人と別れた。
「まず食材を買いだめしておくか」
まずは食材買って~などと考えながら街を歩いていると、後ろから声をかけられた。
「おい、そこのお前・・・黒髪のお前だ!止まれ!!」
「・・・ふぅ、なんのようだ」
振り返ると騎士っぽいプライドの高そうな男が俺を呼んでいた。
「ついてこい」
「断る」
「・・・何だと?」
断られるとは思っていなかったって顔で、青筋を浮かべている騎士。
「そんな上から目線でいきなり言われてついていくわけがないだろう?」
「冒険者風情が口答えするな!貴様は言われた通りにすればいいんだ!!」
剣を抜きこっちにつきつけながら言ってきた。恐ろしく自己中な奴だ。
「・・・斬られるのは嫌だな、大人しく付き合ってやる」
「ふん・・・」
騎士は剣を収めたがイライラしたような顔で歩き出した。
こいつの後ろを歩いているとどこへ向かうかが分かった、冒険者ギルドだ。ギルドの中へ入っていくと、いつもは騒がしいギルド内もどこか静かな感じがする。それでもこいつの後ろについていくと最終的にはギルド長の部屋の前まできた。前には2人騎士が立っており、その騎士と言葉を交わした後
「そこで待ってろ」
「・・・・・」
騎士は1人で部屋に入っていった。
(こいつは何様だ?人を不快にする天才だな・・・だが面倒ごとに関わる前に消えるのは無理だったか・・・・)
騎士がわざわざ呼びに来たということは、それは騎士を護衛に動く人間がこの中に存在するという事。
少しすると「はいれ」と、一言扉の中から声をかけられたので仕方なく入っていく。
そこにはさっきの騎士の他に2人の騎士が立っており、カルナと女性が対面して座っていた。ヤクモはカルナの後ろへと回ろうとしたが
「ヤクモ、俺の隣でいいから座れ」
カルナに言われたので隣に座った。対面に女性が1人、その後ろに騎士が3人。部屋の中には全部で6人だ。
「来ていただきありがとうございます。ヤクモ様」
「いえ・・・」
「とりあえず揃ったんだから話を始めましょう」
「そうですね、私はこの国の姫・エステリーゼと申します。ヤクモ様を召喚させていただきました。」
「・・・・」
なるほど、合点がいった。これは召喚したのだからこの国のために力を貸してほしいとかそういうやつだ。てきとうな場所に飛ばしておいてよく言えるもんだ。
「あなたには一度私と共に王国へ来て欲しいのですが、よろしいでしょうか?」
その言葉と同時に後ろの騎士たちからの威圧感が上がった気がした。言外に断るなよと、そういう事なのだろう。
(圧迫面接されてる気分だ)
「なぜ?」
そう言った瞬間、ここまでつれてきた騎士が剣を抜きこっちに向けてきた!
「なぜだと!?貴様を探すのにどれだけ労力をさいたと思っている!冒険者風情は黙って従えばいいのだ!!」
「俺が・・探してほしいと頼んだか?」
騎士に向き直り問う。
「貴様の意思など知らぬ!いいから従え!!」
他の2人の騎士も同じような考えなのだろうな。似たような顔している。その姫様も止めることもせず見ているだけだった。
(終わってるなこの国・・・)
「せめて詳細を話してもらわない限り行く気にはなれませんね」
姫様の方を向きながら言った。すると騎士が俺を亡き者にせんと剣を振り下ろしてきた。
「死ねぇぇぇぇ!!」
「はぁ、やっぱこうなったか」
横からカルナがそれを軽く受け止めてくれていた。
「そう思っているならこんな騎士をこの場に置いておくなよ。まともに話もできやしねぇ」
止められた騎士は後ろに飛びのき構え直した。
「くそ、たかが冒険者風情だけなら今ので終わってたはずなのにッ!?」
カルナを忌々しくにらみながら吐き捨てる。
「少し大人しくしなさい」
争っていたとき、だんまりを続けていた姫様が騎士をいさめた。
「ですが「すべては話を終えてからです」・・・わかりました」
しぶしぶといった様子で騎士たちは下がった。だが敵意は全く薄れていない。
「今王国が置かれている状況を説明します。それから王国にくるかどうか考えてください」
「・・・わかった」
ここから姫様とヤクモ、ついでにカルナの会談が始まったのだった。