5話~少女たちの訓練
書き貯め投下中なのです
俺たちは朝からこの前と同じ近くの森へとやってきていた。この二人の実力を測るためである。まぁ一応犯罪奴隷に落とされたゴリアテと少しは戦えていたから、ある程度はいけるんだろうがやるからには正確に測る。
カレンは剣を使って押していくスタイルのようで、シュリは剣と火属性の魔法を使って倒していくスタイルのようだった。
2人とも剣を使うってのは正直バランスが悪い気がするんだがな・・・・
「2人は他にパーティメンバーを増やさないのか?」
「私たちは同じ村から冒険者になるためにあの街に来たからね」
「その後ゴブリンの討伐の依頼を受けて、駆け出しってことでゴリアテがパーティの引率をしてくれることになったんですが・・・そっからはヤクモさんも知っての通りです。」
なるほど、だから2人なのか・・・ん?
「ってことはお前らもあの街に来てそんな時間がたってないって事か。じゃぁ街の案内なんてできっこないじゃないか」
カレンはものすごい勢いで反対方向を向き、シュリは何のことかわからないようで首を傾げていた。
「そ・・それは~・・・」
どもりながらも何か言おうとしているのだが何も出てこないみたいだ。
「はぁ、まぁもうそれはいい。カルナからも報酬はもらえるみたいだからな。だが
何もないというのもあれだから魔法の事を教えてくれ」
と、俺が言うと2人は驚いた顔でこっちを見てきた。なんかその年で何も知らんのか?みたいな顔をしている。失礼な。
「そんな事でいいんですか?それなら私が説明しますからよく聞いていてくださいね!」
シュリが教えてくれるみたいだ。
魔法というのは4属性からなるものらしい。火・水・風・土の4属性だ。基本はその4つだがそれ以外にもユニーク魔法と言われるものもあるらしい。このユニーク魔法は基本血筋や特別な環境などで現れるものみたいで一般には気にしなくてもいいのだそうだ。
魔法の発動には魔力という体の中にある不思議なものが必要とのことだ。魔力が枯渇すると倒れたり、その状態でも魔法を使おうと無理をすると命にかかわることになるらしい。
あと神官になると回復系統の魔法が使えるようになるんだそうだ。
「と、こんな感じです!ちなみに私の火の魔法は敵に攻撃したりするのが得意です」
「そうか、ありがとう」
なら俺の魔力で物を作る能力はユニークになるのか。まぁ応用の効く能力だよな。
「話が終わったなら早く行くわよ!今日は私たちの実力を測るんでしょ!」
長い話でじれたのだろうな、カレンは本とか見れないタイプかもな。
「わかってる。それじゃとりあえず・・・向こうにみえるゴブリン4匹始末してこい。危なくなったら援護はしてやるから行ってこい。」
指の指した方向にはゴブリンがおり、そのゴブリンもこちらに気付き向かってきている最中だった。
「な!?そんな急に言われても・・「敵は待ってくれないぞぉ」やるわよやればいいんでしょ!シュリは魔法で援護しながらこっちきて!」
「もう準備してあるよ~~~~~ファイアーボール!!」
お?火の玉が3っつゴブリンに向かって飛んでいったぞ。しかもカレンが倒しに行った敵とは別のゴブリンに牽制として撃ったのだろうことがわかる・・のだがなんかファイアーボール撃つ前に呪文っぽい言葉をブツブツ言ってたぞ。やはり必要なのか詠唱・・・そんなこんな考えてるうちにカレンが一匹、また一匹と切り捨てていく。
「残り2匹!1匹ずつやるわよ!」
「わかった、こっちのは私がやるから!」
ふむ、シュリも一応剣でゴブリンを倒すみたいだが、やはりカレンと比べると動きが鈍いな。これならシュリには魔法メインにしてもらって他のメンバーを募るのがよさそうだな。
理想は剣士のカレン・魔法のシュリ・弓で中遠距離を1人に回復か盾職1人の4人パーティが理想か。
「ふぅ、4匹なら余裕ね」
「そうだね。これがあと2~3匹増えると辛いかな」
そうこう考えている間に倒し終えて討伐確認に必要な右耳を切り取っていた。
「ゴブリン位なら余裕だな。この調子でオークを余裕で倒せるようなら俺もお役御免なんだがな」
俺のつぶやきは聞こえてなかったようでだった。2人はこっちに来ると
「どうよ!これくらいなら余裕でしょ!」
「そうみたいだな・・・次はオーク2匹やってみるか?」
ゴブリンの血の匂いにつられてきたのかオークが2匹やってきた。
「これは無理かなぁ・・・」
「何弱気な事言ってんのよ!ゴブリン4匹倒せたんだからオークの1匹や2匹余裕で倒せるわよ!」
シュリは冷静に判断出来てるみたいだがカレンは少し直情型というかなんというか、熱くなる傾向があるな。とりあえず今にも突っ込んでいきそうなカレンを止めるか
「カレン、ストップだ。今の2人の実力だとオーク1匹倒せるかどうかだ・・・だから俺が1匹仕留めるからお前ら2人はもう1匹を仕留めてみろ。もちろん危なくなったら間に入るから心配するな。」
それだけ言うと俺は腰に下げていた刀で1匹のの首を落とす。弱すぎる・・・
「「・・・・・へ?」」
「ほら次はお前らの番だぞ。呆けてないで行ってこい」
「「え?あ・・うんわかった」」
一瞬で殺すとは思ってなかったのだろう。呆気に取られていたが一声で正気に戻りオークへと突っ込んでいった。
さっきとは違いシュリは魔法に専念して攻撃するみたいで、前衛と後衛が分かれて戦っていた。1匹だとちゃんとそういうの決めて戦ってるんだな。
ファイアーボールで攻撃して、隙があれば斬りに行くって感じだが致命傷にはなってないな。ファイアーボールも魔力不足か1発毎の威力が低い、カレンの攻撃は反撃を恐れているのか深いダメージを与えれてない。
(このままだとじり貧か・・・仕方ない)
少し口出ししてみることにした。
「シュリはファイアーボールで数発撃つのではなく、数発を1発に纏めて大きいの作ってみろ。カレンは反撃を恐れすぎだ、確実な隙の時には致命傷を与えにいってみろ」
俺の声が聞こえたのか、返事はないがシュリは1発の大きい火の玉を生み出しオークに撃ちだしていた。先ほどまでの皮膚を軽く焦がすだけの魔法ではないことにオークも気付いたのだろうが、チクチク削られていたダメージのせいで上手く動けず直撃した。
後ろに大きくのけぞったオークを見逃さずカレンがオークの懐に深く踏み込み剣をふるい、オークは絶命した。
「「はぁ、はぁ・・・やったの?」」
「お疲れさん、オークも余裕ではないが倒せたじゃないか」
「ふぅ・・途中でヤクモさんの声が聞こえて致命傷を与えれたからですよ」
比較的動いてなかったシュリが答える。だがファイアーボールを一つにまとめて撃ちだすのは疲れたのだろう、かなり汗をかいていた。
「はぁ、はぁ、うっ・・こ、このくらい余裕よ・・はぁぁ」
息も絶え絶えにこんなこと言うのはカレンだ、気の強い少女だ。
「そこで息整えて置け。オークは俺が保管しておいてやるよ。」
オーク2匹をアイテムボックスに保管して、2人の息が整うまで待ってやることにした。
ガサガサ・・・
「ん?」
なんかいるのか?周囲の警戒が必要だな・・・周囲を軽く見渡すといてるな。
「どうしたんですか?」
「あぁお前ら少し俺の近くから離れんなよ」
俺は間合いに入ったやつをいつでも切り殺せるよう居合を構えると、周囲に緊張が走ったのだった。
さぁ何が三人の近くにいてるんでしょうか・・