天国からのプレゼント その2
4部完結の第2部です。
私は、中学生の頃、両親を亡くしており、他に頼る親戚などもおらず、アルバイトで生計を立てながら生活をしていました。
当然、親の遺産なども無く、貧乏生活も続いていました。
妻の両親は大企業の役員をしており、私とは違い御両親に愛され育ってきた、いわゆる『箱入りのお嬢様』でした。
しかし、妻はボランティアに積極的に参加する等、とても『箱入り』には思えない程の努力家でした。
そんな2人が大学でのボランティア活動を通じて出会い、私の一目惚れがキッカケでしたが、2人の交際がスタートしました。
それから2年が過ぎ、私は就職しましたが、2人の交際は順調に進み
ついに、私からの猛アタックの末、彼女から結婚にOKをもらう事が出来ました。
しかし・・・お互いの境遇の違いからか、妻の御両親に大反対され、私達は駆け落ち同然に家を飛び出しました。
ほんの数年の短い間でしたが、妻は私に尽くしてくれました。
お金も無く、苦労もさせたと思います。
そして・・・子供が産まれ、幸せはこれからという時に
私は命を落としてしまったのです。
私達は結婚式を挙げておりません。
駆け落ち同然でしたし、お金も無く披露宴すらも・・・
私は尽くしてくれた妻に『指輪』を用意していました。
もちろん高い指輪ではありませんが、次の結婚記念日に渡すつもりでした。
妻の喜ぶ顔が見たかった・・・ただそれだけを楽しみに辛い仕事も頑張ってきました。
『指輪』は銀行の貸金庫に預けています。その貸金庫の鍵は、私しか知らない場所にあるのです。
『どうか・・・どうか妻に・・・指輪を渡してもらえませんか?・・・お願いします・・・』
『ご依頼は『奥様に指輪をお渡しする』で宜しいですか?』
『はい・・・それだけが心残りで・・・』
『山田ゆうき様、その御依頼を株式会社『走馬灯』が承りました。契約書の5にある通り、このお手伝いの結果が、ゆうき様のお考え通りの結果にならなかったとしても、一才の干渉は出来ませんので、ご了承くださいませ。』
『分かりました。よろしくお願いします。』
『では、契約書にサインをお願いいたします。』
そして彼は契約書にサインをした。
『ありがとうございます。これで全ての契約が完了となりました。では、山田ゆうき様。こちらのスクリーンにて結果を御覧くださいませ。』
『もう結果が出たのですか?』
『はい。当社はお客様のご希望に対し、迅速に対応するがモットーですので。』
後2部続きます。