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一日目01

結構前の文章を手直ししただけなので、読みにくいかも

7月23日6時30分アパート:神城空かみしろくうの部屋




ちりりりりりりーん


いかにも軽薄を音にしたかのような、目覚まし時計が奏でるアラームでくうは目を覚ました


まだ意識は眠気の誘惑に従い、二度寝を推奨してくるが、それを強制的に叩き起こし彼はベッドから起き上がる


ふと、時計を見てみると針は6時30分を指している

近所の駅から出る電車で20分で着く隣町のスーパーでのバイトが始まるのは9時

朝飯と昼の弁当をこしらえるには時間は充分だった


尤も、目覚ましの合図と共に意識が目覚めるのはさほど無いことだ。いつも通りならばアラームがなり終わる寸前か、いざという時の保険に設定した携帯のバイブで起こされるのだ

まぁ、それはプラスに考えるべきなのだろう


いつもより炊事にかけられる時間が増えたのだから、早起きした自分への褒美もかねて今朝はそれなりに豪華なものを作ろう


と、その前に顔を洗わないとな


そこまで思考が進んだ所で洗面所へ向かう

鏡を覗きこむと僅かに無精髭をはやした自分の顔が見えた


(髭って伸びるの早いな、つか毎日剃るのが面倒くさい)


充電式の電動髭剃機を顎にあて、不器用な仕草で無精髭の生やした顎を往復させると、ようやく出勤前の支度が整った自分の顔が拝めた


これで支度はよしっと。いや、肝心の歯磨きを忘れていたをだっけ


空は自分の間抜け具合に苦笑してから二、三分程で用事を済ませると、朝食とバイトの弁当を作りに台所へ向かった


毎朝の習慣で台所前の居間に置いてあるテレビの電源を入れる


早速淡々と昨日の出来事を告げるキャスターが画面に表示された


「――――です。次に、昨日〇〇市にて死傷者6人が出てしまった連続通り魔事件の続報をお伝えします――」


こういったニュースを耳にするたびに空は胸が苦しくなる


どうしてこんなに悪い事をする奴が出てくるのだろうか?

人様に迷惑を掛ける輩は自分達のしている所業を愚かだとは思わないのか?


自分の親や大切な人達、被害者達の気持ちが解らないのだろうか?


幼い頃から考えてきた微かな疑問


両親に訊いても曖昧にはぐらかされる、それか何処にでも転がっているような模範的な理屈ばかりで納得のいく回答が得られなかった


己の胸に未だ在り続けている明確な答えが出されていない問題


おっと、また考え事に耽っちまった


これじゃあ何時までたっても朝飯が作れないな


「――――犯人は警官隊により確保されましたが、錯乱しており奇声や拘束を逃れようと暴れるばかりで、現在動機の解明が困難な状態にあります。警察は犯人が落ち着くのを―――


未だに続くニュースキャスターの声を耳から完全にシャットアウトし、俺は台所に入った




そして30分後




「いやあ〜我ながらなかなかの出来映えですなぁ〜♪」


ニュースをみた後の暗い気分を吹き飛ばして朝食を作った空の第一声は、予想に反して美味そうに仕上がった己の料理(失敗作?)に対する賛辞だった


「朝からあまり腹に溜まるものは食いたく無いんだけど、ま、いっか♪」


そう言って自称最高傑作である昨日の残り物で作った天ぷらを市販のそうめんの汁に浸し、炊飯器の予約機能を使って炊いたホカホカのご飯に乗せ、頬張る


「う〜む。旨いっ!」


つゆが滴った肉入りの天ぷらがふわふわで、炊きたての米と奏でるハーモニーは実にデリシャスな感じで空の口の中に広彼に至福の時をもたらした


「残り物の失敗作チンジャオロースを天ぷらにするのは逆転の発想かつ、なかなかの冒険だったが、まさかここまで美味しいとは!」


次はラーメンを揚げてみよう。と密かに野望を決意する


弁当の中には、これやミートボール、チキンナゲットそしてメインディッシュのご飯が入っていることを考えれば、昼飯の時間が朝食時より楽しみになるのは至極当然必至である


そこでふと我に帰って時計を見ると始電の十五分前を指していた。


家からでも全力で走れば間に合う距離ではある


やべ、浮かれすぎた

早く行かねえと遅刻になっちまう


早起きしたのに結局出るのは何時通り、ギリギリの時刻になってしまった


何時もと変わらない普通の日常


その日常とやらがあんなにも簡単に崩れてしまうなんてことは


今の空には予想すら出来なかった

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