プロローグ
??時??分????
ーーー暗闇に包まれた一室
その部屋には円形のテーブル上に設置してあるプロジェクターを通して青白い姿を投影された、人型達のホログラムが議論を繰り広げていた
実際にこの部屋に居る立体映像ではない人間は、機械の準備を行った一人だけであり、その本人は部屋の片隅に突っ立ったまま、立体映像達の会話を見守っている
青白く光る男達は事情を知らない一般人にとってみれば、意味不明ともいえるが、関係者達が聞けば卒倒するような事実の応酬を繰り広げていた
「現段階の計画進行率は58%。予定よりあまり進んでおりません」
「監視対象03の行動は、予想を13%ほど逸脱しております。これは辛うじて隠蔽できておりますが、これ以上イレギュラーが発生しますと情報操作にも支障をきたします」
「やはり、“カンパニー”の幹部連中共にこちらの弱みを握られ過ぎて無理難題を押し付けられていたのが仇となりましたな」
「あなたが酒の席で、不用意に機密をべらべら喋り過ぎたのも問題をややこしくしている一因なのでは?」
「奴らの本社が存在する本国は人口も国土面積も科学技術すらこちらの遥か上の水準に達していますのに、こうも厄介事ばかり押し付けられてはどうも致しかねますね」
「便座上奴らの国とは同盟関係にありますからな、“カンパニー”のバックにあの国が有する軍隊が付いてるのも厄介ですが、ここで媚を売るのも悪くありますまい」
「しかしですな、、、我が国で“実験”を行うのは一向に構わないのですが。こうも結果ばかり追究され“実験”を強行するあまり、やりすぎますと右翼まがいの連中に嗅ぎ付けられた挙げ句、厄介な事になりますぞ」
「まぁ、彼等は彼等なりの思想、理由に基づいて存在するのでしょうがね、、ただのテロリスト風情が亡国の勇士を気取るのは辞めて貰いたいモノです」
「私は大いに賛成ですぞ。メディアを駆使して国民の印象操作を行う事も出来ますし、“実験”を我が国にて行う事により、“カンパニー”の連中に恩も売れます故・・・更に、多すぎる人口の調整も出来ます
実に微々たる数ですが」
「巻き込まれるのは我々ではありませんからね」
その言葉が発せられた後、どっと室内の空気が沸き闇の中に点在する複数のスピーカー越しからのくぐもった笑い声で満たされる
その種類も部屋の人数に応じて、実にバリエーションに富んでいた
軽く失笑を浮かべる者
笑いを必至に噛み殺している者
あからさまに隠そうともせずに爆笑している者
果たしてこの光景を第三者
例えるならば、この国の国民がテレビに映るものとは違った顔を見せる
余りにも自分達に対して笑い事では済まされない、不謹慎過ぎるブラックジョークを肴に笑う彼らの姿を、仮に目にしたとなれば
彼らがよく知ったテレビに映る政治家達と比べ見た時、どんな表情を浮かべるのだろうか?
会談を静かに見守るだけだった彼は、ふとそんな事を気にしていた