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美女?と野獣の異世界建国戦記  作者: とりあえず
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(番外編)ホリークくんの魔法講座

 あーごほん、それではめんどくせえけど調べたことについて全員と知識を共有するために、めんどくせえけど講義という形で発表させてもらう、めんどくせえけど。

 なんだヴァル。……姫様の前でその態度はなんだ? ああ、まあそうか。悪いな姫様……ん、大変なのはわかってるから気にしない、進めてほしい、と。ありがたい、感謝する。


(こういうことをさらっと言う人だから調子狂うんだよな)


 ぼさぼさに乱れた鷲の頭頂部をガシガシとかいて、気を取り直そう。ホールに集まった面々を見渡して、一つ気合を入れろ。

 じゃあ、早速始めるぞ。まずは、魔法についてだ。


 知ってのとおり、魔法には階級が存在し、下級、中級、上級に始まり、最上級、天級、超天級となっている。この世界では最高位の魔法使いでも使えて上級らしく、最上位に関しては世界でもめったに使い手はいないようだ。

 その理由は名前からもわかるだろう。天の魔法で天級。魔法を操る神々が使う魔法だからこその名前であり、神話にしか登場しないからこんな名前となっている。伝承にしか記録はなく、実物を研究したという書物は今のところ見つかってねえ。王都の図書館に行けば見つかるかもしれんし、いつか行ってみたいもんだ。


 んで、ここまでは基本のおさらいだ。おれらが姫様とやって来た世界について不透明な部分の、その一端を改めて認識したぐらいって感じか。

 ここからがおれらの知らなかった知識なんだが、そこで寝てるハンテルに誰か後で教えてやってくれ。おれはもう嫌だからな。……おお、勢いよくぶっ叩いたなヴァル。机が凹んでるぞ。それを直すの、結局おれなんだが、まあいい。ちゃんと聞いとけよハンテル、頭から星を出してるとこ悪いが、おれは待つつもりなんかないからな。


 どうやらこれらの階級のほかに、特殊な領域の魔法――汎級というものが存在しているようだ。これは火を起こしたり、暖をとったりなど、生活に即した魔法となっている。

 この魔法によって世界の生活水準は保たれており、おれらが楽できるってわけだな。

 しかし、魔法とはMP,すなわち体内の魔力を練り上げて行う世界の理に対しての干渉行為だ。生活するたびに魔力を練る必要があるのでは、万人がその恩恵に与ることなどできないだろう。

 そこで必要となるのが、なんなのか。――魔道具だな。

 あ? ここは生徒に質問するところだろうって? そんなめんどくせえこと誰がするか。いや、勢いよく手を上げたレビィには悪いことしたとは思うけど……って、姫様もちょっと上げてたのな。わかった、次からは聞く。


 んで、魔道具な。これは溜めた魔力を魔法に変換する機能を有し、ある程度魔力を注ぎ込むことによって使える道具の総称だ。魔力の補充によって半永久的に使えるのもあれば、使い切りのやつもある。

 作り方や反応機構は本当にめんどくさいので割愛するが、汎級魔法を込めた魔道具を使うことで生活が潤っているってわけだ。これなら魔法を使えないやつでも使うことができる。実際、この町の探索をしたと思うが、魔法雑貨の店にはそういう道具がごろごろ転がってただろ?


 汎級魔法は習得がそこまで面倒ってわけじゃない。むしろ、暖を取ったりするような魔法の威力を拡大させたものが攻撃魔法みたいなもんだし、おれらなら朝飯前だろう。得手不得手は当然あるが、取得しても損はないんじゃねえかな。

 それに、おれらはもういくつかの汎級を習得済みだ。……あー、聞くならここか。っというわけで、その汎級とはどんなもんだと思う?

 大人気ないくらいの速度で上げたなハンテル。そんなに自信あるなら聞いてみるか。……なに、恋の魔法? 死ね。その自慢の毛皮が全部抜け落ちて死んでくれ。

 じゃ、次はブレズか。……ああそうだ。おれらが使う『思考伝達(チャット)』や『一足飛び(ショートカット)』もこの汎級に位置付けられている。おれら全員が使えるのが何よりの証拠だろう。職業に左右されず、ある程度の術者ならだれでも習得可能なんだ。


 だが、実をいうと、さっき上げた二つ。あれらは汎級の中でも特殊枠にはいる。というのも、あれらはどうやら魔法構造が複雑らしく、大掛かりな魔道具によって使われるのが一般的だそうだ。『思考伝達(チャット)』の方は少し難しいくらいなんだけど、『一足飛び(ショートカット)』の方は術者自体がめったにいないらしい。

 この町にはないが、王都には『一足飛び(ショートカット)』の魔道具があるそうだ。なんでもそれが結構な大きさらしく、それによってその魔道具間の移動を行うと。

 うむ、いいたとえだな姫様。線路のない駅、まさにしかりだ。その魔道具を結構な大きさとは言ったが、王都中の人の欲求を満たす大きさは当然ない。もっぱら平民の移動手段は馬車か、少し金を溜めて汽車だ。あのポータル魔道具は貴族のためにしか働いていない。ま、使うには目的地点にもポータル魔道具がいるし、小回りが利かないって難点はあるんだがな。

 一応、お抱えの高位魔術師を雇えるほどの貴族になれば、『一足飛び(ショートカット)』使い放題でどこにでも移動可能みたいだな。そんな高位魔術者は今のところ王宮専属の、なんだっけか、魔道主席みたいな立場の奴だけらしい。なんだが、もしもの為に要所には移動妨害の魔法をかけるのが一般的だそうだ。それも汎級らしいし、今度習得しとくわ。


 魔法の種類と生活についてはこんくらいか。そろそろしゃべるのが億劫になってきたんで、質問があってもここで打ち切るぞ。なんだヴァル。ものすごく不満そうな顔してるな。……え、「魔法についてだけではないか」って。それは仕方ないことだろう、おれは魔法を使うためだけの道具なのだからな。……わかった、わかったからそんなに睨まないでくれ。そうだな、世界情勢とか地理関係についても調べろと言っていたな。おれが悪かった。だから、ナイフをしまってくれ。

 これ以外のことに関しては、研究中ということで今回は許してくれ。また次回、そう、また次回にこういう講義形式で発表をするから。それでいいだろう?


 ……はぁ、まだ続くのかこれ。


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