告白と四醋剣
前回までのあらすじっ☆
はぁ〜いこんにちは、鏡賀利愛です!
ミロックはまだ元には戻らず、苦戦する私たち。優は一人でマリックに乗り込んでいっちゃうし、むつきはその後追いかけて行方不明だし…もう、どうしたらいいの!?
とりあえず、腹ごしらえしなきゃ!と思って竜におつかい頼んだら帰ってこない。
あの人はおつかいもできないの?馬鹿?
おなかすいたから、早く戻ってきて〜><
私の中の時間が止まった。
ふたたび動きだしたのは、約10秒後だった。
「りゅりゅりゅ竜!?何言ってるの!?」
私を抱きしめたまま、竜は呟いた。
「優のとこへ行くな…辛いんだよ……。わかってる…俺があいつより劣っているくらい…。でも…それでも……」
ぶつぶつ言っているせいでほとんど聞き取れない。
「俺はずっと前からお前の事が好きだった…あの日…初めて会った日より前から……」
初めて会った日というのは、私が化粧してアクセとか見てる日のことだろうか…
「だから…この世界が苦しい…ミロックが見せる幻想が…苦しい……」
誰か、恋愛マスター様。
この状態、私はどうすればよかとですか。
生まれてこのかた、このような事経験したことないでござるよ。どうすりゃいいの!?
「ふふっ……」
私がアワアワしてると、竜が笑った。
「ごめんね、むつき。困るよね、急にこんなこと言われても」
竜は私を離し微笑んだ。
「手遅れになる前に言っておきたかったんだ、それだけ、じゃあね!」
そういうと竜はそそくさと走って行ってしまった。あ、あれ?
ついてきてくれるんじゃなかったの?結局一人?
…言ってしまった。言うつもりはなかったのに…。むつきに告白される夢を見てから、何度も幻を見ている。
それは、むつきを優に取られる幻ばかりだった。苦しい。頭が痛い、割れそうだ。
その幻が現実になってしまいそうな気がした。むつきは…むつきは俺が……。
側に落ちていた四季剣が怪しく光ったのに、俺は気がつかなかった。
結局、私は1人でマリックに向かった。
…足が重い、まるで鉛のようだ。ここまで重いのは初めてなんじゃないだろうか…。
マリック城が見えてくる。
そういえばクルミル様とりゅうさんがマリックに来た時も、こうやって1人で来たなあ…その時のことを思い出しながら、私は窓から中を覗いた。
特に卯月らしき人物は見当たらない。奥にいったのだろうか。
「もう少し…もう少しで見えるんだけど……!」
「…お前何やってんの」
「びょ!?卯「そのくだり前と同じだからするな馬鹿たれ」
背後に卯月が立っていた。な、中に入ってたはずじゃ…
「てかまた卯月に戻ってるし…」
「ん?なんかいった?」
「別に」
「なんだ根暗言ってみなさい?」
「てめえ命はないと思え」
さっきまで悩んでたのが嘘のようだ。卯月のいいところはここかもしれない。
…どこだよ。
「やっぱ今の状況ひっくり返すには、マリックに来るしかないんだよな〜…」
そう言って卯月は辺りを見渡した。
「卯月、何するつもり?」
「そんなもん決まってるだろ」
卯月はニヤリとして言った。
「潜入だよ、潜入」
「なんで私も行くの!?」
「うっせえ、でかい声だしたら見つかるだろうが!」
「卯月の方がでかいよ!」
私は今、卯月と一緒にマリックの屋根裏を移動中です。来るんじゃなかったと激しく後悔。
「今のミロックの状況の原因についてマリックの奴らは何か知ってるはずだ。その情報を引き出せればいいんだが…」
そう言い、卯月は床の隙間から下を覗く。
「人がいるだけか…」
「人?マリックさん?」
「いや、女の人だ」
卯月に変わり、今度は私が覗いてみた。そこにいたのは…
「し、霜月みな…!?」
「お前知り合いなのか?」
「知り合いもなにも、四季剣を作った張本人だよ」
「何!?だとしたらなんとしても吐かせないと…」
「そこにいるのは誰?」
私と卯月の動きが止まる。まずい、ばれた?
「あら、如月むつきさんじゃない。この前はどうも」
淡々と話し続ける霜月みな。
「私から情報でも聞き出そうときたのかしら?」
バレバレだ。バレバレのバレバレーだ。
「せっかくここまで来てくれたんだし…いいわ、一つ教えてあげる。ミロック中に散らばってる四季剣の中で、一つだけ…一つだけ四醋剣が混じってるの。その四醋剣を鎮めることが出来れば、ミロックは元の世界に戻るわ」
「四醋…剣……」
四季剣のパチモンみたいなものなのか?
「もう私から話すことは何もないわ、如月むつきさん。そして卯月優さん」
「…!?なんで俺の名前を…」
「早くマリック城から出た方がいいわよ。そんなことしてたらすぐマリック様にばれちゃう」
「卯月、ここは霜月みなの言う通りここを出よう」
「…そうだな。もう十分だ」
私たちは来た道を戻って行った。
「また会いましょう、どこかで、ね」
みなは不気味に笑いながら呟いた。
ミロックに到着後、私たちは早速さっきのことをみんなに話した。
「四醋剣?聞いたことないなあ…」
「四季剣と対をなす幻の剣…とは聞いたことあるわ」
「さすが零ちゃん!」
対をなす幻の… 。四季剣ですらすごいのに、さらにそれを上回るものがあるっていうのか。
「世界って広いなあ…」
「世界中誰だってー!!」
「は?どうしたの白空」
「笑いあり涙あり!」
「「みんなそれぞーれ助け合う!」」
「「「ちいさーなーせーかーい!!」」」
「ハッ、思わずノッてしまった…」
「零……」
「ゆ、優!そんな冷たい目で見ないでよ!!」
「あれ、そういやこういう時にここぞとばかり出てくる竜は?」
場が沈黙に包まれる。
「竜いないじゃん!!」
いや、気づかなかったのかよ。
マリックに行く途中で竜に会ったけど、まだ帰ってきてない…?いや、それはおかしい。
あれからかなり時間が経っている。
「探しに行った方がいいのかな…」
「竜なら死んでも帰ってきそうなもんだけどね」
「わかる!カレー食べたいからってね!」
あんたらの中の竜って一体なんなんだよ。
「でもこの状況でいないってフラグでしかないじゃん…」
利愛がぼそっとつぶやく。
「さーあ、どうするよルチアさん」
卯月が言う。なんだなんだ煽ってるのか?
聞くまでもない、答えは決まっている。
「探しに行こう、全員で。四醋剣を探すのも大事だけど、竜を見つけるのが先決。竜も、大事な仲間だから」
私の提案にみんなうなずいてくれた。みなのおかげで、解決の糸口が見えてきた気がする。あとは、竜が無事でいてくれればそれで…
さすがに全員が全員、出て行くわけにはいかないので私と卯月、零ちゃんの三人で出て行くことになった。私は改めて、姿を変えてしまったミロックを真正面から見た。
「ねえむつき。まだちょっと後悔してるでしょ?」
「な、なにを?」
零ちゃんが言う。
「マリック王に四季剣を渡さなかったこと。みんなの制止振り切って渡しちゃえば、ミロックはもう元に戻ってたって」
図星です。零ちゃん怖すぎ…卯月はただ黙って聞いていた。
「…それでいいよ」
「それでいいってどういうこと?」
零ちゃんが微笑みながら言った。
「今のむつきはそれでいい。無邪気なままのむつきでいいよ」
「ほら、無駄話してないで行くぞ」
卯月が動き出す。無邪気?つまりそれは私がバカっていうこと?私の頭の中にはずっとはてなマークが渦巻いていた。
「…あっむつき、優、零ちゃん!」
「竜!?」
少し歩いていると、竜が走ってきた。どうやら無事みたいだ。探す手間が省けたしよかった…
「ごめんな、心配かけちまって。ほら、四季剣も見つかったんだ!」
竜がキーホルダーを差し出す。
確かにそれは『大雪』の四季剣だった。すると急に零ちゃんが竜を思いっきり叩いた。
「はっ、零ちゃん!?」
「ほんとに馬鹿じゃないの!?どれだけ心配したか分かってるの!?ほんとに…ほんとに……」
「ご…ごめん零ちゃん…。な、なかないでよ…」
零ちゃんは目に涙をためていた。ここで私の女の勘が閃く。もしかして零ちゃん…竜のこと……。
次の瞬間、竜の大雪が光り出しミロック全体を覆っていた嫌な空気を全て吹き飛ばした。
一瞬のことだった。荒廃化したミロックの姿はもうなかった。
竜の大雪が…ミロックの異常事態を救ったのだ。
あまりにも急なことだったので、私たち四人は呆然とし時が止まった。再び動き出したのは、白空からの電話がきっかけだった。
「みんな大丈夫!?とりあえず戻ってきて!!」
「完璧っすよマリックさん!思惑通りっす」
「そうか、よくやった」
「まさか上手くいくとは…。宿ったのは竜の四季剣?」
「そうっぽいっす…本来の狙いとはちょっと外れちゃったけどそこは多めに見てください」
「いいだろう、これからどうなるか楽しみだよ」