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夢幻酷法  作者: SOR
第一の反乱
3/14

正体と本音

前回までの夢幻酷法!

私を拉致った謎の女。その女が現実の世界へワープした。竜の家が目的地だと思い、見張っていた私と卯月だけど、実は狙いは竜ではなく卯月だということが発覚。

急げ如月むつき、このままだと卯月家が危ない!



「お前何一人で喋ってんの?」

「前回までのあらすじだよ」

「はあ?」

「そんなことより卯月、急がなくていいの!?あんたの家狙われてるよ!?」

「ああ、それなら大丈夫だ」


なんで言い切れるんだろう…そんな自信があるのかな。卯月家はみんな必殺技を持ってるとか?こっわ。


「優、おまえんちまだ…」

「心配するな竜」


竜は神妙な顔をする。なんか私だけ置いてけぼりなんだけど。


「俺んち今誰もいないから」

「え、もう夜遅いのに。親とかは?」

「親父は逃げていった。お母さんはまだ働いてる」


もしかして触れちゃいけないところだったかも…


「とりあえず見に行ってみるかあ」

「優軽すぎ」

「仕方ねえだろ、俺にとって家族なんてこんなもんだよ」

「優…」


また卯月の意外な一面を知っちゃったな…。一人ってことはりゅうさんはずっとミロックにいるのかな…



卯月の家までは歩いて行った。

竜と卯月は他愛のない話をしていたけど、私は会話に入れなかった。

無神経に卯月の家庭事情を聞いて嫌な思いをさせたかもしれないから、ちょっと罪悪感に駆られていた。


「……」


すると突然卯月が蹴りを入れてきた。


「いった、膝。脛いったよ今!!?」

「なにぼーっとしてんだよハゲ」

「いやはげてないけど何?」


その様子を見ていた竜が笑った。


「二人ともいつの間にそんな仲良くなったの?」

「な、仲良くなんてないよ竜」

「竜…?」


卯月が怪訝そうな顔をする。


「ああ、今日から名前呼びになったんだ」

「ふーん…」

「俺はむつきの友達一号だからな! 」

「失礼な、友達くらいいるよ」

「たとえば?」

「……オケラ」

「オクラ?俺もオクラ好きだよ!」

「竜、その辺でやめてやれ」


忘れてた、竜は生粋の馬鹿なんだった。

そんな話をしている内に、卯月の家の前に着いた。ありふれた家の形だった。そっと窓から中を覗いてみると、人の気配がした。


「いたいた、リビングの机のところだ」


竜が声を潜めて言う。

私はリビングをもう一度見た。確かに女はそこにいた。手に何か持っている。


「なにもってるんだろあれ…写真かな?」


その言葉に卯月の動きがピタッと止まった。…かと思いきやいきなり走っていき、家の中に飛び込んだ。


「優!?」


急いで後を追いかける。あいつはアホか!?今行ったら危ないっていうのに…


「お前…零か」


卯月は女に話しかけていた。女は無反応だ。あの紫の瞳…間違いない、私を拉致った女だ。


「零…梅崎零(うめざきれい)か」


そこまで言うと、女は振り返り卯月を凝視した。そして口を開いた。


「ええ、そうよ。私は梅崎零。あなたのことだからすぐに気づくとおもってた」

「卯月、どういうこと?この人と知り合いなの?」


私は卯月に聞いた。すると思いもよらない答えが返ってきた。


「こいつは…俺の妹だ」






突然の告白に私と竜は笑いが起きた。


「あはは!ままままさか妹だったなんて!」

「ほんとびっくりしたははははは!!」

「お前らうるせえ」


竜とはつくづく気が合いそうだ。


「卯月…優……」

「よぅ、零。どうだ?久しぶりの我が家は」


なんで煽りにいってんの卯月。


「さみしいものね。私のお母さんはいつもあたたかく私を迎えてくれるのに」

「お前、何をしにここへきた?」

「私は…ただミロックを守りたいだけ。新しい代になって、崩れてほしくない。この幸せな生活を壊したくない。ただそれだけ」

「如月が嫌なのか?」

「当たり前じゃない」


ちょっと、なんでそんなストレートに聞くんだよ。紫の女の人もそんな涼しい顔で言わないで、本人ここにいるよ。


「まぁそれは建前だよね」


竜がいきなり会話に入ってくる。


「本当は血を分けた兄である優やりゅうさんとのつながりが欲しかっただけじゃないの?」

「それは…」


竜が紫の女の人に近づく。


「俺は卯月家の事情、何も知らない。どうして兄妹なのに零ちゃんの名字が梅崎なのかも。でも、兄弟を思う気持ちは分かる。家族を思う気持ちは分かる。だから…」

「いちいちうるさいわね!!」


竜の言葉を遮り、紫の女の人は叫んだ。


「そうよ、悪いの!?優のとは異父兄弟で…私はミロック育ちで……。りゅう兄がクルミル様と繋がりがあるって聞いて優にも会えるかもって思っただけよ!!なんか文句ある!!?」


すごい逆ギレの仕方だ、清々しい。それを見ていた竜はなにか思いついたように言った。


「なあ優、むつき!零ちゃんもミロックのメンバーに入れられないかな?」

「私が…ミロックに?」

「否定はされないだろう」

「それじゃあ決まりだね!」

「はあ?私別にミロックに入りたいとは言ってな…」


私は紫の女…零ちゃんに駆け寄り手を取った。


「私、如月むつきといいます!」

「知ってるわよ、しつこいわねむつき」

「えへへ…よろしくね零ちゃん。あとそれに…竜はどうするの?」

「えっ俺?入っちゃおうかな!?」

「そうこなくっちゃ!」


私は竜とハイタッチをした。


「おい、ミロックはサークルなんかじゃないぞ。ノリが軽い」

「気にしない気にしない!人が多い方が絶対楽しいもん」


はあ…と卯月はため息をついたが、少し嬉しそうだった。


「ところで零、お前何かやらかした

か?やらかしてるならそれを片付けないとダメなんだが…」

「少しだけ…少しだけなんだけど家を吹っ飛ばした」

「「ダメじゃん!?」」


こうして、ミロックに新しい仲間が入ってきた。私、卯月、竜、零ちゃん。それに白空、利愛、りゅうさん、クルミル様。

この8人で素敵なミロックを作っていこう!私はそう心にきめた。




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