○△□の歌で年齢がバレそうです。
「それじゃぁ、資産・負債・純資産・費用・収益について、もう一度やっていくよ」
(*1)
∥|借方∥貸 方∥
∥ ∥負 債∥
∥資産∥純資産∥
(財政状態を示すグループ。財産の状況を示します)
∥|借方∥貸方∥
∥費用∥収益∥
(経営成績を示すグループ。利益の状態を示します)
「これを見ながら、今までの話を思い出して」
「えっと、資産は増えて、負債と純資産は将来的に減る。費用は減って、収益は増えるってことでいいんですか?」
「……半分正解」
「神さま好きだねそのフレーズ」
「いや、好き嫌いじゃなくて、たとえば次の取引だけど」
取引 銀行から500円借りた。
(現金)500 (借入金)500
「資産が増えるけど、将来的には返さないといけないから、負債は増えるんですね」
「そうなると、それを返すと資産が減って、負債が減るってことか」
取引 銀行に500円を現金で返した。
(借入金)500 (現金)500
「純資産は、前に説明した通り株と一緒だから、配当金として返されないといけない」
取引 株式の配当金200円を受け取った。
(現金)200 (受取配当金)200
「そうなると、売る側からしてみれば、配当金は純資産が減るってことか」
「なかなか見るところは見てるね。それじゃぁ、以前の企業立ち上げを例にしてみようか」
取引 資本金200万円を銀行に振り込み、純資産で現金100万円で企業を立ち上げました。
(資本金)200(純資産)100
(注・単位は万円です)
「これでおかしいなって思うところはある?」
「おかしい? 特におかしなところは――」
「よく取引と省略図を見比べて」
「あ、借方貸方には資本金と純資産しか書いてませんね」
取引 資本金200万円を銀行に振り込み、純資産で現金100万円で企業を立ち上げました。
(普通口座)200(現 金)100
( 現金 )100(純資産)100
(注・単位は万円です)
「ってことですか?」
「美樹ちゃん正解。純資産も負債と同様に貸方に入るけど、その現金は資産として加算されるんだよ。そして現金は銀行に預金されるから、貸方に現金が入るってことになるね」
「そうなると、あの図(*1)は入った方に増えるってことか。銀行に預金して現金が減っても、資産としては残っているってことになるわけだし」
「正解。資産は借方に入ると増える。負債・純資産は貸方に入ると増えるってことだね」
「あれ? でも費用って消費するってことですよね? それに収益って……増える方だって気がしないんですが」
「そうだね。費用は減る。収益は増えるなんだけど、これって図(*1)とは扱いが異なって、資産・負債・純資産は財政状態。費用・収益は経営成績になるんだよ。費用<収益だと利益。費用>収益だと損失になるんだ」
取引・一 取引先から1個100円のリンゴを5つ、現金で買い取った。
(仕入)500(現金)500
取引・二 右記のリンゴを1つ120円を現金で5つ売った。
(現金)600 (商品)600
「この時の損得はどれくらいでしょうか?」
「単純計算で100円の利益ですね」
「そうだね。でもすこし違うかな」
「違うって?」
「商品を仕入れたってことは、それって資産になるんだよ。で現金は基本的に資産になる」
「つまり、この取引・二は資産での左右になるのか」
「そういうこと。たとえば公人くんが大事にしているゲームソフトを2,000円で売らなければいけなくなった」
取引 ゲームを2,000円で売り、その代金を現金で受け取った。
(現金)2,000(商品)2,000
「になりますね」
「資産が増えたけど、逆に減ったってことか」
「費用は仕入れ、通信費、交通旅費などお金を使うだけで、費用から増えるなんてことは商品の返品以外はあまりないんだよ」
「収益はその逆ってことですか?」
「そうだね。商品が売れれば、それが売上として収益に入る。そしてその現金は資産として加算されるんだよ。さっきのゲームソフトの売買取引を例にしてみようか」
取引 ゲームを2,000円で売り、その代金を現金で受け取った。
(現金)2,000(商品)2,000
「さっきと同じ図だけど」
「これがショップだったらどうかな?」
「あ、現金が資産として増えて、収益も増えてるんだ」
「そういうこと。それじゃぁ、次の取引を計算してみようか」
取引 お小遣い300円で286円のお菓子を買いました。
翌日それを確認すると300円の支払いになっていました。
「という取引だね」
「これって、単純に消費税が入っているかどうかの計算ですね」
「なかなか鋭いね。それじゃぁそれを図にしてみようか」
取引 お小遣い300円で286円のお菓子を買いました。
翌日それを確認すると300円の支払いになっていました。
(お菓子)286 (現金)300
(消費税)14
「ってことですか?」
「そうだね。ちなみにこれは費用の発生になるから、費用(借方)にお菓子の代金が入って、現金が減る(貸方)になる」
「でも細かいんだな。いちいち消費税まで計算してないぞ」
「経理担当も本当は消費税はまとめて計算したいんだけどね。だから伝票が必要になるんだよ」
「伝票って領収書のことですか?」
「そうだね。領収書には商品の代金が書かれているけど、実はレシートには商品代金の他に消費税も入ってるの。お菓子みたいな小さいものでも嵩張れば結構な金額になるんだよ。まさにちりも積もればなんとやら」
「でもレシートなんてそんなに取ってないぞ」
「そういうキミに問題。外食を現金400円で支払った場合はどうなる?」
「えっと、前にも同じこと聞かれたから」
(外食費)400(現金)400
「だろ?」
「そりゃぁ外食だって云えばそうなるね。でもこれがなにに使ったのかがわからなかったらどうする?」
「そう言われるとなにに使ったのか不明だから不安になりますね」
「……つまり、わからない金銭の出入りは判明している方に入れるってわけか?」
「正解。現金を使ったことがわかっているから、資産の減少(貸方)になるからね。そして後でそれが外食に使ったってわかればそれは費用の借方に外食費が入るってわけ」
「こういうことにならないよう、伝票は必要ってことですね」
「そうね。特に会社から支給された旅費をどう使われたかっていうのは、会社は知りたいし、経理からしたら返して欲しいんだよ」
「まぁ、実際は全部使ってそうだけどな。ナハハハ」
「……笑えない話だから、それ」
「笑えないってどういうことですか?」
「それに関しては次で説明するわ。それじゃぁ最終確認」
(項 目)(借 方)(貸 方)
(資 産)( ▲ )( △ )
(負 債)( △ )( ▲ )
(純資産)( △ )( ▲ )
(費 用)( ▲ )( △ )
(収 益)( △ )( ▲ )
(▲=増加 △=減少)
「以上が仕訳に対する増減だね」
「覚えるの大変そうですね」
「うーん、でもある程度やっていれば慣れるよ。さっきの出元不明の取引だって、現金が減少していたから資産の貸方に現金が入るわけだし」
「それじゃぁ、たとえば仕入品を後払いで払うとどうなるんだ?」
「仕入れは費用になるから借方、後払金は負債になるね」
「この場合、費用と負債がそれぞれ増加になっているんですね」
「気になってたんだけど、家庭簿の支出と収入。簿記の費用と収益ってどう違うんだ? どっちもお金のプラマイだよな?」
「(終わろうとしているのに)まぁ話を振られた以上答えるけど、家庭簿は現金やカードの金額が出入りされることが前提にしているけど、費用・収益はそうとは限らないんだよ」
「どういうことですか?」
「たとえば、知り合いの雑貨店に商品を購入したけど、持ち合わせがなかったから今度の給料日に支払うことになった(後払金)。この時点で収益と収入が食い違うんだ」
「でも払ってくれることは間違いないんですよね?」
「とは限らないだよ、その人が来月の給料がもらえるかという保証がないし、黒字(利益がある)で倒産なんてこともあるの」
「黒字なのに倒産ですか?」
「たとえば資産が100円あって、その資産で200円の商品を後払いで購入する(この時点で負債(後払金)が発生する)。そしてそれを500円で売った。この時点で費用は200円、収益として500円が記入され、さらに後払金を現金で支払った」
(資 産)100
(仕 入)200(後払金)200
(現 金)500(商 品)500
(後払金)200(現 金)200
(借 方)200(貸 方)500
「ってことになりますね。あれ? でも500円プラスされているんですから、差し引いて300円の利益になるから大丈夫なんじゃ?」
「そうなんだけど、もし500円が後払金よりも後に振り込まれるものだとしたらどうなる?」
「……後払い金の支払いで現金が△100円になるな」
(資 産) 100
(仕 入) 200(後払金)200
(売掛金) 500(商 品)500
(後払金) 200(現 金)200
(借 方)△100(貸 方)200
「そういうこと。つまりこれが黒字だけど倒産の可能性ってわけだね」
「赤字の時に倒産することもあるってことか」
「そうね。そして費用と収益は『対応している』のよ」
「費用と収益で注意することは?」
「注意することは費用は収益と関係のないものは費用にならないことかな」
「……どういうことだ?」
「それは次で説明するよ」