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秘密結社のお姉様!?  作者: 折上莢
かかし編
30/71

は? 鈍感ですか

遥希が小さく揺れた。


「…わからない」

「…わかんねーわけねーだろ」


あんな好意全開にしといて、今更何を。

頭叩いてやろうかと思ったが、沈んだ顔のまま微かに眉間にしわを寄せている。本当にわからないみたいだ。こんな遥希初めて見た。

こいつは多分姉御の事が好きだ。側から見てもわかるほどには。

それは、“お姉様”としてではない。遥希は、明らかに、異性として剣木梓が好きなんだ。

鈍感の千春でもわかる。遥希が姉御を見る目は、

違う。でも、本人はそれを無意識でやっている。自覚は殆どない。


「は? 鈍感ですか」

「千春にだけは言われたくねーと思う」


半眼で睨め付ける千春ツッコミを入れる。マジで千春にだけは言われたくない。お前の鈍感のせいで俺がどれだけ傷付いていると。


「…姉貴を、守るためだったんだ」


ぽつりと遥希が呟いた。


「あれが、最良だと思った。…思ったから、俺は碧流に言った。姉貴を操って、この台詞を言わせて…って」


解かないなら、あなたを殺して千春を目覚めさせる。

いつもからは想像できないくらい、冷たい声音で姉御は言った。

遥希は両手で顔を覆う。


「あのまま膠着状態で、もし姉貴が人形遣いの所に行くって言い出したら? 千春を戻すのと交換条件に、あいつの手に落ちたら? …そんなの、嫌だ」


確かに、姉御なら言いかねない言葉だ。

千春は悲しそうに目を伏せる。こいつは人質だった。自分を巡ってそんなやりとりがあったなんて知らない。


「姉貴を一生手離すくらいなら、碧流を利用してでも、姉貴にやってもらう方がいいと思った。あの人形を、壊してでも。だから、俺は…」


遥希の言葉が止まる。

俺は溜息を吐いた。


「…つまり」


自覚無しのくせして一丁前に嫉妬してたわけだ、こいつは。

姉貴が怒っていたのは、遥希が碧流に人を操らせたこと。碧流の奇想曲はそういった洗脳もできる。しかし、その使い方は人道的だとは言えない。

碧流はまだ子供だ。能力だって不安定で、使い方もまだ上手くはない。そんな初心者状態の奴に間違った使い方を教えてはいけない。


「発現は姉貴の方が後のはずなんだけどな。…本当に、リーダーの鏡のようだな。姉御は」


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