…おい、姉御
「お姉様! あそこの雑貨屋さん可愛いです!」
千春が指差した一角には、可愛い雑貨屋さん。
犬や猫がぐでんと伸びたぬいぐるみや、ふわふわしていそうなブランケットなどが棚に並んでいる。
「お姉ちゃん、あのネコ可愛い!」
ぐでんとした黒猫を抱え、キラキラした目で此方を振り返る碧流。
私は、その隣に寝そべった三毛猫を棚から引っ張り出した。
目は半眼で、今にも「だるい」と言い出しそう。
「…無気力さん見てこれ」
「んー? うわあ怠そうな猫だね」
「凄い似てる」
「…姉貴、もしかして俺に似てるって言いたい?」
勿論と頷くと、そんなブサイクじゃない! と棚に戻された。
「ていうか、その無気力さんって呼び方どうにかならない?」
「えぇ…だって、私の中ではもう無気力さんで固定されちゃってて」
む、と頬を膨らませられたがこればかりは仕方ない。今となっては遥希って呼ぶよりしっくりくる。
「…おい、姉御」
烈が声を潜めて、私を入り口から死角になる棚の裏に引っ張る。
「どしたの?」
「さっきのタートルネック、いる」
ついと指差した先には、入り口の前にあるベンチに座ったタートルネックの人。
背筋を伸ばし座っている。視線は、雑貨屋に注がれている。
じぃっと。何かを、狙うように。
「…声掛けてみる?」
「姉御馬鹿かよ」
失礼だな、リーダーに向かって。
「…千春と碧流には言うなよ。あいつら、ポーカーフェイスできねーから」
「碧流はともかく…千春もできないの」
神妙な顔をして頷く烈。
千春の方を見ると、鼻歌を歌いながらマグカップを見ている。
「まあ…見られてるのは私達じゃないかも知れないし。あんまり酷いようだったら、声掛けるしかないんじゃない?」
そう言うと、烈は渋々「そうだな」と答えた。
ルビーは、こちらを見ている。




