…ただいま。痛い
扉を開けた途端、飛びかかってくる千春。
避けきれなかった私は、ばたんと後ろに倒れこむ。
「…ただいま。痛い」
「どっ、どこが痛いのですかお姉様! まさか帰りがけにあのくそとれじゃーずに…!?」
「いや違うかな」
降りてくれ。何でもかんでもとれじゃーずのせいにするんじゃない。
「ち、ちはる! 降りて! 私もおかえりって言うの!」
「はいはい千春降りようねー。碧流も離れようねー。姉貴潰れてるからねー」
「ほら立て千春。姉御の顔凄いことになってんぞ」
渋々私から離れる千春。
スカートに付いた埃を払いながら、私は靴を脱いだ。
「…姉貴さ」
「何?」
神妙な面持ちで顎を撫でる無気力さん。
何、何かあった?
「スカート、長くない?」
そんなことかよ。
「うちの学校、元々こういうのなの。踝から五センチ上までっていう校則なの」
「もっと短くしてはどうだろうか」
「絶対しないからね」
そもそも、スカートが長いからこの学校に入ったようなものなのに。
私はそもそもスカートが嫌いだ。
「? お姉様、もしかしてオシャレとかしないのですか?」
「えっ、うん。興味ないかな…」
千春の瞳が大きく見開かれる。
それとほぼ同時に、肩をガシッと掴まれた。
「それはダメですお姉様!!」
「…はい?」
烈がどんまいとでも言うかのような目で見てきた。
待って。千春の行動がおかしいのはいつものことだけど待って。嫌な予感しかしない。
「こーなったら今日はお姉様の服も見繕いましょう!」
ほら当たった! 嫌な予感が当たった!
「さーて行こうか」
「お買いもの!」
るんるんな碧流と案外乗り気な無気力さんが外に出る。
「置いてくぞ」
「さあさあ行きましょうお姉様!」
ポケットに手を突っ込んだまま顔だけこちらに向ける烈と、私の手をぐいぐい引っ張る千春。
「…はいはい」
そして、教科書ケースを放り投げ鞄を背負い直す私。
「Lancelot、ショッピングモールに出撃です!!」
「わーい!」
…女の子達はテンションが高いねぇ。
「姉御も女だろ」
「姉貴というより最早お婆ちゃん」
「何か言ったか無気力」
「イエナニモ」




