…最悪かよ
「…最悪かよ」
いや、違うな。最悪なんだ。
私の手には、一枚の細長い紙。先の方に、『表』と書いてある。
お分りいただけただろうか。
私、剣木梓。表方になってしまいました。
ああ裏方でずっと料理していたかった。
「メイド服はショッピングモールで買ってきて貰う! 誰か行ける人いるか? 荷物多くなっちゃうけど」
あー、それならLancelotの面子連れてけばいいか。
ついでに遊んで来ちゃえば楽しいかも。
「私行ける。表方の人、サイズ書いといて。それ買ってくるから」
「え!? 梓行けるの!?」
何にびっくりしてるの?
「梓ちゃん、一人で大丈夫?」
「うん。親戚と行くから、大丈夫だよ。」
心配してくれた隣の席の雪奈ちゃん。
この子とは結構仲良くて、よく話す。確か、ソフトテニス部なんだよね。
「うーん…私も表かあ。梓ちゃん、親戚の人とか来る?」
「うん…雪奈ちゃんこそ、大丈夫? 部活の人とか、来るんじゃない?」
「あー…姉さんは絶対に来る。先輩も面白がって来そう。後輩ー…も面白がって来そう。」
ドンマイ、雪奈ちゃん。
ていうか、雪奈ちゃんのお姉ちゃんって隣のクラスの雪斗ちゃんだよね? あれ、そういえば去年同じクラスで仲良かったよ。なんだこの既視感。
「まぁ、なんかあったら姉さんに制裁下すからいいんだけど」
「良くないよ」
雪奈ちゃんって以外と暴力的。
「雪奈ちゃん、親戚の人たち来たら…」
「梓ちゃん、部活の人来たら…」
何かあったら頼んだ、雪奈ちゃん。
そうだね、こっちもよろしく、梓ちゃん。
同盟組みました。
「じゃあ、梓あっちの分はこれで頼んだ! 木暮、サイズ書いといて」
「あ、はーい。みんなMだからMにしよう」
はい、と手渡される紙。
これ見て買ってくればいいんだね。了解。
「よし、じゃああとはメニュー考えよう! みんなどんどん案出せよ!」
千春たち…今頃何してるかな。