1/12
◆プロローグ
偽りだから嘘をつくのか。
嘘をつくから偽りなのか。
どちらにせよ、嘘は嘘。偽りは偽り。
それに変わりは無い。
異国の血が混ざった、ライトブルーの瞳が僕を捕らえる。
ミルクティブラウン色の長い髪が目の前で揺れる。
僕の手を取って、彼女は笑う。
「愛しているわ」
と、そう呟いて。
ただその美しさに目を奪われて、何も言わずに彼女を見つめた。
まるで妖精のように、手を離せばどこかへ飛び立ってしまいそうだ。
声にならない声を出して、僕はその言葉を飲み込んだ。
偽りの彼女は、また嘘をついた。