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飛行少年の生活水準向上記。(仮)  作者: 105 秋
国づくり編(王様にはなりません)
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12:結界を設置しよう②

 一応、安全の為に昨日エネさんに見せた魔導具を三人に配る。

 三人とも同じブレスレット型だ。


 ゆっくり目でルーファと飛ぶと向こうからルーファより大きな竜がやって来た。

 時間通りに来てくれた様だ。


 「あれは?」

 「リファイタさんです。」


 今回地脈を正確に読むにあたって協力してもらう事になった。

 報酬は1週間のリファイタさん専属コックに僕がなる事。

 よくわからない報酬だけど、6大竜王に対する報酬としては格安のはず。


 勿論、材料費はオビリアン王家に請求するつもりだ。


 リファイタさんと合流してまず向かうのは、南の森の端にある湖の辺。

 この湖には王家の別荘が有り、その他の貴族も習って別荘を持っている。そしてその管理や、商売の為に小さな街が有り、それと同時に湖で漁業も行なっている。


 街へ降り立ったら騒ぎになるので離れた所から歩いて街へと入る。

 街の入り口は通らずに森を迂回して湖の反対側へと出たので、人に見られては居ないと思う。


 「さて、あの別荘に設置するのか?残念ながら地脈からはずれているぞ。」


 リファイタさんが指差したのは一際大きな敷地に立つ建物。

 装飾は派手ではないけれど、歴史ある王家の別荘だ。

 

 「いえ、この湖の中に設置するつもりです。」

 「む。私はリヴァイアと違って水中で呼吸はできんぞ。」

 「それは僕がなんとかしますが、全員ではいけません。代表でお一人だけでもよいですか?」

 

 王族三人に確認する。


 「それならしょうがない。儂が行こう。」

 「いや、父上様に万が一の事があっては大変です。私が行きましょう。」


 王様とエネさんがどちらが行くか争い始めた。


 「なんなら先に私と行って場所だけ決めるか?」 


 二人の様子を見てリファイタさんが提案してくれたが、それでは意味が無い。


 「その案を出されると、困るんですが・・。」

 「ああ。つまり秘密がバレると言う事か。」

 「いや、そうなんですけど、そうもはっきり言わないで下さいよ。」

 「良いじゃないか。ばらしたら報復してやれば。」

 「そういうわけにはいかないでしょうに。」


 仮にも王族に対してそんな事をするつもりは無い。


 「ルイジュ。」

 「はい?」

 「私達は秘密を守るぞ。何なら契約しても良い。」


 近くに居たのだから話しは筒抜けで、僕が方法を隠したいのは三人ともわかってしまっている。

 もうこうなったら隠さなくても良いのか・・


 「まぁ、別に契約までしなくても良いのですけど、方法は質問しないで下さい。」


 水中で呼吸する方法があると言うのは最初からばらしているので、その方法さえ分らないでいてくれれば良い。


 「分った。お前達もそれで良いな?」

 「はい。」

 「楽しみです。ちなみに水着は用意してないが、脱いだ方が良いのか?さすがに恥ずかしいぞ。」

 「儂は構わんぞ?ただ未婚の娘の体を見たからには責任を取ってもらいたいが。」

 

 知った人しか居ないとはいえ、エネさんはさすがに恥ずかしいらしい。

 責任ってエネさんと結婚しろと言う事だろうか?


 「まぁその心配はしなくて大丈夫です。濡れませんから。皆近寄って下さい。」


 皆が固まったのを確認してから結界を発動。

 

 「半径3メートルは大丈夫ですが、なるべく離れない様にして下さいね。」


 僕が水辺へ近づく、結界に触れた水面がかき分けられていく。

 そのまま先頭に立って水中へと足を踏み入れる。

 

 「なんとも不思議な物だな。」

 「水族館みたいでしょ?」

 「水族館?何だそれは?」

 

 つい前世での水族館にあった大水槽を思い出してそんな事を言ってしまった。


 「水中の生き物を観察したりできる場所です。ほらリヴァイの大広間とか。」

 「確かにあの感じだ。」

 「あれは水族館というのか・・。」


 エネさんとロバートさんは行った事があるので直に理解してくれた様だ。

 勝手に名称を付けてしまったけど、許してもらおう。


 「それでどこら辺に設置するつもりだ?」


 皆頭まで水中に入った所でリファイタさんが聞いて来た。


 「なるべく深くが良いと思います。」

 「ならあっちだな。」


 先頭をリファイタさんにして移動を開始する。

 僕は皆の真ん中辺りで召喚魔法を同時発動して酸素を補給し続ける。


 僕が召喚魔法を覚えた時には既に七つまでは神様達で埋まっていて、残りの枠は三つだったはずなのに実際は空きが二つしかなかった。

 既に一つ決まっていた枠。それが酸素だった。

 どうも高速で飛行する時に結界の内側に酸素を供給して呼吸ができる様にしてくれていたらしい。


 ちなみに後二つ在るうちの一枠も既に埋まっている。

 その相手はルーファで、本人たっての希望で契約を交わした。

 竜の友のおかげで居場所は分るし、お互いに移動手段があるので必要ないと思うのだけど、ルーファに泣いて頼まれて断りきれなかった。


 最後の一枠は保留中。最初は竜刀グアスランドを登録しようかと思ったけれど、空間収納はあるし契約で他の人には使う事ができないので必要ないだろうと判断した。

 それに何か必要になるかもしれないと考えてしまって、どうも埋められないでいる。


 貧乏性なのかね?


 湖の一番深い場所。そこには大きな亀裂が走っていた。


 「ここに入ったら出て来るのが大変そう。」

 「でもこの中に設置すれば見付かる確率は減少すると思いますよ。」

 「この湖の底にやすやすと来れる者はそう居ないと思うが・・・。」

 「念には念の為です。リファイタさん。この亀裂の中で一番良い所は?」

 「んー。亀裂に沿って地脈が流れている様だから何処でも良いとは思うぞ?」


 ならば話は簡単だ。


 「皆さん淵ギリギリまで近づいて下さい。僕が中に入って設置しますから。」

 「おいおい。大丈夫なのか?」

 「一時的に結界の範囲を広げるので水が入って来る事は無いと思いますが、念のためです。」

 「そうではなく、ルイジュが出て来れるのかと言う事だよ。」


 エネさんは僕の心配をしてくれたらしい。


 「どうやら水中でも飛べる様なので大丈夫です。」

 「そうか。そうなるとルイジュが適任なのか・・。」


 水中で飛ぶと言う表現もどうなのだろうとは思うけれど、結界内で浮く事もできるし飛ぶと言う表現は間違ってないと思う。むしろ水中じゃないのか?


 「ここまで来たらルイジュ君に任せるしかないだろう。」

 「まぁそうなんだけどね。」

 「では、行ってきます。」


 割れ目に潜り込むと深さは5メートル程。

 ぽこぽこと水がわき出しているということは、この湖の源泉かもしれない。

 

 なかなか幻想的な光景だけど、さっさと仕事にかかる事にする。

 

 割れ目の側面を土魔法で掘り、魔導具が収まるくらいの祠を作ってそこに魔導具を設置。

 しっかりと足を固定してさらに留め金で補強。

 魔力が充分籠っているのを確認して待機状態へ。

 最後に祠の入り口を用意しておいた厚さ10センチ程のミスリル板で覆って終了。


 ミスリルなら錆びないし頑丈なので水中生物に荒らされる事も無いと思う。

 入り口を結界で塞がなかったのは、この魔導具の側で他の結界発生魔導具を使用すると、効果が現れなかったり故障したりする事があるのが分っているのと、ここに魔力を込めに来る人が居ないからで、エネさん達には既に説明してある。

 

 「終わりました。」

 「早いものだな。」

 「ええ。準備はしてありましたから。」


 この場で魔力を込める作業や器具の調整をしていたらもっとかかっただろうけれど、既に調整は済ませて空間収納にしまっていたのでこれだけ早く済んだ。

 もし空間収納が無かったら運ぶだけで一苦労だったはずで、考えたくもない。


 水中から出ると人の目に付く前に移動をする。

 次に向かうのは国の東。

 こちらには街も無く、森が山裾まで広がっている。


 「少し離れた所に猟師小屋があるくらいか・・・。」

 「いっそ穴を掘って埋めますか?」

 「それだといざと言う時に困るだろう。」


 これと言った特徴が無いから決まらない。


 「ふふふふ。」

 「お父様、どうされました?気持ちワルイ笑い方をして。」

 「ぐっ・・。」


 エネさんの言葉に改心一撃クリティカルを喰らって膝を付く王様。


 「私は既にこの場所を聞いた時点でこうなる事は予測していた。」

 「それで?」


 エネさんの当りが強くないですか?


 「うむ。このような物を用意した。」


 王様がポケットから取り出したのは拳程の大きさの果実。


 「これは?」

 「神木の実だ。」

 「これが・・。」


 見た事が無かったので思わず鑑定してしまった。


ー神木の実ー

 数百年から数千年に一度神木がつける果実。その期間も個数も定まっていない。食べると体力魔力の回復、及び病気からの回復、四肢の欠損の完全回復等の光魔法Lv10相当の回復力をも合わせ持つ。

 その果実、果汁、種、皮いずれも無駄にする事が無く、各種秘薬の材料となる。

 なお、正式名称は妖精樹。他の植物異なり魔力も糧に成長するのが特徴。


 「魔導具を設置した横にこれを植える。」

 「飲み込まれそうですね・・。」

 「何故か異物は飲み込まぬので大丈夫だ。」

 「そうなの?」

 「なんだエネも知らぬのか。王家に伝わる資料を帰ったら見てみると良い。ロバートもな。そうすればこれを植える意味もわかろう。」

 「はい。」


 王家の皆さんは見た事があったから驚かないのかもしれないけれど、僕にはある一文が気になった。



 あの巨大な神木って妖精樹だったんだ・・。



 僕が設置した魔導具の直ぐ後ろに神木の実を植え、王様が精霊魔法を使うと直にそこいらの木よりも大きくなった。

 確かに魔導具を取り込む事は無く、木の根元に魔導具の部屋が生まれている。

 まるで熊の寝床だ。


 今は神木の大きさがそれほどでもないので問題ないけれど、今後成長して来た時に目立ってしまう問題はそうするつもりなんだろう?

 とりあえず入り口を塞いだ後に土魔法で土を盛り上げて埋めておいた。

 これなら丘のてっぺんから神木が生えているだけに見えない事も無いだろう。


 一応神木の管理は王家の仕事なので、そこに理由を付けてこの周辺に監視場所を作るつもりらしい。

 ただしこの木が発見されるのはしばらく後。

 今回のお出かけで見付けたとか言ったら怪しさ抜群だからとのことだ。


 「一応考えていたんだ。」とエネさんにいわれた王様の顔が悲しそうだったのは見なかった事にした。

 僕もちょっとそう思ったもの・・・。



 続いて向かうのは西に位置するケイラク山脈の麓。


 父や兄が住むゴーガス村だ。



 

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