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21:人化

 

 

 僕が料理をしている間に女神様達も準備をしておいてくれたらしい。

 家の裏手、畑なんかが見える所に大きなテーブルと人数分の椅子。それに大皿やグラスなんかも用意してくれた。

 助かるには助かるのだけど、良いのだろうか?

 そう思うのは何となくお皿に鑑定してみたからだ。


 例えば大皿。

ー神具:水氷大皿せんどばつぐん

 その冷たさと水分により、乗せられた魚や野菜の鮮度が落ちる事が無い大皿。水の女神ウンディーネの手に寄って生み出された一品。ルイジュの島よりの持ち出し不可。破壊不可。

 

 例えば椅子。

ー神具:可変金属椅子しんちょうなんてきにしない

 相手の身長や体重に合わせ、その高さが変わる椅子。地の女神ノームの手に寄って生み出された一品。座っている限り体力、魔力の回復がかかる。腰痛等も起きる事は無い。痔も治る。ルイジュの島よりの持ち出し不可。破壊不可。


 他にも小物や箸等、全てが全てこの調子だ。

 まぁ島から持ち出せないなら良いのかな?


 ちなみに少年神の釣果は0。ウンディーネさんとシルフィードが魚を確保してくれた。


 その食事の準備中。

 女神達に役立たずの認定を受け、庭の端っこで落ち込んでいた少年神。

 同じく料理をする事が出来ないルーファが、彼の元へ行った事が一つのきっかけだったらしい。

 僕は料理に夢中で気付かなかったのだけど、その様子を見ていたサラマンドラさんが教えてくれた。


 ルーファが彼の元へ行き、お喋りをしているうちに不意に立ち上がった少年神。指を天に向けて指し、一言発した瞬間にルーファへと落ちる光の柱。その光から生まれ出たのは裸の幼女。その様子を見て満足そうな創造神へんたい

 駄目だと思ったサラマンドラさんは、その幼女を抱えて家の中へ。

 着替えもそこそこに他の女神達に訳を話し、光闇火水風土と攻撃を浴びせられる最高神へんたい。彼が言い訳を出来たのは、僕の服を上から纏ったルーファが彼女達を止めてからだった。


 なんでも、同じ様に手伝えないルーファが相談した事が始まりらしい。

 それに今までも僕一緒に料理をしたり食べたりしたかった事も聞いた少年神が、彼の能力でルーファを人化させてあげたのだと。

 少年神曰く、「ロリ竜の擬人化とか見逃してたわ・・。」。

 女神達の認定した変態の称号は正しいと思う。


 それはともかくとして、ルーファも一緒にご飯を食べられるのは喜ばしい。

 今もシルフィールドさんが魚の骨を取ってあげており、見た目のまま行動も幼女だけど竜は成長が遅いみたいだしこれも普通なのかな?


 あっ。少年神へんたいは地面に正座。メニューはご飯に味噌汁、T(たまごKかけGごはん)。食べたがっていた刺身は禁止。

 こっそりと刺身を盛り合わせてあげたら泣いて喜んでいたので、また今度料理を作ってあげようと思う。


 女神達は皆健啖で、僕の料理をどれも美味しいと言ってくれた。

 今まで食事をしたことが無かったというからかもしれないけれど、それでも美味しいと行ってもらえると嬉しい。

 ノールさんとサラマンドラさんはお酒が好きな様で、リファイタさんの所でもらった竜酒を呑みながら料理に手を出していたし、ウンディーネさんは白米がお気に入りの様で、ドンブリ片手におかずをかきこんでいた。他の女神達も少しずつお酒を取り、さらに姦しくお喋りが繰り返される。

 こうして初めての宴は日が暮れるまで続くことになった。




 「覗くぞ。」

 「懲りませんね・・・。」

 「諦めたら負けである。」


 少年神へんたいが覗くと言っているのは女神達の入浴だ。

 彼女達は片付けの後、露天風呂へ行った。

 これは畑を作っている際に出番の無かったサラマンドラさんに泣きつかれて提案した物だ。

 他の女神達が料理を作ってもらえるのに自分だけが食べられないと・・。

 僕としては彼女の分も作るつもりだったので、何もしてくれなくても良かったのだけど、それでは駄目らしい。なので以前家を作る際に欲しいと思った、露天風呂を頼んだ所ウンディーネさん、ノームさんと共同で作ってくれた。

 張り切って作ってくれたおかげで大分島も変わってしまったけど、まぁ良しとしよう。


 「AAからFまで揃っているからルイジュの好みも絶対ある!」

 「そういうことじゃなくてね。今お皿洗っているし・・。」

 「皿なんて後で洗えるじゃないか!!!それに美乳だぞ!!!」

 「はぁ・・・。」

 「もしや男が好きなのか?」

 「違うわ!!!!!!!」


 それだけは激しく否定させてもらおう。


 「僕は女の子が好きです!」

 「Dでぶ専かBババア専?」

 「違う!」

 「じゃあ何で断るのさ?女神の入浴なんて超レアだよ?」

 「罰が当たってしまえ!」

 「大丈夫。罰なんて当らない。最高神ぼくが保障するよ。」

 「止める気はないんですね?」

 「あたりまえだのくらっかーだよ。」

 「わかりました。もう止めません。先に行っていて下さい。」

 「ちゃんと来る?」

 「ええ。」 

 「どうやら嘘は言ってない様だね。」


 一瞬、少年神から魔力を感じた。

 こんな事に魔力を使うなよ・・・。


 「じゃ、行って来る!」

 「裏口から回った方が見付かりにくいですよ。」

 「わかった。協力に感謝する。」


 こそこそと裏口から飛びだしていく最高神のぞき

 それを見て僕は魔力を練る事にした。






 「裏切り者ーーーーー!」


 皿を洗い終わった後に露天風呂へ近づくと、簀巻きにされた覗き魔が横たわっていた。ご丁寧に目隠しもされ、下半身は地面に埋まっている。

 なになに?

 「助け出す物は同罪とみなす。」「変態で悲しいです。」「愚かな最高神くそやろう。」「覗きは死刑です。」「つるぺったんじゃない!」色々と書かれているな。


 「助けてくれない?」

 「助けたら僕も同罪なんだって。」

 「ぐっ。あの折檻に人間の身であるルイジュが耐えれるとは思えないな・・。」


 どんなことされたんだよ・・。


 「おのれ、僕の優しさを逆手に取るあの毒婦共め!」

 「・・・・。」

 「いっそシワシワのババアにしてやれば良かった。いや、今からでも遅くないか・・。でも女神と言ったら美人じゃないと嫌だし・・・。」

 「・・・・・・。」

 「せめてなんか見返してやらないと。帰ったら仕事増やしてやる!」

 「・・・・・・・・。」

 「どうしたんだい?ルイジュ。」

 「うん。本心じゃないよね?」

 「まぁババアにはしないさ。僕もババアより綺麗な娘の方が良いし、今回は食べ過ぎた分少し太るとくらいにしとくよ。」 

 「ほほう・・。」


 ソールさんの優しい声が今はとても恐い。


 「反省が足りないと見える。」

 「誰の肉を増やすのかな?」

 「誰が毒婦?」

 「胸にだったら良いけど・・・。」

 

 ノームさんだけは違う気がする。

 

 「僕に気付かれずに接近するとは・・。」

 「新しいお仕置きごうもんフルコースを考えてあげないと行けませんね。」

 「今ルビがおかしかった!ルイジュ助けて!!!」

 「僕に何が出来ると?」

 「せめて送還を!あっちの方が痛みとか少ないし!!」

 「それは良い事を聞きました。」 

 「ルイジュ。送還は駄目だぞ。」

 「魔力は足りてますか?」 

 「は、はい・・。」

 「ではお風呂でお仕置きごうもんの相談をしましょう。」

 「ふふふ。楽しみだ。」


 女神達の気配が風呂へと戻っていった。


 「無力な僕を許してくれるかい。」

 「うん。僕が悪いんだ。今度顕現する時は隠密を学んで来るよ・・。」


 反省の色が無い。

 もう少年神こいつは駄目だな・・。



 その日は夜遅くまで女神達の笑い声と合われな羊の鳴き声が島に響き渡ったとか。




 覗きは駄目!絶対!!





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