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08:竜刀グアスランド

 研究所に持って行った竜刀に皆驚いていた。


 良くこんな重い物をもてると不思議に思われたけど、「加護のおかげ」と言う事でごり押し。

 持ててしまっているし、それ以外の理由がないので一応納得してくれたと思う。


 サルーンさんの『識者』による鑑定では『神具:竜刀りゅうとうグアスランド』と出たらしい。ただし契約が僕と成されているので他の誰にも使う事は出来ないのだとか。

 そこで契約についても聞いてみたところ、エネさんが教えてくれた。


 「契約の儀とは力を持ったモノだけが行える無属性魔法の一種として考えられている。その内容は当事者が決める事もあれば、契約の儀を執り行うモノが決める事もある。内容は今回の様に所有者使用制限や本来の力を出させなくするもの、使用者の命を奪うものと多岐にわたる。そして一度成された契約は、契約の儀を行ったモノを上回る力の持ち主でないと覆せない。今回は創世神が関わっているから誰にも解けないだろう。」


 「僕が死んだらどうなりますか?」


 もし死んで所有者が変わるなら命を狙われる危険がある。


 「創世神様が決めるのじゃないかな?」


 「他の可能性としては何処かに封印されるとか存在を消してしまう、ガラクタになるという事も考えられます。以前鑑定した物の中に効果を失ったマジックアイテムがありましたから。」


 「あまり見せびらかさない方が良さそうですね。」


 「そうね。嫉妬深い人は何処にでも居るでしょうから気をつけた方が良いでしょうね。」


 昔何かあったのかな・・・。

 サルーンさんが発する言葉に真実の響きがある。





 

 それでも我慢が出来ませんでした。


 一応ケイラク山脈を越えてから取り出したので、誰かに見られている事は無いとは思うけど、改めて見ると興奮する。


 その大きさがおかしいと言っても刀。


 ハーフエルフになる前は日本人男子だった僕が刀に興味があってもおかしくないだろう。


 時代小説やゲーム、漫画、映画に出て来た刀に興味もあったけれど、そのきっかけは中学校の歴史教科書にあった生麦事件。

 確か江戸時代の終わり頃に横浜でイギリス人が薩摩藩士に斬られたと言う事件だったけど、その話しをした先生の説明が面白かったので覚えている。

 先生は少しでも興味を持ってもらえる様に大げさに言ったのだと思う。「薩摩の侍はな、こうキェーイと叫び飛んで相手を斬った。」思い返せば飛ぶとは飛び上がるってことだったのだけど、家に帰るとネットでその剣術について調べた。

 その流派は示現流。東郷重位を流祖とする二の太刀要らずの豪剣。

 面白がった父と庭に立木を植えて稽古の真似事をしたのは懐かしい。


 身長を超す様な大刀。飛行魔法。おまけに重力魔法。


 試すしか無いでしょう。


 ルーファの見守る中、竜刀の鞘を払う。

 心を鎮めて気合い一撃。


 「キェーイ。」










 恐ろしい。


 クレーターが出来た。

 

 ルーファ曰く、竜も無事では済まないだろうだと。



 対人戦で使う事はなさそうだな・・・・。




 魔物を相手に純粋に刀としてだけでも使ってみた。

 重さを軽減しないと振る事はおろか持つ事も出来ないので、軽減だけはしているけれど、クレーターを作った時のような重さを増やす魔法は使っていない。

 ただ上から切り下ろすときのみ軽減を解く事にしている。

 重要なのは魔法を消すタイミング。タイミングがずれると斬るのではなく叩き潰すと言った感じになるし、腕や体に負担がかかる。これは要練習である。


 魔法を纏わせるのはそう難しくはない。

 例えばLv03風魔法『風刃カマイタチ』。文字通り風の刃を敵に向かって撃つ魔法だが、普段は空中に発動し飛ばすところを、刀の何処かに発動すればそこに留まる。刀を振るって飛ばす事も可能だし、そのまま斬りつける事も可能。念じる事で解放して飛ばす事も出来る。

 魔法を纏わせて敵を斬りつけると、『風刃カマイタチ』の場合はいまいち良くわからなかったが、Lv03火魔法『火玉ファイアーボール』を纏わせると切り口が焦げつく。もっと強い魔法も試してみたかったけど刀自体が強すぎて一撃で倒してしまう為に効果の確認はいまいち出来なかった。


 死体が消えてしまう魔獣ではなく、死体が残る動物にすればいいのだけど中々手を出せない。


 殺す事自体にそれほど忌避間は無い。この世界での肉は大抵飼育された物ではなく誰かが狩って来た物なのだからそんな事を言っていられないのがその理由だ。

 ただし、自分で手を出すのはまた別問題。


 魔法を覚えて風魔法が使える様になったばかりの頃、平原に住む一角野牛ホーンバッファローの群れを狩った事がある。

 調子に乗って放った攻撃はLv07風魔法『風刃林カマイタチノウタゲ』。

 全力で撃たなかったにせよ群れの五分の一は即死。五分の二は負傷。特にお腹を斬られて内蔵をこぼした個体は内蔵をこぼしながらも必死に逃げようとしていた。

 さすがにやってしまった感は否めずに地上へと下りたが、そこで味わったのは生暖かい血臭。

 その臭いで改めて自分の起こした惨状を確認して情けなくも吐いてしまった。


 ようやく落ちついたのは苦しむ一角野牛ホーンバッファローも息を引き取った後。


 あの惨状を忘れない様に彼等の角は仕舞ってある。

 その他の部分の大半はルーファのお腹の中に収まった。


 未だに動物の内蔵や血を直接触れる解体には思うところがあるけれど、慣れる為にも一週間に一度は狩りをする事にしている。

 あの時よりはマシになったと思う。


 それに比べると魔獣は気分が楽だ。

 肉を斬る感覚こそあれ、一撃で倒してしまえば血がどばどば出る事も無い。出たとしても息を引き取ると、魔石を代表とするアイテムを残して消えてしまう。

 ルーファ的には食べられないので魔獣は好きではない様だけど・・。


 ちなみにルーファは雑食で肉も野菜も骨も木も食べる事が出来る。

 ただし好き嫌いはあって、好きな物は肉と魚と果物。嫌いな物は鉄などの金属、酒、木に葉っぱ、野菜。


 金属まで食べれるのは驚いたな・・・。


 


 色々と試しているうちに薄暗くなって来たので、最後にルーファとじゃれ合いつつ飛んで帰る。

 

 最近は多少暗くなってもメリナに怒られなくなったので気が楽だな。







うーん。


歴史的事実とか良く考えてませんw

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