06:鍛冶の町の騒ぎ③
ゴリガス目線最後です。
街に戻ってからが大変だった。
まず俺は三日程いなかったらしい。
集中していたとしてもそんな感じはしなかった。
ただ御山は元に戻ったので静観していたそうだ。
一部では俺が生け贄になったとか考えていたらしいがまぁいい。
三日と聞いて疲れちまったようだ。
風呂に入って寝る。
説明は明日だ。
「起きなっ!迎えだよ。」
女房に叩き起こされた。
三日間働いたのだから一日寝ていても罰は当らんだろう。
まぁ、俺が居ない間は泣いていたと一番弟子に聞いたので良いけどな。
可愛い女房だ。
向かえとはジェイブだった。
「ゆっくりと寝かせてくれよ。」
「あの少年と竜がお主を尋ねて来た。」
「あぁ。」
眠さに負けて忘れていた。約束していたな。
それにしてもルイジュも三日間働いていたのに元気なものだな。若さか?
さすがに中央広場ではなく、中央の館に案内されていた。
竜は御山に戻ったらしい。
「待たせたな。」
「いえ。ここで出しますか?」
「それも良いが、冒険者ギルドのホールを借りるか。」
「いいぞ。」
ここよりも冒険者ギルドのホールの方が広い。マスターのジェイブが承知してくれたので手続きは任せる。その間に弟子どもと職人に集まる様に伝えておく。
「少し待ってくれ。」
「はい。」
優雅に茶をすすってやがる。
しかしエルフがやると絵になるな。ドワーフがやるとどうもガサツに見える。
イヴに言わせると俺の周りに集まる奴らがそうなだけらしいが、それを言ったらイヴも俺の周りに居る一人なんだが・・。勿論怖いので本人には言わない。
弟子達が集まった様なので移動する。
ホールには訳の分からない様子の弟子達と野次馬。
野次馬は放っておこう。
「では頼む。」
「はい。」
ルイジュは何処からとも無く竜刀グアスランドを取り出した。相変わらず片手だ。
その様子にどよめきが生まれた。
「抜いて、そこにな。」
特に頑丈なテーブルを二つ繋げ、その上に綺麗な布をしいてもらったのでそこに置いてもらう。
「こうですか?」
抜いた時にもどよめきが溢れたが、当然だろう。俺もまだ見ると興奮する。
「あぁ。それで頼む。」
これが俺が願った報酬の一つ。
「弟子どもよ。よく見ろ。俺の最高傑作だ。」
よく見てこれ以上の傑作を生み出す様に頑張って欲しい。
「もう一つの方はあそこら辺がいいな。」
刀を置いたテーブルとは逆の隅を指差す。
「わかりました。」
ドンドンと音を立てて置かれた樽は大樽。中身は竜酒。それも全六種全て有る。
各種類四樽、計二十四樽おかれるとさすがに狭く感じる。
「竜酒だ飲むぞ!」
「「おぉ。」」
さっきよりも大きなどよめきが生まれた。弟子共の声がはいっていない事を祈る。
俺が望んだもう一つの報酬が竜酒。
話しには聞いたことがあったけれど、見た事も飲んだ事も無かったからな。
金銭や珍しい素材、道具と色々と言われたが、俺が望んだのはこの二つ。
金は女房と日々暮らして行くだけのものはあるし、素材は使う人あっての物だ。道具に至ってはあの竜達の手助け無く使える気はしないし、道具に頼っていたら腕が鈍る。
職人の誇りにかけてただ働きは出来ないが、過分な報酬もまた必要ない。
竜達は驚いていたけれど、俺には充分だ。
訳のわからない称号とスキルも手に入れたしな!!
そして首からかけている地竜の角のかけらは俺だけの宝物だ。
折角の酒盛りなのに、竜刀を譲れだ売れだルイジュの身に合わないだと騒ぎ立てた馬鹿はしっかりとしめておいた。
馬鹿に付ける薬を報酬に願えば良かったか?
○ゴリガス。×ゴガリス。
いくつか間違えがありました。残っていた場合は報告よろしくお願いします。
ちなみに作者はゴリガスみたいなキャラクターが好きです。
ゴリガスだけで作品作れないかな・・・。
あと似た様なキャラクターが出ている作品とか教えてくれると嬉しいかもです。




