02:土下座から始まるお話。
(眩しい?)
目を開けると真っ白な空。
少し視線を下ろしても真っ白な空間。
さらに視線を下ろし足下を見ても白。
白。それ以外に確認できるのは一つの黒い固まり。
「御免なさい。」
よく見ればそれは黒い髪。
神の隙間から見えるうなじは白く、また、服も白い。
いや、白く光っているのか?
もう一度見回してみるけれど、その他には何も無い。
そう。自分の手足さえも無いのだ。
「御免なさい。」
黒い髪から言葉が発せられる。その声は少年のものだと思う。
顔は見えないように伏せられ、膝は折り畳まれ正座、両手は地についている。
つまり土下座。
何故か少年と思われる彼は土下座をしているのだ。
「うん。なんで謝っているの?」
体が無い様なので喋れるか不安だったけれど、考えた事が音となった。
「御免なさい。僕の所為です。」
「取り合えず土下座は止めない?」
自分より小さな子供を土下座させておくのは心情的にも対外的にもよろしくない。
もっとも僕と彼しか居る様には思えないけど・・・。
「顔を見て話したいしさ。」
僕の言葉を受けて少年が顔を上げ、立ち上がった。
「色々と違う気もするけど・・・。」
「いえ。」
少年が着ていた外套を脱ぐと、黒髪に黒目、緑のパーカーとジーンズ、赤いスニーカー、それに黒いランドセルを背負った日本の何処にでも居そうな小学生が現れた。
その姿には見覚えがある。
初めて、そして最後に見たのは僕が死んだ数十秒前。
暫く短く続きます。