14:昔のお話
―称号『地の女神の加護』を得ました。―
朝一で称号を得てももう驚かない。
もっとも、もう朝とは言えない時間だけど。
昨夜中々寝付けなかったのと、色々あって疲れていたということでメリナが昼過ぎまで寝かせておいてくれたみたいだ。
その証拠に起きると直にご飯が用意され、怒られる事も無い。
ただよほど心配だった様で、今日一日は安静を約束させられた。
研究所に向かう事も駄目らしい。
メリナがエネさんに言いに行っている間に、昨日もらった称号をチェックしておく。
『老地竜の祝福』:年を重ねた地竜の祝福。地属性への補正効果が大いにある。
『幼風竜の祝福』:年若い風竜の祝福。風属性への補正効果が少しある。
『幼風竜の友』:年若い風竜が心を許した友に送る称号。彼・彼女の居場所がわかる。風属性への補正効果が少しある。
予想はつくけど今朝得ていた称号もついでに確認。
『地の女神の加護』:地の女神の加護を得た人に現れる称号。地属性への補正が付く。
竜も神様の様に称号を与える事ができるというのは初めて知ったけど、これは隠さなくても大丈夫だろう。それに飛行魔法のLvも上げておく。
その時に気付いたのだけど種族Lvも上がっていた。それも二つも。
空を飛ぶという事は良い経験値になるのかな?
それで出来上がった名刺はこれだ。
—ステータスタグ—
—ルイジュ・ブラッド(4)—
種族:ハーフエルフ Lv03
職業:
スキル:
固有スキル:『飛行魔法』 Lv06
称号:『空飛ぶ者』『創世神の加護』『老地竜の祝福』『幼風竜の祝福』『幼風竜の友』
「具合はどうだい?」
カルアさんとエネさんが連れ立てお見舞いに来てくれた。
「問題はないのですけどメリナが心配して。」
「まぁしょうがないんじゃない?昨日は「何故行かせたのですか!!」って私も怒られたし。」
「それはすいませんでした。メリナには後で言っておきます。」
仮にも王族を怒るなんて凄い事をしたもんだ。
「なに、気にしなくて良いよ。それよりも昨日の話しを聞かせてもらえるかい?」
二人共その為に部屋まで来てくれたのだろう。
グアスランドにあった事や二竜から祝福を受けた事なんかを話す。
黙って聞いていた二人は話しを聞き終わると一旦部屋を出て行った。
すぐに戻って来たカルアさんは魔力回復ポーションを持って、エネさんはサルーナ様を連れて来た。
サルーナさんは称号の確認を。魔力回復ポーションは今後何かあったとき用に持っていろという事らしい。ありがたくもらっておく。
称号の確認をすると改めて三人に驚かれた。
珍しいとはいえ、竜の称号はいくつか確認されているらしいけど、驚かせたのは『老地竜の祝福』。
『老地竜の祝福』は代々の国王が受け継いでいる称号である。つまり建国を成し遂げた初代国王と同じ祝福を受けたという事になる。
僕は建国をするつもりはさらさらないので宝の持ち腐れになるだろうけど、そうとは考えない人も居る可能性もあるのでできるだけ内緒にしておく方が良いとの結論に至った。
国王の座を狙っているとか思われたらと考えるとぞっとする・・・。
エネさんの伝手を使って『ステータス偽造』をしてもらう事にしたのでとりあえずは大丈夫だろう。
さらに現国王であるエネさんのお父さんの耳にも入れる事になった。内緒というのもまずいらしい。
結果から言うと隠さなくて良かった。
国王様曰く、偽造するよりも公開してしまった方が妨害が無いだろうとのことだ。
竜の友人というのは珍しいが、竜の友人の称号を得た人に関する有名な話しがあるらしい。
簡単言うと、友人の命を助ける為にとある国の王都に竜が飛来したということらしいけど、実際は友人の称号を持った人間を使って竜をコントロールできないかと考えたとある大国の王様がその友人を捕えた事から始まる。
称号で友人を得ているという事はその居場所がわかるという事。それを知らなかった当時の王は引き渡せという竜に居ないと嘘を付き、称号の効果がわかると今度は命の代わりに言う事を聞けと戦争に駆り出した。それを知った友人は自分がかせになるならとその命を散らした。
友人が命を散らした事を知った竜は悲しみ、そして怒り王国に牙を剥いた。しかしまだ若かった竜は騎士団を半壊して討たれてしまう。
それだけで済めば王国はまだ良かった。
しかし竜は友人を大切にする。そして家族も大切にする。
半壊しながらも珍しい竜を素材として解体し始めた騎士団の上空に現れたのは二匹の竜。
片や炎をまき散らし、片や暴風をまき散らす。
半壊した騎士団もなんとか気を入れ直すが時既に遅し。それも相手は二匹の成竜。
騎士団が壊滅した後は王城へと向かう二匹。宮廷魔術師の迎撃も近衛兵も瞬く間に壊滅。懇願する王を爪に引っ掛けると彼が見ている前で城ごと王族を燃やし尽くした。
泣く王を殺すと、燃え尽きた王城に着陸して二竜は宣言した。
「この地は二人の墓標とする。」
「去るも良し。留まるも良し。ただし、」
「「手を出す事は許さぬ。」」
街の人達は立ち去る事を選んだ。
街の外には騎士団の死体。燃えた王城周辺には魔術師と近衛兵の死体。
そして街の中心にそれを成した二頭の竜。
今まで通り暮らせというのが無理な話しだ。
街の人達はそれぞれ近くの街に移動し、その都市に残った人はいないと言われている。
そうしてできたのが今の自由都市共和国。
かつての首都は人近づかぬ森となっている。
その話しを聞いて皆思い当たる事があったらしい。もっともメリナやカルアさんは物語が本当だったのだという驚き。王族三人は聞いたことがあったけれど『老地竜の祝福』の方に注目しすぎたらしい。
どちらにせよ言いふらすつもりは無い。
後日グアスランドさんに確認したした所本当だという事だった。
ちなみに風竜の方はルーファの伯母さんにあたるとか・・・・。
称号を得た事で僕の行動を遮る人はほとんど居なくなったと言って良い。
もっとも今まで遮っていたのは僕を一人にする不安だったので、王都を離れればルーファがやって来るし、魔力切れで落ちる事も無いということでメリナ以外は納得してくれた。
メリナが心配してくれるのはありがたいので、たまの小言くらいは我慢しようと思います。
—ステータス—
—ルイジュ・ブラッド(4)—
種族:ハーフエルフ Lv01
職業:
スキル:『無形魔法』 Lv01
固有スキル:『神の書庫』『神通信』『神の贋作』『神託』『飛行魔法』 Lv10
称号:『殉教者』『神子』『天駆ける者』『神言』『創世神の加護』『風の女神の加護』『光の女神の加護』『闇の女神の加護』『老地竜の祝福』『幼風竜の祝福』『幼風竜の友』『地の女神の加護』




