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09:新しい称号

 昼食を食べ終わると約束取りに研究所へ。三度目なので一人でも行けると思うけれど、メリナは付いて来た。さすがに三歳児を一人で出かけさせない様だ。


 (何歳まで付いて来るのだろう・・・。)


 エネさんの研究室の扉をノックするけど返事がない。


 「エネさーん。」

 「はーい。」


 何度か呼びかけると返事があった。


 「待たせしちゃったね。こっちに来てくれる?」


 ただし後ろから。

 その隣には同じ様な白衣を来た青年。


 おそらく青年の物と思われる研究室はエネさんの研究室と違い、埃が舞う事も無ければ物が錯乱しているという事も無い。


 「これは研究員のカルア。見た事無いかもしれないけど鱗魚族という種族だ。」


 「はじめまして。ルイジュ君。昨日、飛んでいる所を見たけど凄いね。空を泳いでいるようだったよ。」


 差し出された手を握るとひんやりと冷たい。


 「冷たいだろう?夏場は近くに居ると涼しいぞ。」


 「その分冬は動くのも辛くなるけどね。それよりも魔力のチェックをするんだろ?」


 「あぁそうだった。今日は魔力量の把握をしようと思う。ついでに属性のチェックもしてしまおう。」


 「はいはい。じゃあルイジュ君はここに座ってもらえるかな?」


 指定された椅子に座ると目の前に台が置かれ、さらに小さな座布団が置かれると、その上に占で使う様な透明の玉が置かれた。

 

 「この玉に挟む様に両手をくっつけてくれるかな。」


 言われた通りにするけれど何も起きない。


 「そう。そうしたら魔力を流して欲しいのだけどわかる?」


 「魔力を流すですか?」


 よくわからない。


 「おそらく飛ぶ感覚で流れると思うが、実際に軽く浮いてみれば魔力が流れるだろう。」

 

 エネさんに言われた通りに座ったまま軽く浮く。勿論手は当てたままだ。そうすると玉の内部に変化があった。


 「やっぱり風か。」


 エネさんが呟く間にも玉の内部は緑の光で満たされ輝き続けている。


 「もういいよ。」


 カルアさんに言われて手を離すと光も消えた。


 「説明すると光の色で得意な属性を。光の量で魔力量を量るんだ。例えば僕なら水だから青くなる。こんな風にね。」


 カルアさんが玉に手を添えると確かに青い光が溢れた。


 「そして光の強さは僕よりもルイジュ君の方が強かったからルイジュ君の方が魔力量が多いとわかる。ただし色が出るのは一番得意な属性だけだから他の魔法が使えない訳じゃないから安心してね。僕の場合なら水属性が得意だけど風と光も仕えるといった具合にね。」


 「複数属性、特に三属性以上となると珍しいから最初は一番得意な属性から始める人が多いけどな。エルフの場合はそれに追加して精霊魔法も行うがルイジュは精霊と話す事はおろか見る事もできないだろ?ちなみにこの部屋の中にも居る。」


 部屋の中を見回してみるけど気配すら感じない。


 「まったくわかりません。」


 「まぁそうだろうな。ハーフエルフで精霊を見る事ができた者はほとんど居ないからしょうがないさ。会話までできるとエルフのなかでもハイエルフに近いと言われるくらいだから。」


 精霊魔法はエルフという種族固有の魔法になるのだろうか?

 『神の書庫ハクタクニナリタイ』で精霊魔法について調べてみる。

 『精霊魔法』:精霊の力を借りて行使する魔法。精霊が魔法に必要となる魔力のほとんどを提供するので自らの魔力量に影響されない。


 たぶんエルフの様に精霊が見えなければ精霊魔法が使えないというのは、精霊の力を借りることがその姿を見ないとできないからなのかもしれない。

 ついでに精霊に付いても調べとこう。

 『精霊』:自然界に存在する魔力マナを糧に存在する半精神体。女神の眷属でもある。


 「魔力量は私と比べると少ないとはいえ普通のエルフよりは多そうだ。」


 頭の中で調べ物をしている間にも話しは進んでいた。どうも『神の書庫ハクタクニナリタイ』の使用中は外の会話が耳に残らないので気をつけた方が良さそうだ。


 「ハイエルフであるエネと比べるのは間違っていると思うけどハーフエルフのルイジュ君がLvも低いのに普通のエルフが持つ魔力量よりも多いってことはやっぱり固有魔法の影響かな?」


 「そうだと思うが、過去の例から見て固有魔法の保持者は何かしらの加護等をえている事が多いのだが・・・・。」


 「もしかして名刺ステータスタグに偽造が施されているのじゃないかな?子供のうちは内緒にしておく親も居ると以前言ってなかったっけ?」


 「あぁ。その可能性は失念していた。ルイジュ君どうかな?」


 「偽造ですか?」


 確かに『神の贋作カメンノキミ』で偽造はしている。というか固有魔法の持ち主が加護を持っているだなんてあの少年神は言っていなかった。『神の書庫ハクタクニナリタイ』で調べろという事なのかもしれないけれど、偽造する必要性があるとわかっているのだったら最初に言っておいて欲しかったよ・・・・。


 「そう。スキルで『ステータス偽造』という物があるんだけど、それを使うと他人の名刺ステータスタグの内容を変更できるんだ。自分自身以外に使う場合は名刺ステータスタグしか変更できないから当人が確認する『ステータス』や『看破』『識者』なんかによる確認をごまかす事はできないけどね。」


 「まぁ親がやっていたのならルイジュ君にはわからんだろう。」


 ステータスの偽造は結構重要な事だと思ったけれど、対抗手段が多いらしいので問題視はあまりされてないみたいだ。


 「『看破』『識者』が必要だな。私は持っていないがカルアは?」


 「僕は『識別』しかない。」


 「私も同じだ。となると一番近くに居るのは・・・・。二人はここで待っていてくれ。」


 少し考えていたエネさんが部屋を飛び出して行く。


 「相変わらず思い立ったら行動しちゃうんだから。もう少しお姫様っぽくなれないものかね・・・。」


 「エネさんって昔からああだったのですか?」


 「そう。出会った時から変わらないね。あれは学院の入学式で・・・・・・。」


 カルアさんが語るのは二人の出会い。






 

 「そんなわけで僕はこの国に来たんだ。」


 カルアさんの思い出話兼エネさんの武勇伝を聞いていると、いつの間にかエネさんが戻って来た。


 「女性の過去をそうやすやすと話すものではないと思うぞ。」


 ドアが明けっ放しだった所為か聞こえていたらしい。


 「いえ、横暴なエネお姉様への対抗策を立てる為にも過去の出来事を聞いておくのは悪くないと思います。もっと話してくださいませんか?」


 「誰が横暴だ!?その口を閉じてさっさとこれとそこのルイジュ君を『識別』してくれ。」


 腕に抱えられた女性がエネさんの過去を聞き出そうとするけれど直に止められた。


 「人の仕事中にいきなり押し掛けて連れ去る人の何処が横暴でないと言えるのですか!それと許可を得ないで勝手に『識別』をかけるのはマナー違反です。」


 危なかった。彼女が待っていてくれる間に名刺ステータスタグとステータスを変更しておこう。まぁそれすらバレてしまったらどうしようもないと諦める。

 『神の贋作カメンノキミ』を発動してまずは名刺ステータスタグを変更。


―ステータスタグ―

—ルイジュ・ブラッド(3)—

種族:ハーフエルフ Lv01

職業:

スキル:

固有スキル:『飛行魔法』 Lv01

称号:『翼を得た者ヒナドリ』『風の女神シルフィードの加護』


 『風の女神シルフィードの加護』にしたのは魔法の属性が風だったので、それに対応する女神を『神の書庫ハクタクニナリタイ』で調べて決めた。


 名刺ステータスタグに合わせてステータスの方も変更しておいて許可をだす。


 「どう・・・。」


―称号『創世神の加護キミハボクノモノ』を得ました。―

 

 変更した直後に頭の中にアナウンスが流れた。


 「ぞ?」


 「では失礼して。」


 今更待って下さいとも言えないが、何が起きたのか。


 慌ててステータスを確認すると次の様になってた。


―ステータス―

—ルイジュ・ブラッド(3)—

種族:ハーフエルフ Lv01

職業:

スキル:

固有スキル:『飛行魔法』 Lv01

称号:『翼を得た者ヒナドリ』『創世神の加護キミハボクノモノ


 おそらく名刺ステータスタグの方も変わっているのだろう。

 そして僕は思った。


 絶対に少年神あいつは僕の事を覗いている!!と。





—ステータス— 

—ルイジュ・ブラッド(3)—

種族:ハーフエルフ Lv01

職業:

スキル:『無形魔法』 Lv01

固有スキル:『神の書庫ハクタクニナリタイ』『神通信(オリヒメトヒコボシ)』『神の贋作カメンノキミ』『神託カミサマノヒトリゴト』『飛行魔法』 Lv10

称号:『殉教者ムサシボウベンケイ』『神子エルニーニョ』『天駆ける者コノソラハボクノモノ』『神言ヒフミウタ』『創世神の加護キミハボクノモノ


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